■ 『オリンピックと万博 巨大イベントのデザイン史』暮沢剛巳/ちくま新書を読んだ。
第1章 世界デザイン会議から東京オリンピックと大阪万博へ
第2章 「国民的」建築家 丹下健三
第3章 グラフィック・デザインという戦略 亀倉雄策
第4章 デザイン・ポリシーによる統率 勝見 勝
第5章 原子力の一九六〇年代 岡本太郎
第6章 マルチプロジェクション 観客から群衆へ
第7章 万博パビリオン 「日本館」の系譜
第8章 デザイン・コンペ 東京オリンピック二〇二〇エンブレムと新国立競技場
本書は以上のような章立てになっている。
オリンピックと万博をデザインという観点から論じている本書を読むと、1964年に開催された東京オリンピックの諸デザインが明快な戦略を以って統制が図られていたことが分かる。
2020年の東京オリンピックのエンブレムと新国立競技場のコンペをめぐる醜態は特にこれといったテーマが見当たらず、デザインの統合を図る理念の欠如が主因だということを最終章を読んで理解した。やはりデザインという観点から見た1964年と2020年、両オリンピックの差は歴然としているのだ。
理念を具現化する手立てとしてデザインがあるとすれば、理念がなければデザインのしようがない。