透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「江戸の紀行文」

2011-03-01 | A 読書日記

 『江戸の紀行文 泰平の世の旅人たち』 板坂 耀子/中公新書 を読み終えた。

江戸の紀行文といえば芭蕉の「おくのほそ道」しか思い浮かばないと先日書いたが、その後十返舎一九の「東海道中膝栗毛」もあったなと思い出した。本書で朱子学者の貝原益軒が優れた紀行作家でもあったことなどを知った。

貝原益軒は「木曽路記」の跋文で木曽路を岐岨路としている。手元の漢和辞典で「岐」にはえだみちという意味があり、「岨」には険しい山路という意味があることを知った。そうか・・・、「木曽」は元々「岐岨」で、細くて険しい山路というような意味だったのだ。

このことを知っただけでもこの本を読んだ意味があったと思う。あの司馬遼太郎だってたったひと言を絞りだすのに膨大な資料にあたった、というではないか。

伊勢松坂に小津久足という優れた紀行の書き手がいたことも知った。(加筆予定)