■高原川へ■
昨年は「日券」という、その日一日だけ釣りが可能な券を当日現地のコンビニ等で買い求めて入漁していたが、今年は気合いを入れてシーズンを通して入漁可能な年券を事前に購入して備えていた岐阜県、高原川への釣行。
しかし、今冬は山々に雪が多く、飛騨地方もその例外ではなかった。高原川は岐阜県内でも特に海抜の高い所を流れているため、春の訪れは特に遅い。アプローチ道に雪の心配が無くなったのは4月に入ってからだった。
■笹島付近■
事前の情報では冬の大雪とに加えて3月は寒暖の差が激しく、雨&雪が交互にやってくるような天気傾向のため、特に下流部では増水続きと聞いていたが、それもようやく落ち着き始めたとのこと。当日は雨の天気予報ではあったが大した降りにはならない判断から、釣行を決意し、まずは入渓場所を確保するため、昨年初めてここを訪れた時と同じ笹島トンネル付近を目指した。
夜明けと共にポイントに降りたが、昨夏にあったという大水が原因なのか、昨年とまるで様子が変わっている。
以前の印象では、この区間は割と幅が広く、ゆったりとした流れと瀬が交互にやってくるように構成されたいたのだが、水量自体はあるものの、川筋がかなり細くなって水流の勢いが増している。あまりの変貌ぶりに、やや唖然としたが、これも計り知れない自然の力なのだ。土手や堰堤で守っているつもりであっても人間にはどうにもならないことを思い知らされ、変に感心しながらも竿を振り始めた。
しかし、川から魚の気配は消えたかのようだった。全体的に水深が浅く、昨年釣れたと記憶しているポイントのほとんどが潰れ、リセットされた状態になっている。当然、昨年不注意から玉網から逃してしまった推定38cmのイワナを掛けたポイントも消失しており、一時は途方に暮れてしまう。
「魚はいったい何処に居るのだろうか?。」こちらの頭もリセットしなくてはならない。
そんな時、
「大場所がダメなら、小さなスポットを攻めてみよう。」との思いが、ふと頭に沸き上がってきた。そこで瀬の中にある石裏にある、小さな掘れ込みを片っ端から狙い打ってゆくことにした。
何カ所か仕掛を打ち込んでゆく内に禁漁のブランクで薄れていた感覚を取り戻して(と言っても、この釣りのキャリアは少ないが…。)キャストの精度も上がり、ピタッと石裏に入り出すのに合わせたかのように、ようやくアタリを捉えるに至った。
答えが出たので同じ要領で攻めてゆくと、ポツポツながら、ゲット数が伸びて行き、区間の終了時には6匹を数えていた。
ただし、この区間ではイワナは25cm前後ばかりでサイズが伸びず、ボクが好きなヤマメが全く出ていない。
ココで、
「雪代(雪解け水)が入っているせいで、より低水温を好むイワナばかりなのか?」
「ということは、ヤマメはもっと下流のゆったりとした流れに居るのだろうか?」
等々、色んな思考がまたもや頭の中でグルグルと回り始める。
■葛山へ■
一旦、笹島地区を脱渓した30分後、ボクは下流側の葛山堰堤近くに立っていた。
この付近は先程の笹島から下流側にある最初の大きな魚止め(魚が行き来できない)堰堤があり、その上流にあるダム湖(土砂で大分埋まっているが)が
「それより上流への魚の供給源になっているだろう。」との予測をたてて、ココにやって来たワケだ。
最初の大場所こそ不発だったものの、次の「雰囲気丸出し」のポイントで、待望だった約20cmのヤマメをゲットする。
「続いて…。」を期待したが、そう甘くはない。こんな誰でも解りそうなポイントは、天気の良かった前日の土曜に相当攻められているハズだ。答えは全くその通りで、後が続かない。
以後はそのまま釣り上がって行くが、川底が砂礫質の部分が多く、今ひとつポイントになる決め手に欠ける雰囲気が漂う。
やはり予想が当たって、しばらくは何も起こらないまま、ただただ釣り上がっていくのみである。
この日の釣果全てに言えることだが、例えば淵部の流れ込みのような太い流れの筋=普段なら魚が多く居着いていそうなところでは反応がほとんど無い。これは前述したように前日に入った釣り人のプレッシャーと、当日の雨による増水と濁り、そして雪代による水温低下など色々と要因があったのだろうが、この日のココまでの傾向から推測すると、この区間でも観察して初めて気付くような小さなスポット=いわゆる「竿抜け」がキーワードであろう。そしてそれから推測されるスポットを探して仕掛を打って行く。
