透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「仏像と日本人」

2020-03-04 | A 読書日記



 『仏像と日本人 宗教と美の近現代』碧海寿広(中公新書2018)を読み終えた。副題の「宗教と美の近現代」が本書のテーマを的確に示している。

宗教の対象としての仏像、美術品として鑑賞対象の仏像。美術という概念が持ち込まれた近代以降の仏像に対する人々(知識人)の向き合い方、立ち位置はそれぞれ。仏像を美術品だと捉えた和辻哲郎、仏像は美術品ではなく、信仰の対象だとした亀井勝一郎。

本書で取り上げている岡倉天心、和辻哲郎、亀井勝一郎、高村光太郎、土門 拳、入江泰吉、白須正子、みうらじゅん等(ら)が仏像をどのように捉え、どのように向き合ったのか。土門 拳、入江泰吉についての論考は優れた写真論でもある。

久しぶりに読みやすい本と出会った。