tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

競演!ガクアジサイ

2008年06月21日 | 写真
長い間、ガクアジサイは普通のアジサイ(西洋アジサイ)の変種だと思っていた。サイズも小ぶりだし、花が少ないので印象も弱かった。

しかし写真を撮るようになってから、この花の良さが分かってきた。開花の状態や撮る角度によって、イメージもガラリと変わる。冒頭の写真はならまち(奈良町)で見つけたものだが、鮮やかな緑の葉が花を引き立てている。

最近になって《一般的に植えられている球状のアジサイはセイヨウアジサイであり、日本原産のガクアジサイを改良した品種である》(Wikipedia)ということを知った。思い込みとは逆に、ガクアジサイがアジサイのルーツだったとは。



上の写真は6/8、信州・昼神(ひるがみ)温泉の朝市で撮った「紅山(くれないやま)アジサイ」。「日本のアジサイの原種」という説明がついていた。よく似たアジサイを奈良市柳生の芳徳寺(ほうとくじ=柳生家の菩提寺)の参道で見かけた(07.6.23撮影)。柳生宗矩公や沢庵和尚も、この花を見て目を細めたのだろうか。



同じ日に「柳生花しょうぶ園」で見つけたガクアジサイは、もっと大ぶりなもので、西洋アジサイに相当近づいている。



大阪市内では、ビルの玄関前の植え込みでガクアジサイを見つけた。さすがに都会的でお洒落なガクアジサイだ。日陰のひっそりとした空間に、この花はよく似合う(08.6.15)。



奈良国立博物館の北側(東大寺南大門近く)にある「ふれあい街道 夢しるべ 風しるべ」では、アジサイやガクアジサイの鉢植えを敷地内の至る所に並べていた。和風の建物とアジサイは、とても相性が良い(08.6.14)。



おしまいは「花空間けいはんな」(京都府相楽郡精華町)。植物園だけに、うまく場所を選んで咲かせている。花に勢いがあるし、色も鮮やかだ(08.6.22撮影)。





俳句でガクアジサイは、「額の花」としてよく登場する。例えば

くらければ障子をあけぬ額の花  大野林火

暗かったので障子をあけると、みずみずしいガクアジサイが目に飛び込んできたのだろう。梅雨は今が本番だが、この季節にガクアジサイはピタッとはまる花である。私もサッシの窓を開けて、庭のガクアジサイをしばし眺めてみることにしよう。
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カシータというレストランを知っていますか?

2008年06月20日 | グルメガイド
驚いた。こんなレストランが実在するとは…。週刊観光経済新聞(08.6.14付)に載っていた話である。

船井総研チーフコンサルタント・西川丈次氏が連載する「観光業活性化 ホスピタリティレポート」(第75回)で、タイトルは「驚きの連続が違いを生み出す」だ。こんな書き出しで始まる。

《親しい旅館の社長とお会いした時に「東京のカシータというレストランを知っているか」と聞かれました。名前は聞いたことはありましたが、その内容は詳しくは知りませんでしたが、話を伺ってびっくりしました》。

私は内容どころか、名前すら全く知らなかった。以下、やや長くなるが記事を引用する(△△社長とは、話し手の旅館社長のことである)。「Casita(カシータ)」とは、高橋滋氏(1952年生まれ)が運営する高級リゾート風レストランだ。

△△社長は、知り合いに誘われて初めてカシータに行った。《受付で名前を言うと「○○さまはすでにお越しです。テーブルにご案内します」と案内をされました》《「△△さま、いらっしゃいませ」「△△さま、お待ちしておりました」。こうした声をテーブルに案内される途中で頻繁にフロアスタッフから掛けられたそうです》。

テーブルには、△△社長の《イニシャルが刺繍されたナプキン、メニュー、そしてデザートにもチョコレートで名前を書くといった徹底ぶりだったそうです。レストランから帰る時には、3階のエレベーターの前で非常に気持ちの良い見送りをされたそうです。ところが、1階に着くと3階で分かれたはずの人がすでにそこに居て「何でお帰りですか。タクシーご利用ならつかまえてきます。どちらまでですか」。そんな会話をしたそうです》。

