透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

建築を取り壊すことで失うものについて考えるの巻

2008-05-11 | A あれこれ

「さっきの無常観、なんでもかんでも変わるものだって思っているから、街並みも変わって当たり前」
「でも、寂しくない?」
「お、そう思う? 街並みのシンボル的な存在の建築が突然消えて無くなったら雰囲気が変わっちゃうよね。薄っぺらに

前々稿では事実のピースでフィクションを組み上げた。

懐かしい思い出、その背景には残しておきたいと思う建築、変わらないで欲しいと願う景観があるはず。大学進学を決めて上京するとき駅のホームまで見送りに来てくれたひと。その駅舎は今は無く遠い甘酸っぱい記憶の中にぼんやりと残るのみ。これは個人的な事情。

だが、周辺環境を見事に読み解いてそれに呼応するように考えられた建築で既に風景の一部となっている、そんな建築が取り壊されるとしたら・・・。

先日yayoizakaさんからブログを始めたことを知らせるメールが届いた。

坂の街 函館にある弥生小学校を保存したいと願うyayoizakaさんがブログで論考を重ねている。掲載されている写真を見ると、敷地の条件に上手く応えた校舎が凛として建っている。配置計画上、校庭が中庭になっているようだが、その中庭に面する校舎の壁面に整然と並ぶ窓はまさに繰り返しの美学だ。内部廊下のアーチ状の梁のリズミカルな繰り返しも美しい。

外観に戻ると、アール状に面取りされた校舎のコーナー部分に主玄関が計画されていることが分かる。戦前の計画だが当時の意匠の特徴がよく出ているのではないか。

小学校は子供たちが家庭から出て初めて経験する社会的環境、人生の出発点ともいえる場所だ。そのような原風景ともいえる建築、街並みの核ともなっている建築が消えてしまうのは確かに残念なことだ。

函館市はこの校舎を耐震強度の不足などを理由に取り壊すことを決めたようだ。詳細が分からないのでこれ以上ここには書かない。稿を改める機会があるかどうかも分からない。

http://yayoizaka.exblog.jp/ こちらのブログに注目していただけたら嬉しい。


「最高の人生の見つけ方」を観た

2008-05-11 | E 週末には映画を観よう



■ 人々は今こういう映画を求めているのかもしれない・・・。

末期ガンで余命半年と診断されたふたり、自動車整備工として家族のために一所懸命働いてきたカーター(モーガン・フリーマン)と実業家で財を成したエドワード(ジャック・ニコルソン)が人生のラストを最高にハッピーに過ごそう!と意気投合、「 BUCKET LIST」に書き出した自分がやりたいこと、体験したいことを実現すべく 病院を抜け出してスカイダイビングをしたりカーチェイスをしたりと、本当に病気なのか?と突っ込みたくなるほど、いたって元気に遊ぶ。

ワルジイサン(ジャック・ニコルソンのはまり役!)のエドワードが書き出したリストには「世界一の美女とキスをする」という項目もある。一体どこでどのようなシチュエーションで? 

エドワードの自家用ジェット機で世界旅行に出かけるふたり。世界遺産のタージマハルやピラミッドなど世界の有名な観光スポット巡り。贅沢三昧な日々を過ごすが・・・。

映画はラストに最高の人生とは何か、ちゃんと教えてくれる。「世界一の美女」とキスもできる。エドワードは離婚していて奥さんはいない、従って世界一の美女は奥さんではない、念のため。では誰?、答えは映画館で。