青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

山上の宗教都市へ

2016年05月17日 19時00分00秒 | 南海電鉄

(杉木立の激坂@紀伊神谷駅駅前通り)

さて、気を取り直して紀伊神谷駅から極楽橋駅に向かって歩いてみたいと思います。って言われても駅前の道がこんな道だからなあ。激坂。テレ朝でグラビアのおねーちゃんを走らせるだけの映像を延々と流す「全力坂」って番組ありますけど、あれ結構好きなんですよね。ってどうでもいいですね。よく考えなくてもこの区間歩きたかったら極楽橋から歩いて来れば下り勾配なんだからそっちから来りゃ良かったぜ(笑)。


紀伊神谷駅から線路はトンネルに入りますが、その山の上を歩いて越して来ました。そんな場所からの風景。まだ朝の光が届かない山間を、極楽橋に向かって登っていく最新世代のズームカー2300系。橋本~極楽橋の折り返し運用で投入される主力編成で、ワンマン運転。時間帯によっては2+2の4連で入ってたりしますね。

 

まだ7時台ですから、運用は2300系の短編成が中心。高野線自体が東側の山肌に沿って引かれているため、この時間帯はなかなか光の当たる場所を見付けづらい。それはそれでアンダー気味に深山幽谷っぽいコントラストを出してみたり…この2300系、この区間を走る編成は「こうや花鉄道」のキャッチコピーで各編成に花の名前が付けられたりしてるそうな。結構派手なショッキングピンクに塗られていますけども、個人的には小田急1000系の登山線編成が真っ赤に塗られてるのにインスパイアされたんじゃないかと思ったりするんですがw

  

坂道は急でしたが、距離的にはさほどでもなく南海高野線の終点極楽橋駅へ。駅の近くに駅名の由来になった朱塗りの橋があります。おそらくここから先が高野山、極楽浄土の入り口と言う事で極楽橋なんだろうと推察されますが、ここからはケーブルカーが高野山駅まで連れて行ってくれます。新緑のモミジの葉に透ける朝の光が年代物のケーブルカー乗り場を包む。昭和初期に開業したままの建造物、鉄道駅とケーブル駅を繋ぐ不動谷川の渡り廊下が美しい。情緒のある老舗の温泉旅館みたいだ。

  

あくまでここは鉄道とケーブルの乗換場所なので、駅としての極楽橋駅は入口もこんなもの。何があるって訳じゃあありませんが、外側に出ないとあのきれいな渡り廊下とか見れませんからね。ちょっとレトロな真っ赤なケーブルカーは昭和39年製、前日見た山陽3000系と同い年ですね。デザインが「デラックスズームカー」と言われた先代の特急こうや号(南海20000系)をイメージしているような気がしないでもない。


GWとはいえまだ8時前の高野山ケーブルは人もまばらですが、この高野山ケーブルは極楽橋駅の発着列車と並行して朝5時台から夜は22時まで運行されているのが特筆されます。まあ極楽橋の駅と言うのは山中の何もない谷あいにあるので当然っちゃ当然なんですけどね…この駅で取り残されてもどうもならん。

  

岩清水の滴る山肌を登るケーブルカー。基本的に鉄道線の接続を受けて走るケーブルカーなので、混雑時の積み残しがないように2両連結になっていて収容力は大きいです。この便はケーブルカーは山上の高野山駅に用事がある極楽橋駅の駅員(業務中)を含め3人程度と言う驚くほどの貸し切りだったので余計にガラガラ感が目立ってしまう訳でありますがそれもまた良し。標高539mの極楽橋駅から867mの高野山駅まで、標高差328mを5分で登ります。


谷あいの極楽橋駅から明るい朝の日差しが降り注ぐ高野山駅に到着しました。いかにも高野山の玄関口らしい寺院のようなスタイルの駅ですが、昭和3年建築のこの駅舎は国の有形文化財に指定されていたりもする。平成26年の高野山1200年記念の一環として完全レストアされたので、駅舎の中はお土産物屋や休憩所など含めてとってもきれいになっておりました。


高野山の中心部には、ここから南海りんかんバスで移動する事になりますが、このバスもスルKANで乗れます。高野山駅に通ずる道は南海りんかんバスとその他南海グループのタクシーなどの自動車専用道になっていて、一般の車両は入って来れないようになっていますね。高野山と一口に言っても広大な範囲に様々な寺社仏閣があって回るのには最低でも半日くらいはかかるところですが、とりあえず雰囲気だけでも…と言う感じでバスに乗ってみますか。
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