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田中利典師の『吉野薫風抄』白馬社刊(1)/「心が変われば態度が変わる、態度が変われば人格が変わる、人格が変われば人生が変わる」

2022年05月28日 | 田中利典師曰く
田中利典師の処女作にして最高傑作という『吉野薫風抄 修験道に想う』(白馬社刊)を、師ご自身の抜粋により紹介するというぜいたくなシリーズである。本書は、当ブログでも紹介させていただいたことがある。
※トップ写真は風薫る吉野山・蔵王堂前(2022.5.20撮影)、この連載のために撮りに行った

初回の今回は「心を変える」。師のFacebook(4/22付)から転載する。なおAmazonで「修験道あるがままに シリーズ」〈電子版〉を検索すると、Kindle版が無料で読める。

シリーズ「吉野薫風抄」(1)
私の処女作『吉野薫風抄』は平成4年に金峯山時報社から上梓され、平成15年に白馬社から改定新装版が再版されました。また令和元年には電子版「修験道あるがままに シリーズ」(特定非営利活動法人ハーモニーライフ出版部)として電子書籍化されたという、私のとっておきの書籍です。

長らくお休みしていました「祈りのシリーズ」の第3弾は、本著の中から不定期にですが、いくつかの内容を紹介して再開いたします。なにせ若書きの文章ですので、いささか稚拙ではずかしいものばかりですが、よろしければご覧下さい。 

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「心を変える」
信仰とはなかなか難しいものである。多くの人々は何か困ったことが起きた場合にのみ、慌てて神仏の力を頂こうと信仰をする。これは欲深い私たち凡夫にとっては、大変当たり前の心持ちであるが、これでは困るわけで、常日頃から、近しく神仏に親しんでいることが大切なのである。

信仰の目的には様々なものがあるけれど、今の生活をより以上に良くしていきたいと願って信仰するのがその一つ。先に述べたように、困った時の神頼みも含めて、おおかたの人がこういった動機から信仰を始めるようである。

これに応えるための一つの方法として私は、御本尊への帰依(きえ)を説くかたわらで、数霊学という簡単にいうなら一種の気学を用いて、その人の運気の流れを読んで、自然の摂理、自然の法にかなう生活を説いている。もちろんこれは信仰本来の目的からするなら、補助的であるということは十分承知している。

具体的にいうと、稲作は春先に苗付けをするから秋に刈り入れができるわけで、冬の寒中に種を播いたのでは、決して成長はしないであろう。同様に、人間もまた、 その人その人の置かれている状況や、持って生まれた運気に応じた形で、人生の種を播いていかないことには、何事についても良い実を得ることは難しい。

そこのところの、法(法則)にかなう生活が大切なのであり、それを指導させて頂いているのである。ただ神仏におすがりさえすれば、不治の病も立ちどころに治るというような、夢のような話を期待するのは少々虫が良すぎるし、所謂(いわゆる)そういった現世利益には限界があるのである。



もう一つ大きな信仰の目的は、今の生活の中でよりよく生きようとする信仰。これが実はたいへん大切なことであり、 こちらの方が信仰本来の目的であるといえる。

人間はみな平等であるとはいうものの、実際は一人一人それぞれ違っていて、千差万別の差別がある。生れつき身体の弱い人、顔の美しい人、不器用な人、恵まれた家庭に生まれた人、運の強い人。それは人間のはからいを超えた、何とも仕方の無いことであり、大切なことは、人それぞれに違いがあるこの与えられた条件の中で、如何によりよく生きていくかということに尽きるわけである。

そのためにどうするかというと、 それはもう一にも二にも、心のあり方次第なのである。心のあり方さえ正しく定まっていれば、自分を取り囲む状況も、よりよい方向に巡っていくし、自分自身がよくなっていくのである。

「心が変われば態度が変わる、態度が変われば人格が変わる、人格が変われば人生が変わる」と説かれる所である。そしてこの、自分の置かれた状況の中でよりよく生きる、心を高めて生きるためにこそ、神仏に親しく交わり、 正しい法に生きることが、大切な信仰の道と言えるのではなかろうか。こういう信仰心こそを日頃から培っていくべきであろう。

たった一度の人生を、ぐちばかり言って、後悔を繰り返して生きることはあまりにもったいないことである。信仰の道に極まった楽しい日々を暮らしたいものである。

*写真は平成15年版の『吉野薫風抄』(白馬社刊)。一時期、Amazonで、一冊25000円の高値がついたときがありましたが、いまは普通に買えます。

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なお、Amazonにて修験道あるがままに シリーズ〈電子版〉を検索いただければ、Kindle版が無料で読めます。
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