A
1
B
2
■ 先日デザインのトータリティについて書きました。トータリティ(totality)、辞書には全体性、完全性と出ていますが、本稿では一貫性がピッタリです。一貫性という意味の英単語があるのでしょうが知りません・・・。
浴衣を着て靴を履いたら、誰でもおかしいと思いますよね。浴衣なら履物はやはり下駄でないと。空間デザインにも同様のことが言えると思うのですが、ちぐはぐな空間デザインをときどき見かけます。そう、浴衣なのに靴を履いたようなデザインを。そんなときは「アチャー、この空間にこの家具はないよな」などと思ってしまうのです。
そう、やはりデザインはトータリティが大切なんです。今回アップしたふたつのカフェのショップカードと内観写真(内観写真のアップはオーナーの了解を得ていますが、カードについては了解を得ていません。オーナーさんご容赦願います)。
手描きのイラストを使ったAのカードは手づくり感溢れる1の空間のお店のもので、ナール体の文字でデザインされたBのカードは2の空間のものであることは直ぐに分かりますよね。どちらも色使いまで共通していませんか。逆の組み合わせだと思う人はまずいないでしょう。
デザインに対するオーナーの考え方や好みがはっきりしているとこのように一貫性が出るんですね。どちらのお店も置かれている椅子やテーブルのデザインも空間の雰囲気にピッタリ。
心地良い空間でつい長居をしたくなる、その理由はデサインのトータリティにある、そう思っています。
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■ 奈良県の当麻町に出かけたのは1981年5月の連休のこと。近鉄南大阪線沿線で見かけた大和棟の民家(と当時の記録にはある)の写真を何枚かファイルしてある。これはそのうちの1枚。
立派な鬼瓦と懸魚。鬼瓦には亀が、懸魚には鶴、縁起のいいデザインが施されている。
ところで、建築文化の多くは大陸から日本に伝わってきたのだが、懸魚(げぎょ)のルーツもやはり中国にあるらしい。雲南省には魚の形をした飾りを屋根に吊るす風習が今でも残っているとのことだ。
懸という字に魚、即ち魚を吊るすという名前も頷ける。懸魚にもいろいろな形があるが、当然その意味からして魚の形のものもある。手元にその写真がないのは残念。
注意して観察していればいつかどこかで見つけることができるかも知れない。旅行したら、なるべく注意深く路上観察しなくては・・・。