10月9日(金)、「銘木吉野杉で建てる“本物の”木の家」づくりがモットーの地元工務店・株式会社イムラが、創立30周年および奈良新社屋・展示場竣工を祝う会が奈良ホテルで開かれた。
※トップ写真は井村義嗣社長。写真は4枚を除き10/9の撮影
ホテルでのパーティの前には、奈良の新社屋と展示場でお披露目があり、それぞれ担当の社員さんがコンセプトなどを分かりやすく説明して下さった。そのあと、バスで奈良ホテルへ移動し、盛大なパーティが開かれた。井村真輝さん(同社南大阪支店)が、早速翌日(10/10)のFacebookで紹介しておられた。
展示場では2階もご案内いただいた
昨日、奈良ホテルにて(株)イムラの創立30週年並びに新本社建設記念パーティを執り行わせていただきました。普段からお世話になっている多くの関係者の皆様にお越しいただき、激励の言葉をいただきました。弊社も色々な方々に支えていただき、30周年を迎えることができました。吉野の林業や地元の活性化のために、次の30年も精進させていただきます。これからもご指導ご鞭撻よろしくお願いします。
祝賀会では同社のこれまでを紹介するVTRのあと、川上村村長の栗山忠昭氏が挨拶に立った。栗山村長は昨年(2014年)、時事通信社のトップインタビューに答えて、このように語っておられた。
川上村の栗山村長
村再建の鍵となる林業の再生。かつて大阪・北浜の相場を動かした「吉野林業」は、輸入材の増大と木材価格の低迷で30年来の長いトンネルの中にある。しかし村長は、全てを国や外材のせいにするのではなく、自ら改革する必要があると強調する。「山守制度」と呼ばれる管理制度や森林組合など古い組織の上にあぐらをかいて「山を循環させる」努力を怠ってきたのではないか。関係者らと向き合い、時に批判もいとわない。目指すのは「吉野材の持続可能な一貫供給体制」の構築だ。
ひと足先にこの「吉野材の持続可能な一貫供給体制」を構築したのが、イムラと川上さぷり(川上産吉野材販売促進協同組合 理事長:上嶌逸平氏)だった。15年前の2000年(平成12年)、それまで高級品とされていた吉野杉をリーズナブルに供給できる合理的な流通の仕組みを構築したのである。いわゆる「産直住宅」の提供だ。
その後今年度に入って、川上村と林業4団体(川上村森林組合・川上郷吉野林産協同組合、吉野木材協同組合連合会・川上産吉野材販売促進協同組合)は「吉野かわかみ社中」を立ち上げ、日本の林業再生・森林環境保全にもつながる官民一体の事業システムが完成した。
功労者のお1人、川上さぷりの上嶌理事長。これら4枚の
写真は、イムラの「伐採体験ツアー」(2009.2.8)で撮影
イムラはこれらの取り組みにより、本年9月「林業再生事業システム (500年の吉野林業を住まいづくりで守る!川上村との取り組み)」として、2015年度の「グッドデザイン賞」を受賞された(受賞対象事業の主体者名はイムラ、川上村、川上さぷりの三者)。同賞の「審査員の評価」には、このように書かれている。
工務店と地域の林業組合と行政が力を合わせる事により、流通の徹底的な合理化を行いつつ、消費者ニーズに合わせた技術供給を含めた販売方法へと転換し、需要に繋がり森林の活性化をもたらした。林業関係者だけではこのような革命的な取り組みは不可能であった。守る意識が強い日本の林業に攻めて変革するひとつの突破口を見せてくれた。
川上さぷりで製材された木材を見学
さらにイムラのHPには、このように書かれている。
流通改革に加え、元材木商の知識と経験を活かした合理的な木取りの提案と材料の有効活用で、さらなる吉野杉のコストダウンを実行。その上で、生活者ニーズを意識して洋風空間にも吉野杉を活かし、構造から内装まで一棟丸ごと使用した住宅を企画しました。また一方では、川上村との協働で「伐採体験ツアー」や「川上村PRイベント」などを催し、吉野杉の価値を広く訴求する活動も行っています。 こうした取り組みの結果、15年間で約700棟(樹齢100年ものに換算し約4万本)もの吉野杉の需要を創造しました。
イムラの大工さん匠の技・やりがんな(16世紀末に現在のかんなが出現するまで使用)
