■完全フカセ釣り専用竿■
さて、今回はロッド編だが、ボクの判断基準からすると、リールと同じく新品市場に「これは!」という物がないのが悩みの種だ。
以前にも記したが、完全フカセ釣りにおいては「オモリ負荷は何号」や「置き竿にした際に食い込みが…」なんて話は関係なく、磯竿と同様に「魚を寄せるための調子」をひたすら追及して欲しいのだが、現行販売品で実際にそのコンセプトで設計しているのは、がまかつの真鯛スペシャルLVシリーズ(今年からタイプⅡに移行)と、少し感じは違うが、ダイワのリーオマスター・フカセ SX の2種類しか存在しない。
「じゃぁ、その2種のどちらかを選べばイイじゃないか。」と、言われてしまいそうだが、両竿共に白石グリのヒラマサ狙いだとパワーレンジが合い、威力を発揮するものの、ヒラマサの大きさと走りが違い、それに対抗するハリスの太さが違う玄達瀬でのやり取りではかなり厳しくなる。その他諸々、突き詰めてゆくと、簡単にはいかないのだ。
で、ここから先はボクの考える「必要条件」に沿って記してゆく。
■必要な長さ■
2016年頃まで、鷹巣沖や白石グリ辺りへの釣行時であれば、ボクは船竿としては長めの、がまかつ・真鯛スペシャル LV・H375という竿を愛用していた。
この竿は、踏ん張っていると一旦曲がり込んだ後、胴部の反発力で起きてくるという、まさしく磯竿的7:3調子であり、そこを高く評価していた。しかし、愛用しているうちに評価が揺らいできた。そのきっかけはドラグチェッカーを介した実験だった。
その実験結果は、全長3.75mの、この竿は当然ガイド数が多く、また、ガイド間でラインがブランクスに触れる距離が長いため、2.5mクラスの竿に比べると7%ほど摩擦抵抗が多くなるというモノだった。
磯釣り界では、「竿尻を魚に向けるくらいの気持ちでで竿を立てろ。」と言われるが、これは「これくらいの意識で絞り込まないと、本人が思っている程竿が立っておらず、胴の反発力が生かせない。」という意味だ。
竿が長ければ長い程テコの原理で必要以上の力がかかるのは当たり前の事。更に摩擦抵抗が7%増した中で竿を立てる作業は、無駄に体力を消耗するように思えてきた事が第一点。それに加えて、「『ガイド間でラインがブランクスに触れる距離が長い』は仕掛けをフリーで流す際にも余計な抵抗が増える。」という第二点目のデメリットを考慮して、全長2.5mクラスの竿を導入するに至った。それは2017年の事だった。
玄達瀬で普段使いしている長さだったため、扱いに不自由は無く、取り回しの楽さは大きなメリットだった。ただ、全長が短い分だけ、事と次第によっては舵やスクリューに絡み易くなるという、デメリットはあったが、「船際でヒラマサが釣り座の反対方向に走れば、今までよりも更に腕を伸ばす事を意識して海中に竿を突っ込む」という竿さばきで対策してからは、取り込みが安定するようになった。
そしてそれからも試行錯誤は続き、折に触れ、様々な竿を試したが、その経験から、2.4m未満は短く、3.0m以上では長すぎるという結論になり、現在では全長2.65mの竿を愛用している。但し、例外があって、乗合船で釣り座がミヨシ側になった場合には、オマツリ防止に今でも3.75m以上の竿を使用する事がある。
一昔前だと、「3.0mは短めの置き竿用、3.6mが長めの置き竿用、2.7mが手持ちの長め、2.4mが手持ちの短め」という考えがスタンダードだったが、現在では汎用品を除くと殆どの大物竿が2.35m以下になっているので、時代の流れはボクの考えと相反している。だが、オモリを背負わない完全フカセでは、ヒラマサがフルパワーで突っ込んだ際に舷側、船底、スクリュー、そして舵といった障害物に摩れる確率が高いので、それをかわす為には、もう少し長さが必要というのが、ボクが経験から得た見解だ。
