青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

朝日射す 八幡様の 水清く。

2021年07月25日 17時00分00秒 | 上信電鉄

(駅猫の朝餉時@山名駅)

沿線の風景を巡りながら、気に入ったもの、気になったものを丁寧に拾っていく。もとより、何かこの列車をここでこう撮りたい!という明確な意思がない場合の多い自分の撮影行。烏川と鏑川の合流地点の開けた田園地帯にある山名の街。高崎の駅から烏川と観音山丘陵に沿って南東に下った線路は、山名の辺りでグイッと西に針路を取り、ここからは鏑川に沿って富岡や下仁田方面へ向かいます。山名の駅は下見板張りの水色の木造駅舎。誰が餌付けをしているのか、駅猫が朝餉の真っ最中。

山名駅は、駅裏にある山名八幡宮の最寄り駅。山名・・・と言うと、歴史が好きな人なら応仁の乱を起こした山名宗全の名前を思い出すでしょうか。室町時代の末期、足利氏の弱体化が進む中で起こった細川氏と山名氏の東西軍による戦乱は、やがて世相が戦国の世に突き進むきっかけとなった歴史上の出来事。その山名氏のルーツは、ここ上野国の八幡荘山名郷にあります。山名八幡宮は、室町時代にこの地に置かれた山名城を収めた世良田氏の勧進により建立されたとの由。

参道の手水舎に、清冽な水が流れる。青々とした笹の葉が沈められていて、見た目にも涼やかな感じだ。本当ならば、柄杓で掬って手を清めるところなのだろうけど、新型コロナの昨今は感染症対策で柄杓が撤去されている神社仏閣が多いんだよな。冷たい水で手と顔を清めて、少しお参りして行こう。

八幡宮の参道は、県道から真っすぐに上信電鉄の線路の下をくぐって神社に向かって続いている。木々の間から差し込む強い日差し。まだ朝の7時なんだけどなあ。残念ながら、猛暑は確定と言った感じの山名八幡宮の参道。苔生した階段を登って本殿へ。

山名八幡宮は、世良田氏が当時の後醍醐天皇の孫である親王様夫婦が子供を授かった際、この神社に安産を願ったという謂れから、安産と子育ての神様として信仰を集めています。確か、前に来た時は秋の時期で、七五三にお参りに来る家族連れが大勢いたのを覚えてるなあ。ひとまず、もう安産を願う事はないけども(笑)、子供たちの健やかなる成長と疫病退散、そして撮影行の安全を祈願して。なんかお守り御札の類でも買って帰ろうと思ったんですけど、朝早すぎて社務所が開いてなかったよね。

お参りを終えて駅に戻ると、ちょうど高崎行の電車が山名駅に進入して来た。700形の群馬サファリパークのラッピング広告車。このラッピングも上信伝統だなあ。前は西武の101系の譲渡車がこのラッピングを担当してたんだよね。ちなみに、このゼブラの柄はずーっとシマウマだと思ってたんだけど、ホワイトタイガーなんだってね(笑)。あと、群馬サファリパークのマークは妙に新日(新日本プロレス)っぽいのは昔から気になってはいる。

サルスベリ(百日紅)咲く、八幡様の踏切。このショッキングピンク的な鮮やかな花の色も、タチアオイと並んで夏の雰囲気を盛り上げる名脇役と言った感じ。朝のホワイトタイガーが高崎に向けて行進を開始。駅ごとに、乗客という獲物を捕まえて目的地に送り届ける、上州のハンタートレイン。夏の朝、空に花火か、百日紅。


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