この「伐採体験ツアー」には、私も参加させていただいた。森林に原木が成長していて、それを伐採する場面に立ち会い、そのあとは製材された現場を見に行く。最後はイムラの大工さんたちが作業を行う「高田クラフト」を訪ね、匠の技をご披露いただく。ランチタイムには山菜釜飯とあつあつの豚汁をいただき、食後は餅つきも体験できるという楽しいツアーだった。吉野杉の原木を見て「ああ、こんなに丁寧に育てられた吉野杉が我が家の一部になるのだ」と感動された方も多かったに違いない。
南都銀行の橋本頭取(吉野町出身)
閑話休題。栗山氏の次には株式会社南都銀行頭取の橋本隆史氏が登壇、これまでのイムラの経営努力を讃え、同行も引き続き協力していく旨を力強く表明。乾杯の音頭は前奈良県知事の柿本善也氏で、これはサプライズだった。何でも、引退後の柿本氏のお住まいは、イムラが建てた川上産吉野杉のお家とのこと。
柿本前奈良県知事
豪華な食事、雅楽の演奏と舞のアトラクションとパーティは続き、締めにイムラの井村義嗣社長が登壇した。社長は常々、同社のHPでこのように述べておられる。
住まいは地元の木材や素材を使い、気候風土や風習に合わせて地元の職人がつくることが一番だと考えております。私たちが特に“吉野杉”にこだわるのは、単に良材を使うと言うことだけではありません。地元で育った木を使うことにより、地元の山や環境を守りたいという思いがあるからです。
このような思いは、創業80年の材木商の3代目として従事して地元林業の現状を直接感じたからです。また、本物の木を使った家づくりを行うためには熟知した大工や職人が必要です。私たちは、伝統技術を持った職人を育成し、長く受け継がれてきた匠の技を生かした本物の手づくり住宅を一棟一棟丹念に仕上げてまいります。
登壇した社長の言葉で印象に残ったのは「本物の吉野杉の家を作ろう、と思い立ったものの、本当にそんなことができるのかと、最初は不安で一杯でした」というくだり。やはり社長も相当悩まれたのだ。しかし、そのご努力が実を結び、約700棟の建築という素晴らしい実績につながったのである。
井村社長、および株式会社イムラの全役職員の皆さん、このたびは本当におめでとうございます。良いタイミングで「グッドデザイン賞」も受賞され、お喜びもひとしおのことと存じます。引き続き、本物の吉野杉の家を求めるユーザーのために、また川上村、吉野の林業、そして日本の林業のために貢献していただきますよう、よろしくお願いいたします!
※トップ写真は井村義嗣社長。写真は4枚を除き10/9の撮影
ホテルでのパーティの前には、奈良の新社屋と展示場でお披露目があり、それぞれ担当の社員さんがコンセプトなどを分かりやすく説明して下さった。そのあと、バスで奈良ホテルへ移動し、盛大なパーティが開かれた。井村真輝さん(同社南大阪支店)が、早速翌日(10/10)のFacebookで紹介しておられた。
展示場では2階もご案内いただいた
昨日、奈良ホテルにて(株)イムラの創立30週年並びに新本社建設記念パーティを執り行わせていただきました。普段からお世話になっている多くの関係者の皆様にお越しいただき、激励の言葉をいただきました。弊社も色々な方々に支えていただき、30周年を迎えることができました。吉野の林業や地元の活性化のために、次の30年も精進させていただきます。これからもご指導ご鞭撻よろしくお願いします。
祝賀会では同社のこれまでを紹介するVTRのあと、川上村村長の栗山忠昭氏が挨拶に立った。栗山村長は昨年(2014年)、時事通信社のトップインタビューに答えて、このように語っておられた。
川上村の栗山村長
村再建の鍵となる林業の再生。かつて大阪・北浜の相場を動かした「吉野林業」は、輸入材の増大と木材価格の低迷で30年来の長いトンネルの中にある。しかし村長は、全てを国や外材のせいにするのではなく、自ら改革する必要があると強調する。「山守制度」と呼ばれる管理制度や森林組合など古い組織の上にあぐらをかいて「山を循環させる」努力を怠ってきたのではないか。関係者らと向き合い、時に批判もいとわない。目指すのは「吉野材の持続可能な一貫供給体制」の構築だ。
ひと足先にこの「吉野材の持続可能な一貫供給体制」を構築したのが、イムラと川上さぷり(川上産吉野材販売促進協同組合 理事長:上嶌逸平氏)だった。15年前の2000年(平成12年)、それまで高級品とされていた吉野杉をリーズナブルに供給できる合理的な流通の仕組みを構築したのである。いわゆる「産直住宅」の提供だ。