新品市場で2.7mクラスの青物専用竿を探すのは点数が少なく、厳しい状況だ。そのため、広く探すには中古市場も視野に入れなくてはならないが、そこでも流通量は少ない。仕方ないので、全長2.35m~3.0mの範囲内で新品を探すのが現実的となるが、ただ長さだけを考慮すれば良いワケではないのが、竿選びの難しいところだ。
■調子について■
ここ近年に各メーカーから発売された大物狙いの竿は、ほとんどが6:4調子になっている。
恐らくこれは、オモリを背負った際に船の揺れを吸収する事を視野に入れて設計しているのだと思う。だが、何度も言うが、オモリを背負わない完全フカセにはそんな機能は必要ない。欲しいのは、時には300m先になるかも知れない位置からヒラマサを引っ張り出してくる能力だ。
少し考えれば解るが、船の揺れに対してオモリ負荷の掛かった仕掛を安定させる手段が胴部の反発力を殺す事であり、疾走する魚の頭を釣り人側に向けるのには、逆に胴部の反発力が必要になる。当然ながらこの二律背反的な要素を兼ね備える事は、本来、至難の業なのだ。
また、胴調子竿は、曲がりのロスが大きく、例えばマダイ用の5:5調子のグラス竿に大型青物が掛かった様子を見れば解るが、魚の走りを受け留めるのは全長の半分より手前の位置になり、竿先から30~40%程度が魚の居る方向へと一直線になる。こうなると、その直線になった部分は無駄になり、全長が短い7:3調子の竿が曲がっているのと理屈では変わらない。「だったら初めっから取り回しの良い方を使った方が、効率が良いのでは?。」というのがボクの考えだ。
また、「胴調子の竿は持ち重りし易い」というのは磯釣り界での共通認識であるし、素材面からも胴調子を実現するためのグラス素材の多用は重量増加の元凶にもなって、これまた取り回しが悪くなるのだ。
■現状の竿■
ボクが思う最適な長さである全長2.7mクラスの、大物狙いの竿で、7:3調子を謳った竿は現行販売品に存在しない。中古市場で探しても、大昔の「骨董品級ロッド」しかないのが現状だ。
それに加えて取り回しの良い「細身&軽量かつ高反発」の、カーボン含有率の高い竿となると尚更ハードルが上がるどころか、棒高跳びのバーが上がってしまう。
ボクの場合は現在のところ、ダイワ・マッドバイパー・スティング265Mという竿を愛用しているが、この竿はこれまで述べてきた条件に全て合致した竿ではないため、100点満点の竿だとは思っていない。
この竿の全長は2m65cmで、調子は6:4に分類され、「M」の表示からも解るが、シリーズでは中間の硬さになり、オモリ負荷が60~150号なので、号数表示の竿に換算すると、100号竿相当という事になる。
実はこれ、本来は玄達瀬での12号ハリス用として購入したのだが、その動機はいつも玄達瀬釣行でお世話になっている、晴海丸の船長が「これで間違い無し!」と言っていた事と、関東方面の釣り船の船長が「メーターオーバーのヒラマサを獲った実績No1」と釣果欄に載せていた事だ。
「まぁ、試しに一丁。」程度で導入した竿だったが、両船長の意見は正しかった。
そして、トラブルが発生した際の代用としてこの竿を白石グリ(8号ハリス)で使用してみたところ、太ハリス使用時と殆ど変わらない感覚で扱える事が判明し、今ではどこでヒラマサを狙うのも「これ一本!」で通している。
中~小型はともかく、90cm以上のヒラマサが掛かると、この竿はどこにもクセが無く全体がキレイな円を描いて曲がり込む。曲がりにピーク位置が無いのは、「引っ掛かりが無い」という事なので、それがハリスの、適応範囲の広さに繋がっているのだ。