《そして、その日最後のサプライズが起こったのです。誰にも知らせていなかった宿泊ホテルに着くと、部屋のメッセージランプが付いていたのです。カシータからのもので「今日は有り難うございました」というメッセージだったそうです》。

従業員がイアホンをつけて無線で飛ばせば、△△社長が到着したことは全員に伝わるし、タクシーをつかまえる時には行き先(宿泊先)を知ることができる。《何も手品を使った訳ではなく、すべては仕組まれた演出です。しかし、その仕組みを「企業力」として持つこと、そしてそれを実行する「人間力」を高いレベルで維持することは非常に難しいことです。この小さな演出をやり切るところに「レストランカシータ」の素晴らしさがあるのではないでしょうか》。

カシータの高橋氏は、△△社長にこう言ったそうだ。次回訪問時までに「新しいサプライズを準備しています」と。それは《今日の利用が次のサプライズを生み出す》という仕組みで、《どのタイミングで何の銘柄のビールを飲まれたか、どんなワインが好みか―が管理され、リピーターになればなるほどさらに深い感動が提供されるのです。そうです、徹底したCRMが最高の武器として使われる結果が、レストランカシータの伝説を作り出しているのです》。
※Casita(カシータ)の公式ホームページ
http://www.casita.jp/

流行のマーケティング用語である「CRM」(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント=顧客関係管理)などと言ってしまうとそれまでだが、これを徹底してやり抜くところが、カシータのすごさである。ブログなどを覗いてみても、カシータの世評の高さがうかがえる。
※参考:『Casita(カシータ)』―セミナー編―
http://blog.livedoor.jp/katonana/archives/23615885.html

日経流通新聞では、06.1.6付の1面トップ記事で接客を重視するお店を特集していて、その冒頭で紹介されたのがカシータだった。

《昨年のクリスマス。東京・青山のアジアンリゾートをテーマにした「レストラン カシータ」のテラスはここだけ、真っ白い雪で覆われた。中央には雪だるま。ロマンチックな「ホワイトクリスマス」にカップルは寄り添い、デザートや食前酒などを楽しむ。そばには、こたつと電気毛布が置いてある》《東京都心はこの日、雪は降らなかった。実は行きは22日と23日の2日かけて、男性スタッフ3人が深夜、群馬県まで車を走らせ集めてきたものだ》。

《大手コーヒーチェーンのトップが来店した時には、事前にこっそり制服と食器類を借りて、そのコーヒー店さながらに制服を着たカシータのスタッフがもてなした。バイクマニアの誕生日パーテイーではハーレーダビッドソンを飾ったこともある》。

《こうした優雅で驚きのある演出の数々が話題となり、全国から客が押し寄せる。プロポーズなど「人生でここ一番の時に選ぶ店」という評価も広がっている》。

高橋滋氏のモットーは「レストランはハードじゃないよ、ハートだよ」だそうだ。究極のリゾートといわれる「アマンリゾーツ」のサービスとホスピタリティに感銘を受け、「Casita(カシータ)」を開業したそうだ。『I am a man』という著書もある。
http://www.ohtapub.co.jp/books/contents/aman.html

「○○はハードじゃないよ、ハートだよ」とすると、○○のところにはいろんな言葉が入りそうだ。カシータの客単価は15000円だそうだ。いつも予約で満杯とのことだが、日程が合えば、上京の折にはぜひ訪ねてみることにしたい。

※写真は、花空間けいはんな(京都府精華町)。06.9.16撮影。
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大和の地名(3)喜佐谷

2008年06月18日 | 奈良にこだわる
吉野町大字喜佐谷(きさだに)は、6/3に当ブログで紹介させていただいた。万葉集に「昔見し象(きさ)の小川」「み吉野の象山(きさやま)として登場する。象の小川は、今は喜佐谷川と呼ばれている。対岸の桜木神社に渡る小橋は、木末橋(こぬればし)と命名された。
※桜木神社と象の小川(当ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ef3d6fc9f5a4b6d38398118e42d6309d