その後今年度に入って、川上村と林業4団体(川上村森林組合・川上郷吉野林産協同組合、吉野木材協同組合連合会・川上産吉野材販売促進協同組合)は「吉野かわかみ社中」を立ち上げ、日本の林業再生・森林環境保全にもつながる官民一体の事業システムが完成した。
功労者のお1人、川上さぷりの上嶌理事長。これら4枚の
写真は、イムラの「伐採体験ツアー」(2009.2.8)で撮影
イムラはこれらの取り組みにより、本年9月「林業再生事業システム (500年の吉野林業を住まいづくりで守る!川上村との取り組み)」として、2015年度の「グッドデザイン賞」を受賞された(受賞対象事業の主体者名はイムラ、川上村、川上さぷりの三者)。同賞の「審査員の評価」には、このように書かれている。
工務店と地域の林業組合と行政が力を合わせる事により、流通の徹底的な合理化を行いつつ、消費者ニーズに合わせた技術供給を含めた販売方法へと転換し、需要に繋がり森林の活性化をもたらした。林業関係者だけではこのような革命的な取り組みは不可能であった。守る意識が強い日本の林業に攻めて変革するひとつの突破口を見せてくれた。
川上さぷりで製材された木材を見学
さらにイムラのHPには、このように書かれている。
流通改革に加え、元材木商の知識と経験を活かした合理的な木取りの提案と材料の有効活用で、さらなる吉野杉のコストダウンを実行。その上で、生活者ニーズを意識して洋風空間にも吉野杉を活かし、構造から内装まで一棟丸ごと使用した住宅を企画しました。また一方では、川上村との協働で「伐採体験ツアー」や「川上村PRイベント」などを催し、吉野杉の価値を広く訴求する活動も行っています。 こうした取り組みの結果、15年間で約700棟(樹齢100年ものに換算し約4万本)もの吉野杉の需要を創造しました。
イムラの大工さん匠の技・やりがんな(16世紀末に現在のかんなが出現するまで使用)
この「伐採体験ツアー」には、私も参加させていただいた。森林に原木が成長していて、それを伐採する場面に立ち会い、そのあとは製材された現場を見に行く。最後はイムラの大工さんたちが作業を行う「高田クラフト」を訪ね、匠の技をご披露いただく。ランチタイムには山菜釜飯とあつあつの豚汁をいただき、食後は餅つきも体験できるという楽しいツアーだった。吉野杉の原木を見て「ああ、こんなに丁寧に育てられた吉野杉が我が家の一部になるのだ」と感動された方も多かったに違いない。
南都銀行の橋本頭取(吉野町出身)
閑話休題。栗山氏の次には株式会社南都銀行頭取の橋本隆史氏が登壇、これまでのイムラの経営努力を讃え、同行も引き続き協力していく旨を力強く表明。乾杯の音頭は前奈良県知事の柿本善也氏で、これはサプライズだった。何でも、引退後の柿本氏のお住まいは、イムラが建てた川上産吉野杉のお家とのこと。
柿本前奈良県知事
豪華な食事、雅楽の演奏と舞のアトラクションとパーティは続き、締めにイムラの井村義嗣社長が登壇した。社長は常々、同社のHPでこのように述べておられる。
住まいは地元の木材や素材を使い、気候風土や風習に合わせて地元の職人がつくることが一番だと考えております。私たちが特に“吉野杉”にこだわるのは、単に良材を使うと言うことだけではありません。地元で育った木を使うことにより、地元の山や環境を守りたいという思いがあるからです。
このような思いは、創業80年の材木商の3代目として従事して地元林業の現状を直接感じたからです。また、本物の木を使った家づくりを行うためには熟知した大工や職人が必要です。私たちは、伝統技術を持った職人を育成し、長く受け継がれてきた匠の技を生かした本物の手づくり住宅を一棟一棟丹念に仕上げてまいります。
登壇した社長の言葉で印象に残ったのは「本物の吉野杉の家を作ろう、と思い立ったものの、本当にそんなことができるのかと、最初は不安で一杯でした」というくだり。やはり社長も相当悩まれたのだ。しかし、そのご努力が実を結び、約700棟の建築という素晴らしい実績につながったのである。
井村社長、および株式会社イムラの全役職員の皆さん、このたびは本当におめでとうございます。良いタイミングで「グッドデザイン賞」も受賞され、お喜びもひとしおのことと存じます。引き続き、本物の吉野杉の家を求めるユーザーのために、また川上村、吉野の林業、そして日本の林業のために貢献していただきますよう、よろしくお願いいたします!
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