ブランクスの肉厚が分厚く、100号竿クラスでありながら、適応ハリスが30号迄と、高負荷に耐えられる設計になっており、それが効いてヒラマサに突っ込まれた後は、確実に胴の戻りが期待できるのがウレシイ。
上記の点に関してはyoutubeの動画 https://www.youtube.com/watch?v=_bR3zRnyLNw&t=93s で確認すると解ってもらえると思う。
だが、欠点もあって、カーボン含有率77%であっても自重が重く、605gもある。また、シャキッとした張りのある竿が好みのボクにとっては、シャープさに欠け、どことなくダルな感があるのが残念に思う。
但しこの竿、販売終了から何年も経過しているだけにオークションや中古販売サイトでもあまり見掛けなくなってしまい、入手が難しくなっているが、全長が2.4mの240Mも視野に入れると、少しは状況が改善する。尚、新型の現行スティングは、全く違う設計思想であり、全長も短くなった別物になる。
他に好印象だった竿として、これまた旧製品ではあるが、ダイワのリーディングX・ゴウイン265Hがある。これは硬さがH表示でありながら、スティング265Mより少し柔らかく、曲がりの支点が手前に来る。対応能力としては、「ギリギリで玄達瀬の超大型、余裕で白石グリの大型」という感じだ。
この竿は現在にも系譜が繋がっていて、全長はやや短いが、現行ゴウイン・アオモノがそれに当たる。ボク自身は使用した事が無いので何とも言えないが、もしかすると、そのシリーズ中のHー235・Eは、二世代前の265Hと同様に「使える竿」なのかも知れない。
その他、7:3調子でスティング265Mよりも曲がりの支点が前に行く、アルファタックルのスフィンクス・バーサタイルの253(玄達瀬=◎、白石グリ=〇)及び252(玄達瀬=〇、白石グリ=◎)もオススメできる。但し、カタログ掲載モデルでありながら、生産中止になっていて、これまたデッドストック物か中古市場で調達せねばならない。
■竿選びの条件■
市場に少ない竿をここまで長々と紹介したのは、ボクのが考える「完全フカセのヒラマサ竿は、どんな基準で選べば良いか。」をお伝えしたかったからだが、それらを要約すると、
①「胴に乗り過ぎない6:4もしくは7:3調子で、全長2.35m~3.0m」
②「オモリ負荷が最大で150号の、汎用竿で言うところの100号クラス以上」
③「曲がり込んだ際に、スムーズなカーブを描く」
④「カーボン含有率の高い物」
の4点になる。
少し解説すると、
①は上段で確認してもらうとして、②は、昔から青物竿は80号が定番とされていたが、それは終始ドラグを緩めて走らせることが可能なブリ族相手の話で、ここ一番というところで糸の出せないヒラマサ相手では、もう一段硬い方が突っ込まれた後の反発力が得られて扱い易い。ただ、100号竿と言っても、汎用竿(シリーズ内のランナップがワイドな竿の事)は胴に乗り過ぎる柔らか目が多いので、迷ったら硬い方を選ぶのがボクの持論だ。
③は、同じ6:4調子の表示があっても竿ごとに設計が違い、中にはひらがなの「へ」の字のように曲がる竿や英語の「U」の字に曲がる竿もあるが、曲がりにピークがある竿はその部分で硬い芯が出てしまって、ハリスの守備範囲が狭くなる傾向がある。
④は、②と少しカブるが、ヒラマサの走りを制する高反発力が期待出来るうえ、例外もあるが、軽量になる。
という事になる。
以上、竿選びで困った際の、参考意見としてもらえれば幸いだ。
釣りのスタイルは個人個人によって千差万別。調子や長さに各自の好みがあるのを否定するわけでは無い事をお断りしておく。
さて、今回はロッド編だが、ボクの判断基準からすると、リールと同じく新品市場に「これは!」という物がないのが悩みの種だ。
