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子どもから老人像までが揃った「渡海文殊群像」(安倍文殊院)/毎日新聞「やまと百寺参り」第48回

2020年04月03日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。昨日(2020.4.2)掲載されたのは「幼・青・壮・老の菩薩群像 安倍文殊院(桜井市)」、執筆されたのは桜井市在住で同会副理事長の雑賀耕三郎さん。
トップ写真のキャプションは、「人の一生を感じさせる文殊菩薩群像=安倍文殊院提供」

安倍文殊院の5体の国宝・渡海文殊群像について、お寺のHPには《獅子に乗る文殊菩薩を中心として、向かって左に維摩居士(最勝老人)と須菩提(仏陀波利三蔵)、向かって右に獅子の手綱を持つ優填王と先導役の善財童子、四人の脇士を伴う「渡海文殊群像」は、雲海を渡り、私達衆生の魔を払い、智恵を授ける為の説法の旅に出かけているお姿です》とある。これが幼年から老年までの一生を表現しているとは、初めて知った。では、記事全文を紹介する。

安倍文殊院の文殊菩薩(ぼさつ)群像は鎌倉時代の仏師、快慶が造立しました。巨大な獅子(しし)にまたがる文殊菩薩を仰ぎ見ます。理知的でさわやかな表情は、智恵をつかさどる菩薩にふさわしいお顔です。右手には剣、左手には蓮の花を持ち、仏の道を守りぬく菩薩の強い思いも表されています。いきいきとした青年の姿と見て取れます。

文殊菩薩を乗せる獅子の愛らしい表情に和みます。獅子は頭を左に傾け、手綱を取る優填王(うてんおう)と心を合わせます。優填王は力強く、獅子の手綱を取ります。堂々とした威厳のある姿に壮年としての力強さが強調されています。

先導は善財童子(ぜんざいどうじ)、動きがあり衣が後ろになびいています。あどけない表情が人気です。向かって左側にはインドのお坊さん・須菩提(すぼだい)が立ちます。高い鼻、歯をむき出しの異国のイメージで、初老の姿です。その左手は維摩居士(ゆいまこじ)で、中国の仙人の姿をとり老人が連想されます。子供、青年、壮年、初老、老人がそろった群像は、人の一生を感じさせる仏像群です。(奈良まほろばソムリエの会副理事長 雑賀耕三郎)

(宗 派)華厳宗別格本山
(住 所)桜井市阿部645
(電 話)0744・43・0002
(交 通)近鉄・JR桜井駅下車、徒歩約20分
(拝 観)9時~17時 700円(お抹茶付き)
(駐車場)有(500円)


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