tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良は菓子好き関西一

2008年03月27日 | 奈良にこだわる
3/17付の日経新聞夕刊に、面白い記事が載っていた。見出しは《奈良「菓子好き」関西一 「別腹」には支出惜しまず》(@関西)。
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news003201.html

4/18から姫路市で開かれる全国菓子博覧会(姫路菓子博2008)にちなみ、日経の姫路支局長が執筆した記事である。
http://www.kasihaku2008.jp/

記事によると《「菓子類」全体で関西の消費額トップは京都、大阪、神戸の「3都」をしのぎ奈良市。全国でも2位の高水準だ。和菓子に限らず、ケーキ(全国4位)、キャンデー(同2位)と菓子好きの県民性がうかがわれる。奈良県農政課は「農村部では昔から祝い事にもち菓子を配る風習があり、こうした気風を映して贈答用も多いのでは」と推測する》。

《ようかん、まんじゅう以外の「他の和生菓子」では、イメージ通り京都、奈良が上位だが、京都はキャンデー全国1位、チョコレート2位と別の顔も持つ》。記事の元データは総務省の「家計調査」(県庁所在地の比較)だが、これを見ると「他の和生菓子」では金沢市や松江市なども健闘していて、やはり古都のイメージのあるところが強いようだ。

奈良で菓子への支出が多いのは、農政課のコメントのように「贈答用」が多いのも一因だろう。奈良県生まれのウチの家内は、手土産といえば必ず菓子だ。和歌山県出身の私としては、奈良漬や柿の葉寿司、大和茶に目が行くのだが。家でも家内はよく菓子を食べる。果物に手が出る私とは、やはり嗜好が違う。それに何より、奈良には菓子の歴史がある。そもそも饅頭(まんじゅう)の発祥地が奈良だ。

室町時代(1349年)、禅僧とともに中国から渡来した林浄因(りん・じょういん)は、茶に添える菓子として饅頭を使おうとしたが、中国の饅頭(マントウ)は肉を使うためお坊さんは食べられない。で、代わりに小豆を使った饅頭を考案した。その後浄因は漢国(かんごう)神社(奈良市漢国町)の近くに住み、塩瀬という店を出して評判になったそうだ。のち浄因は饅頭の祖として漢国神社境内社の林(りん)神社に祀られ、現在も4/19の例大祭には全国の製菓業者から饅頭が供えられている。

紀元前の伝承もある。古来、菓子は果物(水菓子)を指したが、『日本書紀』によれば、垂仁天皇(紀元前29年~)は田道間守(たじまのもり)に命じて、常世(とこよ)の国に不老不死をもたらす非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)を求めさせた。この時田道間守が持ち帰ったのが柑橘系の果物で、今のミカンなどのルーツだとされる。以来、田道間守は菓祖神として、各地の菓祖神社に祀られている…。

能書きが長くなったが、再び新聞記事に戻る。《近畿百貨店協会(大阪市)によると、昨年の京阪神地区の百貨店の売上高は全体で前年比0.2%減。ところが、菓子類は1.7%増となった》《百貨店の顔「デパ地下」を引っ張る存在だ》。

食品は、賞味期限のごまかしや毒入り餃子事件、それに昨今の値上げラッシュと、どうもイメージが悪いが、お菓子がデパ地下でこんなに健闘していたとは知らなかった。

これからは桜餅、よもぎ餅、柏餅と、折々の菓子が出てくる。奈良県農政課の「奈良のうまいもの」づくりでも、第3弾のテーマは菓子だった。
http://www.pref.nara.jp/norinbu/umaimono/okasi-sousetu.htm

以前、京都新聞には「菓子ひなみ」という人気コーナーがあった。季節のめぐりや折々の行事・風物に合わせ、それにふさわしい和菓子を365日、写真とともに紹介していた。奈良県下でも、全国紙の奈良県版や地方紙で、こういう連載をしていただければ、興味深いコーナーになると思うのだが…。

※写真は3/26、近鉄奈良駅構内の和菓子屋さんで撮影。退社後に立ち寄ったのだが、桜餅も大福も売り切れだった。
コメント (2)
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