以前にも記したが、完全フカセ釣りにおいては「オモリ負荷は何号」や「置き竿にした際に食い込みが…」なんて話は関係なく、磯竿と同様に「魚を寄せるための調子」をひたすら追及して欲しいのだが、現行販売品で実際にそのコンセプトで設計しているのは、がまかつの真鯛スペシャルLVシリーズ(今年からタイプⅡに移行)と、少し感じは違うが、ダイワのリーオマスター・フカセ SX の2種類しか存在しない。
●リーオマスター・フカセ SX H-300●
「じゃぁ、その2種のどちらかを選べばイイじゃないか。」と、言われてしまいそうだが、両竿共に白石グリのヒラマサ狙いだとパワーレンジが合い、威力を発揮するものの、ヒラマサの大きさと走りが違い、それに対抗するハリスの太さが違う玄達瀬でのやり取りではかなり厳しくなる。その他諸々、突き詰めてゆくと、簡単にはいかないのだ。
で、ここから先はボクの考える「必要条件」に沿って記してゆく。
■必要な長さ■
2016年頃まで、鷹巣沖や白石グリ辺りへの釣行時であれば、ボクは船竿としては長めの、がまかつ・真鯛スペシャル LV・H375という竿を愛用していた。
●真鯛スペシャル LV・H375●
この竿は、踏ん張っていると一旦曲がり込んだ後、胴部の反発力で起きてくるという、まさしく磯竿的7:3調子であり、そこを高く評価していた。しかし、愛用しているうちに評価が揺らいできた。そのきっかけはドラグチェッカーを介した実験だった。
その実験結果は、全長3.75mの、この竿は当然ガイド数が多く、また、ガイド間でラインがブランクスに触れる距離が長いため、2.5mクラスの竿に比べると7%ほど摩擦抵抗が多くなるというモノだった。
磯釣り界では、「竿尻を魚に向けるくらいの気持ちでで竿を立てろ。」と言われるが、これは「これくらいの意識で絞り込まないと、本人が思っている程竿が立っておらず、胴の反発力が生かせない。」という意味だ。
竿が長ければ長い程テコの原理で必要以上の力がかかるのは当たり前の事。更に摩擦抵抗が7%増した中で竿を立てる作業は、無駄に体力を消耗するように思えてきた事が第一点。それに加えて、「『ガイド間でラインがブランクスに触れる距離が長い』は仕掛けをフリーで流す際にも余計な抵抗が増える。」という第二点目のデメリットを考慮して、全長2.5mクラスの竿を導入するに至った。それは2017年の事だった。
玄達瀬で普段使いしている長さだったため、扱いに不自由は無く、取り回しの楽さは大きなメリットだった。ただ、全長が短い分だけ、事と次第によっては舵やスクリューに絡み易くなるという、デメリットはあったが、「船際でヒラマサが釣り座の反対方向に走れば、今までよりも更に腕を伸ばす事を意識して海中に竿を突っ込む」という竿さばきで対策してからは、取り込みが安定するようになった。
そしてそれからも試行錯誤は続き、折に触れ、様々な竿を試したが、その経験から、2.4m未満は短く、3.0m以上では長すぎるという結論になり、現在では全長2.65mの竿を愛用している。但し、例外があって、乗合船で釣り座がミヨシ側になった場合には、オマツリ防止に今でも3.75m以上の竿を使用する事がある。
一昔前だと、「3.0mは短めの置き竿用、3.6mが長めの置き竿用、2.7mが手持ちの長め、2.4mが手持ちの短め」という考えがスタンダードだったが、現在では汎用品を除くと殆どの大物竿が2.35m以下になっているので、時代の流れはボクの考えと相反している。だが、オモリを背負わない完全フカセでは、ヒラマサがフルパワーで突っ込んだ際に舷側、船底、スクリュー、そして舵といった障害物に摩れる確率が高いので、それをかわす為には、もう少し長さが必要というのが、ボクが経験から得た見解だ。