「象(きさ)」が佳字(かじ=縁起の良い字)化して「喜佐」になったのは見当がつくが、そもそも、なぜ動物の「象」の字が当てられていたのか。

『奈良の地名由来辞典』(東京堂出版)を開いてみる。『和名抄』によると、材木の木目模様を「きさ」(木偏に雲)といい、木佐とも書く。《奈良朝時代、象そのものは実見していないが、「天智紀」十年条に「象牙(きさのき)」と載る。正倉院宝物の象牙文様が波状の縞模様の木目に似ているので、S字型に蛇行する谷を象谷と称したのだろう。キサは地形語で、キサはギザギザ(刻刻、段々)の義か。「喜佐」は佳字である》。



なるほど。つまり木目(木佐)が象牙にたとえられて「象(きさ)」という表記ができ、それが後に佳字化して「喜佐」となった、というわけだ。正倉院宝物も、思わぬところに登場するものだ。昔の人の想像力というのはすごい。

喜佐谷周辺は森の香りがあふれ、文字通り、森厳とした雰囲気が漂う。(「マイナスイオンたっぷり」と書きたいところだが、「発掘!あるある大事典」などが流行らせたマイナスイオンはインチキだったことが後に判明した、念のため。)
※マイナスイオン(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3

万葉びとも味わった喜佐谷の風情を、ぜひ追体験していただきたい。
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吉田さらさ著『京都、仏像をめぐる旅』

2008年06月17日 | ブック・レビュー
吉田さらさ著『京都、仏像をめぐる旅』(集英社be文庫 840円)を読んだ。プロローグで著者自らが《要するに、ミーハー仏像マニアによる熱烈ファンブックと思っていただければいい》と書いているように、これはいわば、ヨン様ならぬ「仏さま追っかけ本」である。

しかし決してひとりよがりのマニア本というのではなく、きちんとした知識と経験を踏まえて書かれた格好の仏像入門書であり、手軽な京都案内本でもある。何しろ吉田さんは『お寺に泊まる 京都散歩』(新宿書房)や『奈良 寺あそび、仏像ばなし』(岳陽舎)という本も書かれているのだ。
※参考:吉田さらさ著『奈良 寺あそび、仏像ばなし』(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/c00668a6fdbea0db19d168daf29d70e1

奈良市民として嬉しかったのは、本文の書き出しが《京都へ行く前に、ぜひ見てほしいのは、奈良の大仏様》だったことだ(基礎編その一)。奈良公園の鹿や大仏のカラー写真も登場する。

京都の前に《まずは、日本における仏像始まりの地、奈良に行き、そもそも仏像って何なのかというお話から始めたいと思います》として、螺髪(らほつ=頭のパンチパーマ)、肉髻(にくけい=頭頂の盛り上がり)、白毫(びゃくごう=眉間のほくろ状の毛)や仏像組織図(如来>菩薩>明王>天)の説明がある。それが分かりやすくて面白い。イラストもついているので、仏像に慣れていない人でも、すらすらと頭に入ることだろう。

P28の「基礎編その二」で、やっと《京都の基本四寺を歴史順に巡ろう》となる。基本四寺とは、広隆寺、東寺、平等院、三十三間堂のことだが、これは良いところを突いている。「庭の京都」に対し、「仏像と建築物の奈良」といわれる奈良がライバル視している京都の寺が、この四寺なのだ。


三十三間堂(07.5.26撮影)

吉田さんの自著紹介文には、《京都で仏像を見るコツは、まず、基本的な四つの寺を歴史順に回り、じっくり仏像と対面しながら基礎力を身につけること。その後、その基礎力を使って各自、好きな寺をゆっくり歩きます。この本を持って京都を歩けばこれまでまったく仏像について知らなかった方も、一通りのことがわかる仕組みになっています。仏像の歴史的意義を学び鑑賞法をマスターしたら、各自の感性で、自分だけの素敵な仏像を見つけてください》とある。前著の『奈良 寺あそび、仏像ばなし』と同様、面白くてためになる堂々の仏像手引き書なのである。
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-650146-0


