今年も、ご近所から季節のジダケをいただいた。
犬の散歩から戻り、林の木漏れ日が爽やかな日陰の庭で皮むきをした。
小鳥のさえずりが静寂に響く静かな朝に、昔日の思い出が巡った。
今の季節、子どもたちを連れてジダケを採りに行ったのは、もう30年近くも前のことだ。数年旬のタケノコ採りに通った布引き高原は一面高原ダイコンの産地で、畑の周囲にクマザサが茂っていた。最近は、時代の流れで一大風力発電基地になっているようだ。景観も一変したのだろう。
ジダケ採りは、山が深いので自分の位置が分からなくなってしまう。子どもも一緒なので道路沿いをあまり奥に入らずに採った覚えがある。ラジオを木にぶら下げておいたり、中には塩ビテープで印を付けている人もいると聞く。
竹藪の中で、かがんで汗を流しながら手を伸ばし1本1本を採った。自分だけの空間に、呼吸が聞こえた。もう行くことはないかも知れない懐かしい思い出が浮かんだ。
焼いて食べる手頃な長さのジダケは残して、ナイフで縦に傷を付けて先端を斜めにカットする。ざるに取った、剥いたタケノコの緑がきれいだ。
今夜は、ニシンとジダケのみそ煮一品が食卓に載るだろう。
早速、朝食に間に合わせようと、台所のガスレンジでジダケを焼いた。剥かないジダケを網渡しに乗せ、皮が真っ黒に焼けると中のタケノコが蒸れて、食べることができる。味噌とマヨネーズで食べると歯触りの感触がよく、とても美味しかった。