**はじめから破壊されることを前提とした考え方に基づいた物作りの哲学は、今のところ工学畑では育っていない。一生懸命、壊れないようにものを作ることはできても、それを一旦壊れたらという想定に基づいて、別のシステムを考えておくことを、現在の一般的工学技術者に求めることは無理であろうか。**(119頁) 『地震と都市 壊滅の危機と防災』 村上處直/日経新書 1977
『著書解題 内藤廣対談集2』
■ 広報誌「INAX REPORT」の連載、時代を画した本の著者に内藤廣が行ったインタビュー記事の単行本化。
「INAX REPORT 」で既に読んだものが大半だがこうして分厚い本にまとまると読み応えがある。集録されているのは『空間へ』磯崎新、『建築に何が可能か』原広司、の『代謝建築論 か・かた・かたち』菊竹請訓、『見えがくれする都市』槇文彦など・・・。
たとえ建築は取り壊されてもコンセプト(思想・哲学)は残る。磯崎新も黒川紀章もこのようなことをどこかに書いていた。建築という「もの」に比べたら、コンセプトという「情報」の方がはるかに寿命が永い。磯崎新の代表作を問われれば、僕は『空間へ』だと答える。
建築の「知層」、その断面が鮮明に見てとれる好著。