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祈れば命がよみがえるという畝尾都多本神社(橿原市)/毎日新聞「やまとの神さま」第24回

2022年11月23日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先々週(2022.11.10)に掲載されたのは〈イザナギの涙 井戸がご神体/畝尾都多本神社(橿原市)〉、執筆されたのは同会広報グループのメンバーで、大和高田市在住の福岡康浩さんだった。
※トップ写真は、玉垣に囲まれたご神体の井戸=橿原市木之本町で

畝尾都多本(うねおつたもと)神社のご祭神は泣沢女神(なきさわめのかみ)。古事記に登場する神さまのなかで、「奈良県内で祭られている神さま」としては一番最初に登場する神さまである。では全文を紹介する。

畝尾都多本神社(橿原市)
畝尾都多本(うねおつたもと)神社は藤原宮跡東側の橿原市木之本(きのもと)町にあります。大和三山の中で最も多く万葉集に歌われ、天降(あも)りついたと伝承されている天香久山の西麓(せいろく)に鎮座しています。祭神は泣沢女神(なきさわめのかみ)で、泣沢神社とも呼ばれます。本殿はなく拝殿の奥に玉垣で囲んだ井戸がご神体として祭られています。

古事記によると、男神イザナギと女神イザナミの国生みの最後のとき、火神ヒノカグツチを生む際にイザナミが大火傷(やけど)で死んでしまいました。妻を亡くしたイザナギが悲しみ泣き叫んだ涙から生まれたのが泣沢女神と言われています。

社伝では、江戸時代の国学者、平田篤胤(あつたね)が「(この神は)命乞いの神なり」と、本居宣長は「雨に通ずる水神」と記し、古代からの信仰を伝えています。

また、飛鳥時代、高市皇子(たけちのみこ)が亡くなったときに桧隈女王(ひのくまのおおきみ)が詠んだ歌の碑が境内にあります。「泣沢の神社(もり)に神酒(みわ)すえ 祈れども わご大君は 高日しらしぬ(命乞いの泣沢神社に祈ったけれど高市皇子は天に行ってしまわれた)」と万葉集で歌われています。神話のイザナギの泣き叫ぶ感情や、桧隈女王の嘆きなど、境内は豊かな感情や情緒が満ちあふれている気がします。(奈良まほろばソムリエの会会員 福岡康浩)

(住 所)橿原市木之本町114
(祭 神)泣沢女神
(交 通)近鉄耳成駅 徒歩約20分、JR香久山駅 徒歩約20分
(拝 観)境内自由
(駐車場)無
(電 話)0744・48・0155(天香山神社)


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