新品市場で2.7mクラスの青物専用竿を探すのは点数が少なく、厳しい状況だ。そのため、広く探すには中古市場も視野に入れなくてはならないが、そこでも流通量は少ない。仕方ないので、全長2.35m~3.0mの範囲内で新品を探すのが現実的となるが、ただ長さだけを考慮すれば良いワケではないのが、竿選びの難しいところだ。
■調子について■
ここ近年に各メーカーから発売された大物狙いの竿は、ほとんどが6:4調子になっている。
恐らくこれは、オモリを背負った際に船の揺れを吸収する事を視野に入れて設計しているのだと思う。だが、何度も言うが、オモリを背負わない完全フカセにはそんな機能は必要ない。欲しいのは、時には300m先になるかも知れない位置からヒラマサを引っ張り出してくる能力だ。
少し考えれば解るが、船の揺れに対してオモリ負荷の掛かった仕掛を安定させる手段が胴部の反発力を殺す事であり、疾走する魚の頭を釣り人側に向けるのには、逆に胴部の反発力が必要になる。当然ながらこの二律背反的な要素を兼ね備える事は、本来、至難の業なのだ。
また、胴調子竿は、曲がりのロスが大きく、例えばマダイ用の5:5調子のグラス竿に大型青物が掛かった様子を見れば解るが、魚の走りを受け留めるのは全長の半分より手前の位置になり、竿先から30~40%程度が魚の居る方向へと一直線になる。こうなると、その直線になった部分は無駄になり、全長が短い7:3調子の竿が曲がっているのと理屈では変わらない。「だったら初めっから取り回しの良い方を使った方が、効率が良いのでは?。」というのがボクの考えだ。
また、「胴調子の竿は持ち重りし易い」というのは磯釣り界での共通認識であるし、素材面からも胴調子を実現するためのグラス素材の多用は重量増加の元凶にもなって、これまた取り回しが悪くなるのだ。
■現状の竿■
ボクが思う最適な長さである全長2.7mクラスの、大物狙いの竿で、7:3調子を謳った竿は現行販売品に存在しない。中古市場で探しても、大昔の「骨董品級ロッド」しかないのが現状だ。
それに加えて取り回しの良い「細身&軽量かつ高反発」の、カーボン含有率の高い竿となると尚更ハードルが上がるどころか、棒高跳びのバーが上がってしまう。
ボクの場合は現在のところ、ダイワ・マッドバイパー・スティング265Mという竿を愛用しているが、この竿はこれまで述べてきた条件に全て合致した竿ではないため、100点満点の竿だとは思っていない。
●マッドバイパー・スティング265M●
この竿の全長は2m65cmで、調子は6:4に分類され、「M」の表示からも解るが、シリーズでは中間の硬さになり、オモリ負荷が60~150号なので、号数表示の竿に換算すると、100号竿相当という事になる。
実はこれ、本来は玄達瀬での12号ハリス用として購入したのだが、その動機はいつも玄達瀬釣行でお世話になっている、晴海丸の船長が「これで間違い無し!」と言っていた事と、関東方面の釣り船の船長が「メーターオーバーのヒラマサを獲った実績No1」と釣果欄に載せていた事だ。
「まぁ、試しに一丁。」程度で導入した竿だったが、両船長の意見は正しかった。
そして、トラブルが発生した際の代用としてこの竿を白石グリ(8号ハリス)で使用してみたところ、太ハリス使用時と殆ど変わらない感覚で扱える事が判明し、今ではどこでヒラマサを狙うのも「これ一本!」で通している。
中~小型はともかく、90cm以上のヒラマサが掛かると、この竿はどこにもクセが無く全体がキレイな円を描いて曲がり込む。曲がりにピーク位置が無いのは、「引っ掛かりが無い」という事なので、それがハリスの、適応範囲の広さに繋がっているのだ。