鞍馬寺山門(07.3.22撮影)

基本四寺や応用編6コースをたどりながら、話はよく横道にそれるが、それがまた本書の魅力である。平等院ミュージアムショップの仏像トランプや、しば漬けの「ニシダや」(泉涌寺コース)に触れることも忘れない。

著者自ら撮った写真や図版を駆使し、肩肘張らずに読める叙情エッセイである。吉田ワールドの面白さが堪能できるこの文庫本を、ぜひお読みいただきたい。

※冒頭の写真は、花空間けいはんな(京都府相楽郡精華町)で08.6.22撮影。
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「奈良で食べたいお弁当」募集開始!

2008年06月15日 | 奈良にこだわる
6/13(金)から、奈良県(農林部マーケティング課)は「奈良で食べたいお弁当」(奈良のうまいもの 味わいグランプリ)の募集を開始した。レシピ(一次審査)と弁当現物(二次審査)が審査の対象となる。締切は8/22(当日消印有効)だ。ホームページによると趣旨は

《本県では、平城遷都1300年(西暦2010年)を契機に、食べ物・味覚の面から奈良をアピールするため、「奈良のうまいもの」づくりと奈良特産品・安心安全づくりに取り組んでいるところです。近年、「奈良のうまいもの」や大和野菜・大和肉鶏・大和牛などが、地域ブランドとして認知されつつあることを踏まえ、さらに、大和・奈良ブランドの確立と県内の活性化を図り、『お弁当』を通して、多くの観光客に奈良の「食」を味わっていただけるよう、あじわいグランプリを実施致します》。
http://www.pref.nara.jp/norinbu/umaimono/ajiwaiG.html

審査員は、「奈良のうまいものづくり」の委員・アドバイザーや旅行業者(仕入れ担当者)などで、県民ホールや県内のスーパーやコンビニ等で公募作品(写真)を展示した人気投票も実施される。《美味しさ(冷めた時)、奈良らしさ、彩り、県産食材の利用度合い、ネーミング、パッケージ、環境保全への配慮などを審査の対象とします。※人気投票結果を考慮》(同HP)とある。

この「奈良のうまいものづくり」も03(平成15)年度に始まり、はや5年。この「奈良で食べたいお弁当」は、第1弾の創作7品目、第2弾の郷土・特産品料理、第3弾のお菓子に次ぐ第4弾だ。なお冒頭の写真は、創作7品目のうちの「万葉弁当」(奈良パークホテル 04.8.19撮影)である。

県下のイベントなどに行くと「奈良のうまいもの」の幟(のぼり)やポスターを見かけるようにはなったが、まだまだ認知度は低い。近畿圏住民を対象にした南都経済センターの調査でも、「奈良のうまいものづくり」は「知らない」が83.0%、「知っている」は17.0%に過ぎない。
※参考:ウサギの毛先さがし(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/6f1883e6108d7284af6b72d02cde9447

弁当については、最近セブン-イレブンが県農林部とタイアップして「奈良のうまいもの弁当」を売り出し、話題を呼んだ。こういうニーズはまだまだあるということだ。
※参考:奈良のうまいもの弁当(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/4a536818e9c4099985f26c6b8d2322c0

県下では、かつて「きぬ巻時雨ずし」という秀逸な駅弁があった。柳屋が吉野口駅で販売していたものだが、残念ながら今はもうない(鮎が丸ごと一匹載った「鮎ずし」は、今もお店で販売しているが)。

奈良県下では駅弁が発達しなかったが、国内では「いかめし」(北海道)、「ますのすし」(富山)、焼鯖寿司(福井)などの名物弁当が観光客に人気を博している。今回のコンテストで、これら人気弁当をしのぐ奈良の名物が出現することを、私は大いに期待している。
http://eki-ben.web.infoseek.co.jp/29nara_yoshino.htm
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