■ 今月8日に東京駅前の丸善で買い求めた『人口減少時代の土地問題』吉原祥子/中公新書を読み終えた。
サブタイトルの「「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ」と帯の「空き家、相続放棄の問題が農村から都市へ拡大している」から本書の内容が分かる。「持ち主がわからない土地が九州の面積を超えている。」という事実には驚いた。
ある自治体で県道をつくる際、用地取得の対象になった土地の一角に三代にわたって相続登記されていない土地があり、自治体の担当者が相続人を特定したところ、約150人にもなったという。小さい文字で相続関係説明図が2頁に亘り載っているが、全体の半分に過ぎないとのこと。相続の手続きの煩雑さがよく分かる。これだけの相続人を調べ上げた担当者もスゴイ。土地の権利移転になんと17年と600万円かかったという事例も紹介されている。
また資産価値が低い土地では、相続登記の手続きを司法書士に依頼してかかる費用や親族間の連絡調整費用などが資産価値を上回ってしまうこともあり、登記簿上の名義人が死亡者のまま放置され続けることになるという指摘、なるほど。
本書には対策として相続登記の手続きの簡素化などが挙げられている(先日新聞にこのことに関する記事が載っていたかと思うが、内容までは覚えていない)。
相続人不明となった土地が「相続不能地」と化し、次第に国土が荒廃していく・・・。