ブランクスの肉厚が分厚く、100号竿クラスでありながら、適応ハリスが30号迄と、高負荷に耐えられる設計になっており、それが効いてヒラマサに突っ込まれた後は、確実に胴の戻りが期待できるのがウレシイ。
上記の点に関してはyoutubeの動画 https://www.youtube.com/watch?v=_bR3zRnyLNw&t=93s で確認すると解ってもらえると思う。
だが、欠点もあって、カーボン含有率77%であっても自重が重く、605gもある。また、シャキッとした張りのある竿が好みのボクにとっては、シャープさに欠け、どことなくダルな感があるのが残念に思う。
但しこの竿、販売終了から何年も経過しているだけにオークションや中古販売サイトでもあまり見掛けなくなってしまい、入手が難しくなっているが、全長が2.4mの240Mも視野に入れると、少しは状況が改善する。尚、新型の現行スティングは、全く違う設計思想であり、全長も短くなった別物になる。
他に好印象だった竿として、これまた旧製品ではあるが、ダイワのリーディングX・ゴウイン265Hがある。これは硬さがH表示でありながら、スティング265Mより少し柔らかく、曲がりの支点が手前に来る。対応能力としては、「ギリギリで玄達瀬の超大型、余裕で白石グリの大型」という感じだ。
●リーディングXゴウイン265H●
この竿は現在にも系譜が繋がっていて、全長はやや短いが、現行ゴウイン・アオモノがそれに当たる。ボク自身は使用した事が無いので何とも言えないが、もしかすると、そのシリーズ中のHー235・Eは、二世代前の265Hと同様に「使える竿」なのかも知れない。
その他、7:3調子でスティング265Mよりも曲がりの支点が前に行く、アルファタックルのスフィンクス・バーサタイルの253(玄達瀬=◎、白石グリ=〇)及び252(玄達瀬=〇、白石グリ=◎)もオススメできる。但し、カタログ掲載モデルでありながら、生産中止になっていて、これまたデッドストック物か中古市場で調達せねばならない。
●スフィンクス・バーサタイル252●
■竿選びの条件■
市場に少ない竿をここまで長々と紹介したのは、ボクのが考える「完全フカセのヒラマサ竿は、どんな基準で選べば良いか。」をお伝えしたかったからだが、それらを要約すると、
①「胴に乗り過ぎない6:4もしくは7:3調子で、全長2.35m~3.0m」
②「オモリ負荷が最大で150号の、汎用竿で言うところの100号クラス以上」
③「曲がり込んだ際に、スムーズなカーブを描く」
④「カーボン含有率の高い物」
の4点になる。
少し解説すると、
①は上段で確認してもらうとして、②は、昔から青物竿は80号が定番とされていたが、それは終始ドラグを緩めて走らせることが可能なブリ族相手の話で、ここ一番というところで糸の出せないヒラマサ相手では、もう一段硬い方が突っ込まれた後の反発力が得られて扱い易い。ただ、100号竿と言っても、汎用竿(シリーズ内のランナップがワイドな竿の事)は胴に乗り過ぎる柔らか目が多いので、迷ったら硬い方を選ぶのがボクの持論だ。
③は、同じ6:4調子の表示があっても竿ごとに設計が違い、中にはひらがなの「へ」の字のように曲がる竿や英語の「U」の字に曲がる竿もあるが、曲がりにピークがある竿はその部分で硬い芯が出てしまって、ハリスの守備範囲が狭くなる傾向がある。
④は、②と少しカブるが、ヒラマサの走りを制する高反発力が期待出来るうえ、例外もあるが、軽量になる。
という事になる。
以上、竿選びで困った際の、参考意見としてもらえれば幸いだ。
釣りのスタイルは個人個人によって千差万別。調子や長さに各自の好みがあるのを否定するわけでは無い事をお断りしておく。
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