■ 松本清張短編全集全11巻の第6巻『青春の彷徨』読了。
本巻に収録されている作品の中では「地方紙を買う女」と「弱味」が印象に残った。
「地方紙を買う女」は以前読んでいる。Y県(山梨県だと推測できる)で心中に見せかけて男女を殺害した女が、事件の推移を知りたくて地元紙を購読し始める。女は東京在住。東京で発行される新聞にはその地方の事件の詳報は掲載されないかもしれないということから。購読の申し込みの際、連載小説が詠みたいからという理由を書き添えていた。
送られてくる地元紙に「心中」と報じられたことを確認し、購読する必要が無くなった女は小説がつまらなくなったので購読を止める旨を記したはがきを新聞社に送る。このことを知った小説の作者が小説はますますおもしろくなっているはずなのにと不審に思い真相を探るというストーリー。
「弱味」は浮気旅行先で宿泊した旅館で泥棒に入られ、衣類と金を盗られた男(ある市の都市計画課長)が、知人に衣類を買ってきて欲しいと頼んだばかりに、その後、その知人や土建業者から便宜を図るよう求められ、強請(ゆす)られるというストーリー。
やはり松本清張の作品だったと思うが、確か部下の女性と浮気旅行で宿泊した旅館が火事になり、宿泊客が外に避難したところをテレビカメラに写される。その中にふたりの姿があり、ニュース番組で放送されて浮気がばれてしまうという短編もあった。
松本清張の短編全集の残りの巻を読む。