長年釣りをやっていると、何だか気配を感じる瞬間があるが、ボクの目に止まったポイントは正にそんな感じであった。
このポイントは強い流れの筋の奥に出来た小さなポケット状の「窪み」のようなところで、その部分だけが流れから取り残された真空地帯のようになっている。しかし、上から木が被さっているココは、ボクにサイドスローでのアプローチを要求している。
この頃、河原には強風が吹いていたが、コレがウマいことに追い風となっており、竿をサイドから振り込む途中で強制的にピタッとスウィングを止めてやると、水面と並行方向を飛来する仕掛を勝手に運んでくれた。そのことに気付くとオモシロいようにキャストが決まり始めた。
そしてこのポイントでは、この日初めてヤマメが連発した。
しかし、3匹抜いた後は、さすがに続かず、移動を余儀なくされる。
更に釣り上がると、「いかにも」的なポイントに差し掛かる。釣らない手はないので一応仕掛を打ち込むが、やはりこの日のパターン通りで反応はない。
何投かシツコク攻めたが、やはりダメ。そうこうする内に何かに気を取られて竿の扱いに集中できず、流し切っても竿の送りが止まったまま放ったらかしていると、仕掛が竿先を中心に弧を描き、手前にある水深の浅い、「何でもなさそうな」部分に回り込んでいった。しかし、何故かそんなころで偶然にもアタリが出始めるのであった。
エサを求めて小玉スイカくらいの底石が転がる浅場に出て来ているのだろうか、ココではイワナ&ヤマメが混棲しており、集中して攻めるためにやや下流に足場を換えてからは、それぞれが連発し始める。
仕掛は「何でもなさそうな」部分を何度も通過し、魚のゲット数も伸びていったが、とある底石に差し掛かった瞬間に、それまでとは違う、ゴツンという衝撃が竿を持つ手を襲った。
ロッドを立てるのと同時に、相手はグングンとトルクフルに締め込みながら下流側にある底石の裏に回り込もうとする。
ボクはその動きに合わせて下流へ移動し、相手の動きを先読みしつつ、走る方向へとワザと竿を回して一気に頭を持ち上げた。そして空気を吸わせると、幾分相手はおとなしくなっていった。そのスキをついて更にプレッシャーを掛けて引き寄せた瞬間に、右手に持つ玉網へと導いた。
相手はイワナ。ギリギリであるが、尺は越えているようだ。
同じポイントで数匹追加した後は、更に釣り上がって行った。
ここから上流は、明らかに魚の気配が無くなって、ごく稀に小さ目のイワナが相手をしてくれる程度だった。更には事前に用意したエサがとうとう切れて、自己採集を余儀なくされる。
雨脚の強まる中、最終的に芋生茂(おいも)橋まで到達したが、明らかに増水し始めており、危険が伴うかも知れない。それを機に、この日の釣りが終了した。
今年初めての高原川本流だったが、流筋が自然に変わっている部分に加えて、重機が入って河川改修をし終えたところ、逆に現在改修中のところもあって、昨年とは大きく様子が変わっていた。更には、インターネット情報で確認すると、他にもこの地区と同じように変化しているところがあるようだ。その事実は当然「釣りにくくなっている箇所もある」ということでもあるが、モノは考えようで、その事が逆にボクのチャレンジ精神を刺激してくれそうだ。
今回の釣行は、今年も間違いなく何度も訪れるであろう、この地区の初戦であるに過ぎない。
「今年こそ尺オーバーのヤマメを…。」と、決意を新たにするボクであった。
昨年は「日券」という、その日一日だけ釣りが可能な券を当日現地のコンビニ等で買い求めて入漁していたが、今年は気合いを入れてシーズンを通して入漁可能な年券を事前に購入して備えていた岐阜県、高原川への釣行。
しかし、今冬は山々に雪が多く、飛騨地方もその例外ではなかった。高原川は岐阜県内でも特に海抜の高い所を流れているため、春の訪れは特に遅い。アプローチ道に雪の心配が無くなったのは4月に入ってからだった。
