■ 上図は国土地理院発行の5万分1地形図の一覧図。全1249面が日本地図上に示されている。というか、5万分1地形図で日本地図が構成されている。裏面には2.5万分1地形図、全4371面が同様に示されている。実に明快で分かりやすい。県別の一覧表では全体像を分かりやすく示すことはできない。表ではできない、図だからできるのだ。
20代の頃は旅行に出かける時、目的地の地図(5万分1地形図)を携行した。そして歩いたルートなどを記録していた。買い求めた地図のところをオレンジ色に塗ってある。今まで続けてくればよかったな、と思う。この地図のように、ある事柄の「全体像」がヴィジュアルに示されたものを好む傾向はどうやら昔から変わっていないようだ。
本にもこのようにビジュアルで分かりやすい情報が載っていると記憶に残る。例えば下図のように。
弥生時代前期の植生と文化圏(右)
この図は『森林の思考・砂漠の思考』鈴木秀夫/NHKブックス に載っている。先日、松本市内のカフェでこの本のことを話題にした。1978年4月に読んだという記録があるから、33年前ということになる。本の具体的な内容は忘れても、このような図は記憶に残っているもので、この分布図が浮かんだ。
上図は『地域と民家 日本とその周辺』杉本尚次/明玄書房に載っている「民家を指標とした地域区分図」。民家の屋根の形の全国的な分布をマッピングしたものも記憶にあるが、掲載されている本が見つからない。
これは松本清張の『砂の器』の出てくる「日本方言分布図」。出雲地方の一部でも東北と同じズーズー弁が使われている。このことが事件の謎を深めることになる。この小説を中学生のとき読んだが、いまだにこの図を覚えている。
いま読んでいる『江戸の坂 東京の坂(全)』 横関英一/ちくま学芸文庫 にも取り上げている坂を地図上にプロットして示してあれば大変分かりやすく、ありがたいのだが・・・。その作業を自分でする? とてもそんなズク(方言:根気、やる気、気力の意)はない・・・。