■ 『偉いぞ!立ち食いそば』東海林さだお/文春文庫が書店に平積みされていた。早速購入、本日読了。
♪あなたにしてみれば
ささいなことでも
私にしてみれば
気がかりなの
昔こんな歌が流行った。歌ったのは、いしだあゆみ。この歌に倣ってこの本の読後感を記せば、
♪私にしてみれば
ささいなことでも
ショージ君にしてみれば
気になるの
といったところだろうか。「気がかりなの」ではちょっと意味が違うから、「気になるの」。
この本に限らない、ショージ君は世の中のささいなことを取り上げてユーモアたっぷりに論じてみせる。そして時にその指摘は鋭い。
赤い帯にあるようにショージ君は「立ち食いそば屋 メニュー全制覇」にチャレンジする。そしてこんなことを考える。**やっぱり立ち食いそばは、客が立って待っているそのまん前で、白長靴のおじちゃんがザルに入ったそばを揺すったり、丼にワカメを載せたりしているのを逐一見守るというところにその良さがある。**
更に**この人はいまぼくのためにこうしてぼくの食事を作っている、というところからくる個人と個人の交流、そして連帯感、そして共生感、自分が参加してるわけではないが、見守ることによる共同製作的な意識、そして出来あがったときわかち合う完成の歓び、(後略)**と続ける・・・。
立ち食いそば屋をカフェに、食事をコーヒーに置き換えれば、カフェでボクが抱く感情に近いかもしれない。ショージ君の表現は随分大袈裟ではあるが・・・。でもこの大袈裟な表現こそショージ君のユーモアなのだ。
『ヒマラヤ世界』向 一陽/中公新書も読了した。すこしペースアップして次は『それでも子どもは減っていく』本田和子/ちくま新書だ。