■笹島付近■
事前の情報では冬の大雪とに加えて3月は寒暖の差が激しく、雨&雪が交互にやってくるような天気傾向のため、特に下流部では増水続きと聞いていたが、それもようやく落ち着き始めたとのこと。当日は雨の天気予報ではあったが大した降りにはならない判断から、釣行を決意し、まずは入渓場所を確保するため、昨年初めてここを訪れた時と同じ笹島トンネル付近を目指した。
●高原川・笹島付近の様子●
夜明けと共にポイントに降りたが、昨夏にあったという大水が原因なのか、昨年とまるで様子が変わっている。
以前の印象では、この区間は割と幅が広く、ゆったりとした流れと瀬が交互にやってくるように構成されたいたのだが、水量自体はあるものの、川筋がかなり細くなって水流の勢いが増している。あまりの変貌ぶりに、やや唖然としたが、これも計り知れない自然の力なのだ。土手や堰堤で守っているつもりであっても人間にはどうにもならないことを思い知らされ、変に感心しながらも竿を振り始めた。
しかし、川から魚の気配は消えたかのようだった。全体的に水深が浅く、昨年釣れたと記憶しているポイントのほとんどが潰れ、リセットされた状態になっている。当然、昨年不注意から玉網から逃してしまった推定38cmのイワナを掛けたポイントも消失しており、一時は途方に暮れてしまう。
「魚はいったい何処に居るのだろうか?。」こちらの頭もリセットしなくてはならない。
●この区間は全体的に幅が狭くなっているようだ●
そんな時、
「大場所がダメなら、小さなスポットを攻めてみよう。」との思いが、ふと頭に沸き上がってきた。そこで瀬の中にある石裏にある、小さな掘れ込みを片っ端から狙い打ってゆくことにした。
何カ所か仕掛を打ち込んでゆく内に禁漁のブランクで薄れていた感覚を取り戻して(と言っても、この釣りのキャリアは少ないが…。)キャストの精度も上がり、ピタッと石裏に入り出すのに合わせたかのように、ようやくアタリを捉えるに至った。
●瀬の中にある、石裏が狙い目だ。●
●この区間のレギュラーサイズ=25cmのイワナ●
答えが出たので同じ要領で攻めてゆくと、ポツポツながら、ゲット数が伸びて行き、区間の終了時には6匹を数えていた。
●斑点模様が鮮明なアメマス系のイワナも登場●
●この日の魚は全て「キンパク」で喰わせた●
ただし、この区間ではイワナは25cm前後ばかりでサイズが伸びず、ボクが好きなヤマメが全く出ていない。
ココで、
「雪代(雪解け水)が入っているせいで、より低水温を好むイワナばかりなのか?」
「ということは、ヤマメはもっと下流のゆったりとした流れに居るのだろうか?」
等々、色んな思考がまたもや頭の中でグルグルと回り始める。
■葛山へ■
一旦、笹島地区を脱渓した30分後、ボクは下流側の葛山堰堤近くに立っていた。
●葛山の堰堤湖●
この付近は先程の笹島から下流側にある最初の大きな魚止め(魚が行き来できない)堰堤があり、その上流にあるダム湖(土砂で大分埋まっているが)が
「それより上流への魚の供給源になっているだろう。」との予測をたてて、ココにやって来たワケだ。
●入渓地点では春を告げる「ふきのとう」が、お出迎え。●
最初の大場所こそ不発だったものの、次の「雰囲気丸出し」のポイントで、待望だった約20cmのヤマメをゲットする。
●ポイントは二つの流れが合わさる部分。●
●コンディションは良さそうだ。●
「続いて…。」を期待したが、そう甘くはない。こんな誰でも解りそうなポイントは、天気の良かった前日の土曜に相当攻められているハズだ。答えは全くその通りで、後が続かない。
以後はそのまま釣り上がって行くが、川底が砂礫質の部分が多く、今ひとつポイントになる決め手に欠ける雰囲気が漂う。
●この付近の川の様子●
やはり予想が当たって、しばらくは何も起こらないまま、ただただ釣り上がっていくのみである。
この日の釣果全てに言えることだが、例えば淵部の流れ込みのような太い流れの筋=普段なら魚が多く居着いていそうなところでは反応がほとんど無い。これは前述したように前日に入った釣り人のプレッシャーと、当日の雨による増水と濁り、そして雪代による水温低下など色々と要因があったのだろうが、この日のココまでの傾向から推測すると、この区間でも観察して初めて気付くような小さなスポット=いわゆる「竿抜け」がキーワードであろう。そしてそれから推測されるスポットを探して仕掛を打って行く。
