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不安な気持ちの時に読むとこころが落ち着く。これは医者でもある作家が処方してくれる「抗不安剤」だ。この作家のエッセイ集『冬の水練』を取り上げたときこう書きました。
『こぶしの上のダルマ』の解説で文芸評論家の池上冬樹は**生きてあることの苦しみと哀しみと辛さの膜を、一枚一枚はいでいってくれるような謝意を覚える。**と書いています。更に**ある読書会で出会った南木佳士ファンの女性が〝南木佳士は常備薬なんですよ〟と言っていたのを思い出す。**と続けています。
そう、女性ファンと全く同じです。私にとっても南木佳士は常備薬です。繰り返し繰り返し同じことを書いていることを承知の上で文庫が出るたびに買い求めて読んでいます。
「稲作問答」 七十歳になる農家のお年寄り西野さんと九十歳の梅沢ばあさんと二人の主治医でもある私の会話、信州弁丸出しの彼らの会話が味わい深いです。
この作家の作品は晩秋から初冬の頃に読むのがいいと思っていますが、それまで待ちきれませんでした。