■ 前稿に引き続き本稿も「包む」を取り上げる。
「火の見櫓はおもしろい」はただ単にタイポロジーを楽しんでいるだけなのだが、「包む」は対象も広く、内容もどうやら多岐にわたりそうでタイポロジーという切り口だけでは扱いきれないような気がする。この先どうなることやら・・・。
さて、この写真は・・・、カラマツの集成材で被覆した(包んだ)H型鋼のモデル。このような複合構造材で一時間の耐火性能を有することが実験的に確認され(これは集成材が燃え止まることによる)、耐火構造の建築が実現している。下の写真はその実例(名古屋)。一時間耐火性能では最上階から4層までに使用が制限されるから、この5階建てのビルの場合、1階はRC造。
近年、環境保全の観点から木材利用の促進が求められており、国も公共建築に積極的に木を使う、という方針を打ち出している。現行の建築基準法では木の使用がかなり制限されているが、このような複合構造材による建築がもっと実現してもいいのではないか、と思う。