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田中利典師の『体を使って心をおさめる 修験道入門』集英社新書(12)/「脱・社会の欺瞞」PARTⅡ.

2022年05月11日 | 田中利典師曰く
田中利典師の名著『体を使って心をおさめる 修験道入門』(集英社新書)を、師ご自身の抜粋により紹介するシリーズ。今回は「脱・社会の欺瞞」PARTⅡ.をお届けする。これが本書からの抜粋の最終回となる。
※トップ写真は、吉野山・上千本付近の桜。2022.4.11(月)撮影

選挙のたびに「この国の将来をどうしたいのかを考えて投票しよう」と言われるが、目の前の身過ぎ世過ぎに追われている一般の国民に、本当にそんなことができるのか、師は疑問を抱く。師のFacebook(3/5付)から抜粋させていただく。

シリーズ修験道「脱・社会の欺瞞」
拙著『体を使って心をおさめる 修験道入門』(集英社新書)は7年前に上梓されました。一昨年、なんとか重版にもなりました。「祈りのシリーズ」の第2弾は本著の中から、「修験道」をテーマに、不定期にですが、いくつかの内容を紹介いたします。よろしければご覧下さい。 

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「国の将来を考えますか?」
選挙のたびに、当然のことといえば当然ですが「あなたの一票を活かそう」といって、とにかく投票を促していますね。18歳から選挙権をもたせるよう法改正案もありますし、2013年にはインターネットでの選挙活動が解禁になり、国民に対して、ますます選挙への関心を高めよう、参加してもらおうという動きは盛んです。

なぜ、選挙に行くべきなのか。その呼びかけの論旨展開は、多少のバリエーションはあっても、必ず「あなたの一票が日本の未来を変える」「よりよい日本のためにあなたの一票を」というようなもので、背景に、「この国の将来をどうしたいのかを考えて投票しよう」というようなメッセージが含まれています。

しかし、私はちょっとちがうと思うのです。もちろん、一票を投ずることは国民の権利ですし、国政に積極的に関わりたいと思う有権者もいるとは思います。けれども、庶民のほとんどは、やっぱり目の前のやるべきことに一生懸命な日々を送っていると思うのです。

学生なら勉学を、会社員なら仕事を、子育て中の父母なら子育てと生計をたてるための仕事を、一生懸命こなしています。もちろん、リタイア後の方だって、自分が興味関心をもてる趣味や、地域とかなにかの活動など、まず、目の前の生活に関わることを一生懸命、やっているはずです。良い悪いは別にして、全員が全員、わざわざ日本の将来を考えて暮らしたりしていないと思うのです。

「グローバルからパーソナルへ…修験道ルネッサンス」
いまの日本の国のあり方は、第二次世界大戦以降のユニバーサルとかグローバルなものの考え方にのっとって、「国家が国民を管理する」というやり方です。それは、極端にいえば、国民を資本に国家経営を成り立たせる一方通行的な関係でもあります。

たとえば管理している国がいざなにかがあったときに守ってくれるのかといったら、あの東日本大震災の被災地や福島第一原発の事故時の対応を見てもわかるように、国が一家の主のごとく、家族である国民の面倒をしっかりみて守るなんてことはないのです。

私たち国民は、少しずつ、今のグローバル社会の欺瞞に気づいていると思います。物質文明が発達して、確かに私たちの暮らしは便利になりました。私も含め、現代に生きる人はみな、その便利さは享受したいと思っているはずです。しかし、一方通行の管理社会に身をまかせきるのではなく、仏教や神道、もちろん修験道も説く「関係性の中に真理がある」というような社会にこそ身をおきたいと望んでいるように感じます。

自然と人、社会と人、人と人…、その繋がりあう中に人生の真理があるのです。つまり、アンチグローバリゼーション、神仏和合の世界、人間と自然との関係性の中で自分自身を見出すような社会に、いま一度立ち帰るべき時期なのではないか、はっきりと意識しないまでもそう感じている人が多い気がします。

私は、日本人がこれからの時代、もっと心から望む日本的な生き方ができるよう、その可能性を広げる役割を修験道が担っていると思っています。それを私は「修験道ルネッサンス」と呼んでいます。

日本という国が産声をあげたときから続き、しかも、絶えずパーソナルな関わりにより添ってきた山伏の世界の中に、これから千年先の日本を考えるのに大切なものがあると、そう私は確信しています。ぜひ、修験道の可能性をみなさんも経験してみてください。
#ロシアにウクライナへの即時停戦を訴えます。

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今回のシリーズはここまで…。長らくのお付き合い、ありがとうございました。またまたシリーズは少しおやすみをして、次回も違う企画で再開したいと思います。乞うご期待!なお、本稿の全文は拙著『体を使って心をおさめる 修験道入門』をお求め下さい。Amazonの回し者か(笑
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