透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1809

2018-10-01 | A ブックレビュー

9月に読んだのはこの4冊

 芥川賞受賞作『コンビニ人間』文春文庫の作者、村田沙耶香さんが今日(30日)の信濃毎日新聞の読書面に顔写真付きで紹介されていた。今風の女性(ってどんな女性?)をイメージしていたが、そうでもなく、落ち着いた感じで和服もしっとりと似合いそうな女性だった。続けてきたコンビニの仕事を辞めて作家専業になったそうだ。受賞後第1作は『地球星人』。『コンビニ人間』のレビューにはなっていないが、まあいいか。

三島由紀夫の作品を読むのは何年ぶりだろう。『金閣寺』新潮文庫は既に数回読んでいる作品だが、またいつか読みたい。こう思わせるのはやはり名作だからか。

『世界がわかる地理学入門』水野一晴/ちくま新書には「気候・地形・動植物と人間生活」というサブタイトルが付いている。地球を覆う自然環境は実に多様で、人々の暮らしも様々。

『花だより』高田 郁/ハルキ文庫には『みをつくし料理帖』に登場してきた人たちのその後が短編4編で紹介されている。皆んな恙なく暮らしているわけではないけれど、それなりに。

第1編ではつる家の店主・種市や店の人たち、そして常連客、第2編では澪が思慕していた御膳奉行の小野寺数馬の家庭の様子、彼はどんな女性を結婚したのか、妹の早帆はどんな暮らしぶりか。

第3編「秋燕(しゅうえん)」は野江ちゃんのものがたり。**「吉原を出たけりゃあ、今は逃げることは考えるな。ここで、どうあっても生きて生きて、生き抜くことだけ考えるこった」**(192頁)野江を叱咤するように励ました又次。「何にも恐れるこたぁ無い。あんたが大門を出る日まで、俺が守る。命に替えてもな」それが俺の恩返しだ、と翁屋の料理番は言い添えた。(212、3頁) この件を読んで、こういう関係っていいなぁと思ったら涙が出た。

第4編で澪のその後。医者の源斎と結婚して大坂に戻った澪はどんな暮らしをしているのだろう・・・。ちょっとびっくり、そして嬉しいラスト。

巻末の付録、みをつくし瓦版に続編の予定はないと作者の高田さんが書いている。これでほんとうにオシマイなんだなぁ。


さて、10月は何を読もう・・・。