長年釣りをやっていると、何だか気配を感じる瞬間があるが、ボクの目に止まったポイントは正にそんな感じであった。
このポイントは強い流れの筋の奥に出来た小さなポケット状の「窪み」のようなところで、その部分だけが流れから取り残された真空地帯のようになっている。しかし、上から木が被さっているココは、ボクにサイドスローでのアプローチを要求している。
この頃、河原には強風が吹いていたが、コレがウマいことに追い風となっており、竿をサイドから振り込む途中で強制的にピタッとスウィングを止めてやると、水面と並行方向を飛来する仕掛を勝手に運んでくれた。そのことに気付くとオモシロいようにキャストが決まり始めた。
●白い筋の奥が、この日最大のヤマメ・スポット●
そしてこのポイントでは、この日初めてヤマメが連発した。
●当日時点で「成魚」は未放流=イワナ、ヤマメは全て「ヒレピン」だ。●
●ヤマメの最大サイズは25cm●
しかし、3匹抜いた後は、さすがに続かず、移動を余儀なくされる。
更に釣り上がると、「いかにも」的なポイントに差し掛かる。釣らない手はないので一応仕掛を打ち込むが、やはりこの日のパターン通りで反応はない。
●流れの周囲にある「当たり前」の部分に魚は居ない●
何投かシツコク攻めたが、やはりダメ。そうこうする内に何かに気を取られて竿の扱いに集中できず、流し切っても竿の送りが止まったまま放ったらかしていると、仕掛が竿先を中心に弧を描き、手前にある水深の浅い、「何でもなさそうな」部分に回り込んでいった。しかし、何故かそんなころで偶然にもアタリが出始めるのであった。
●手前の「何でもなさそうな部分」がポイント●
エサを求めて小玉スイカくらいの底石が転がる浅場に出て来ているのだろうか、ココではイワナ&ヤマメが混棲しており、集中して攻めるためにやや下流に足場を換えてからは、それぞれが連発し始める。
仕掛は「何でもなさそうな」部分を何度も通過し、魚のゲット数も伸びていったが、とある底石に差し掛かった瞬間に、それまでとは違う、ゴツンという衝撃が竿を持つ手を襲った。
ロッドを立てるのと同時に、相手はグングンとトルクフルに締め込みながら下流側にある底石の裏に回り込もうとする。
ボクはその動きに合わせて下流へ移動し、相手の動きを先読みしつつ、走る方向へとワザと竿を回して一気に頭を持ち上げた。そして空気を吸わせると、幾分相手はおとなしくなっていった。そのスキをついて更にプレッシャーを掛けて引き寄せた瞬間に、右手に持つ玉網へと導いた。
相手はイワナ。ギリギリであるが、尺は越えているようだ。
●実寸31cmのイワナ●
同じポイントで数匹追加した後は、更に釣り上がって行った。
ここから上流は、明らかに魚の気配が無くなって、ごく稀に小さ目のイワナが相手をしてくれる程度だった。更には事前に用意したエサがとうとう切れて、自己採集を余儀なくされる。
雨脚の強まる中、最終的に芋生茂(おいも)橋まで到達したが、明らかに増水し始めており、危険が伴うかも知れない。それを機に、この日の釣りが終了した。
今年初めての高原川本流だったが、流筋が自然に変わっている部分に加えて、重機が入って河川改修をし終えたところ、逆に現在改修中のところもあって、昨年とは大きく様子が変わっていた。更には、インターネット情報で確認すると、他にもこの地区と同じように変化しているところがあるようだ。その事実は当然「釣りにくくなっている箇所もある」ということでもあるが、モノは考えようで、その事が逆にボクのチャレンジ精神を刺激してくれそうだ。
今回の釣行は、今年も間違いなく何度も訪れるであろう、この地区の初戦であるに過ぎない。
「今年こそ尺オーバーのヤマメを…。」と、決意を新たにするボクであった。
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