tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

天ざる・天もり発祥「室町砂場」(東京・日本橋室町)

2019年04月18日 | グルメガイド
4月8日(月)、奈良まほろば館(東京・日本橋三越前)から歩いて5分ほどの老舗「室町砂場」(東京都中央区日本橋室町4-1-13)を訪ねた。ここは「天ざる」「天もり」の発祥地だそうだ。冷たい蕎麦を、かき揚げの入った暖かいツユにつけていただく、いわばつけ麺の「あつもり」だ。ぴあMOOK『東京老舗名店』によると、



路地裏でひっそりと、しかしながら凛とした風格を漂わせる店構え。暖簾をくぐり中へ入れば、坪庭を臨む美しい空間が広がる。初代は、砂場の系譜より暖簾を得て、魚籃坂(ぎょらんざか)に独立。その後、1869年(明治2)に現在の地に移り、店を構えた。当時の地名は本石町だったことから「石町砂場」と称していたが、戦後の町名変更により「室町砂場」を名乗るようになった。


これは春日杉だろうか、見事な年輪が模様を描いている

「蕎麦は日本の文化」を信条に独自の工夫を重ねてきたなかで、三代目の時に考案したのが名物の「天ざる」だ。夏の暑い時期でもおいしく天ぷらを食べられるようにとの想いから、まかないで温かいつゆに天かすを入れて食べていたのをヒントに考え出されたもの。つゆがよくなじんだかき揚げから程よいコクが生まれ、冷たい蕎麦と共に味わえばスルスルと喉を通る美味しさだ。現在店を取り仕切る五代目は日本料理の腕も磨いているため、季節感あふれる一品料理も充実。休日には蕎麦前を楽しみながら、江戸情緒に浸るのも一興だ。


蕎麦の香りが楽しめる「天もり」(一番粉使用)1,550円。「天ざる」(更科粉)は1,600円

「東京の人はかき揚げが好きなのだ」といつも思う。ランチタイム、立ち食い蕎麦屋でかけそばの上に分厚いかき揚げを載せて食べているサラリーマンを見ると、「これが東京パワーの源なのだな」といつも感心する。関西なら、やはり「きつね」だ。

なお関西では「蕎麦前」とは言わない。蕎麦屋さんで、軽い肴で一杯ひっかけることが「蕎麦前」だ(締めが蕎麦だから蕎麦の「前」)。だから東京の蕎麦屋さんでは「蕎麦前」用の肴(板わさ、玉子焼き、天ぷらなど)が充実している。「うどん そば 丼物」の関西とは文化が違うのだ。そういえば浅草生まれの故飯田蝶子さんは「風邪ひいたときはね、お蕎麦屋さんで熱燗をキューっと引っかけて熱いお蕎麦をいただくと、たいてい直っちゃうのよ」と言っていたっけ。

私は講演の前だったので「蕎麦前」は楽しめなかったが、一度はこんな江戸の老舗で、粋に蕎麦前をいただきたいものである。
コメント (2)
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