透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「怪しいTV欄」

2018-06-04 | D 新聞を読んで

■ 放送作家の町山広美さんの「怪しいTV欄」というコラムが信濃毎日新聞の朝刊に隔週で掲載される。6月3日(日曜日)には「働かせ方改革? 笑いで無力感」というタイトルのコラムが掲載された。内容はNHKで放送された働き方改革法案をめぐる議論について。

私はこの番組を見ていないがコラムによると番組では法案の焦点である高度プロフェッショナル制度の導入について賛成と反対の立場でそれぞれ二人、計四人の論客が議論したとのこと。

制度の問題点を指摘する反対派の二人(私大教授と弁護士)の意見を、賛成派の二人(内一人は竹中平蔵氏)は半笑いで迎え、そして少し笑いながら反論したという。

コラムで町山さんはこのことを次のように書く。**こうした笑いで議論における優位性を示すのは、今世紀に入ってから、この国の政治の場でよく見られる態度です。(中略)相手がまじめに意見を言うのに対して、笑いで余裕を見せると、相手が指摘している問題点は「想定済み」に見えます。もう検討した、終わったことだというふうに。さらに言えば、遅い、何をいまさら。**

この件(くだり)を読んで、なるほどと思った。あの笑いの意味を実に明解に説いている。相手より優位な位置に自分を置くための笑いがあるということだ。

町山さんはどう説明したらいいのだろうと思うようなことを、いつも明解に説く。これが魅力で私は「怪しいTV欄」を欠かさず読んでいる。