(鉄軌分界点@新木田交差点)
と言う訳で鉄道線と軌道線の境目にあたるこの新木田交差点に座を構え、朝のラッシュ時間に投入される福鉄オールスターズをガッツリと撮ってみようって事になりました。予報では曇り時々雨くらいの天気だったはずなんだが、大きく外れてこの日の福井地方は朝から夏の日差しがジリジリと肌を刺す好天。思わずアタマにタオルをかぶって路地に佇む姿はちょっと不審者として通報されても文句は言えないのだが(笑)、なりふりは構っていられません。それでは、時間を追って9時までのチャンスタイム!行ってみましょう。
(7:16 普通田原町行 880型)
鉄軌分界点をゆるりと回って軌道線に進入して来るのは元名鉄の美濃町線で使われていた880型。名鉄時代にもモ880型として使用されてましたが、平成17年の名鉄による岐阜市内線および美濃町線の一斉廃止に伴って大量の路面電車タイプの車両が役割を失いました。福井鉄道は長年に亘って大株主だった名鉄との関係が深い事もあって、廃線により行き場のなくなった車両の中で比較的車齢が若かったものをまとめて導入。当時の旧型車の置き換えと車体の低床化(いわゆるLRT化)を果たしたのですが、この880型と770型はかなりまとまった数が導入されたので、現在の福鉄線では最もポピュラーな車両なのかな。
(7:36 急行田原町行 610型)
この610型は元々名古屋の地下鉄(東山線)で走っていた車両。ラッシュ時には収容人員の大きい高床車と呼ばれる普通鉄道型の車両が投入されるんだけど、同じ高床車である200型に比べクローズアップされることは少ない縁の下の力持ち。名古屋地下鉄時代は第三軌条方式の集電方式でしたが、福鉄へ転入するにあたってドアを3つ→2つに減らし、15m少々と小さな車体に大きなパンタグラフを掲げ颯爽と走っております。福井鉄道の高床車は昔から鉄格子のような大きな排障器を付けているのが特徴なのだけど、この車両にも伝統はしっかりと受け継がれておりますね。朝夕に走る福鉄の急行電車は先行の列車を追い越すことはしませんが、鉄道線部分では結構ビュンビュンとかっ飛ばして爽快な走りを見せてくれますw
(7:50 普通田原町行 F1000型「FUKURAM」)
北陸では富山ライトレールを皮切りに、地方鉄道を都市交通のツールの一つとして見直して行く動きが顕著な訳ですが、ここ福井でも市内中心部へ乗り入れている福井鉄道をLRT化(Light Rail Transit)して活性化して行こうと言う動きが盛り上がっております。そのシンボル的な車両として昨年導入されたのがこのF1000型「FUKURAM」。鮮やかなオレンジ色のスタイリッシュな出で立ちは、長野のフリーザ様こと「485系・彩」のような特徴的なアイラインを含めて実に目立つ(笑)。日本のLRT車両のトップメーカーである新潟トランシス謹製で、バリアフリー対応の超低床型車両はなるほど床面が地面スレスレ。北陸では富山ライトレール、富山地方鉄道、万葉線に続く4社目のLRT車両導入で、何だか北陸の私鉄ってのは元気があるなあって感じですね。
(8:03 普通田原町行 200型)
そしてとうとうやって来ました福鉄200型!いや~7時台の電車に入ってなかったから来るかどうか心配でやきもきしてましたよ(笑)。さすがに踏切のカーブの向こうからその姿が見えた時には「きたぁ~!」って口に出してしまったんだが今思えばちょっとこっ恥ずかしいな。ちょっと角度のある湘南二枚窓、プレスドアの下に換装された大きな乗降用ステップ、そして何より旧時代の福井鉄道の急行色である深緑とアイボリーの落ち着いた配色!前面にプリントされた旧字体の「福鉄」エンブレムと、横に広がる翼模様に大きな排障器のいかめしさ。福鉄のトラディショナルここにあり!って感じの古兵が、新木田の交差点を悠然と市役所前方面に向け進入して行くその姿、シャッターを押す指もいささか落ち着きませんw
(8:08 普通神明行 610型)
先ほど急行で田原町に向かって行った610型が、今度は神明行の普通で戻って来ました。朝のラッシュアワーが中心となる高床車は、ラッシュ運用が終わると途中駅の神明まで引き上げて一休みする運用があるようです。あくまでレギュラーは美濃町グループって事なのかな。福鉄の車両はほぼ武生側にパンを付けているようで、さっきの写真に比べると勇ましさが2割増しと言う感じですな。
(8:22 回送 F1000型「FUKURAM」)
と言う事で朝の福井方面へ客を送り込んだFUKURAMも、客扱いをせずに回送表示で戻って参りました。朝は福井駅前・田原町方面へ向かっての流動が圧倒的に多いからなんでしょうが、ちょっと勿体ない感じもしますね。順光に鮮やかなオレンジ色がペッカペカ。ちなみに福井鉄道生え抜きの車両としては初めて2014年の鉄道友の会ローレル賞に輝きました。
(8:39 普通越前武生行 200型)
200型が田原町から折り返し、今度は越前武生方面へ。新木田の交差点を大きな音を立てて曲がって行く200型、インカーブ気味にベッタベタの順光で押さえる事が出来てとりあえず満足ですじゃ。交差点を斜めに横切って軌道線へ入って行くので、電車が動いている時は北側と西側の2方向のクルマの動きがなくなるんよね。少なくともこの交差点の東側から構えれば、クルマに邪魔されずにじっくりとそのお姿を楽しむ事が出来ますw
これも名鉄美濃町グループの800型。伊予鉄道とかに同じ形の路面電車がいたような気がするな。VVVFインバータ制御、特殊低床型と言われる真ん中の乗降口を底にしたすり鉢型の床面が特徴で、平成12年の導入当時はその先進性にローレル賞までいただいちゃった立派な車両です。って福井鉄道ってローレル賞受賞車が2形式もいる事になるのね。まあこんな意欲作を導入しておきながら、5年で路面電車を全廃しちゃうと言う名鉄のその当時の経営方針もいかがなもんかって気はするが…ともかくスペックは高い車両なんで、福井鉄道以外に豊橋鉄道にも貰われて行ってまして、一両も廃車にならずしっかり現役なのはまだ救われるけどね。
(8:54 普通田原町行 770型)
名鉄美濃町グループ最後のご紹介、770型の普通田原町行。880型より番号が若いのに、製造年度は770型の方が後なのは何でなんだろうか。いずれにしろこの2形式は兄弟車みたいなもんなんで、外見上の違いと言うのはあまりありません。770型の方が見た目少し腰高でシュッとスマートに見えますけど、まあマニア以外なら気が付かないレベルでw一番違うのは内装なんだけど、またその話は後日。
夏の日差しに焙られながら、朝の福鉄ラッシュアワーを撮ってみましたが、時間も9時に近付いてそろそろお開きの時間が来たよう。一通りの車両も見れたし、こちらもちょっと一休みして、今度は乗り鉄しながら沿線を巡ってみようかなと思います。
次回へ続く。
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