■ サマセット・モームと言えば『月と六ペンス』だが、ぼくの書棚にあるのは『人間の絆』(角川文庫1968年10版 *1)全4巻。10歳で孤児になってしまったモームの自伝的長編小説。
シンガポールのラッフルズホテルはモームに愛されていたことで知られる。ぼくがシンガポールを旅行し、このホテルを訪ねたのは何年前のことだろうか。この時は工事中で残念に思ったことを覚えている。
この長編を再読する気力はもうないが、『月と六ペンス』なら・・・、無理か。ならば、『月と10セント』北 杜夫(新潮文庫1978年発行)(*2)はどうだろう。
*1 第1巻の発行年と版。巻により異なる。
*2 北 杜夫が『月と六ペンス』を意識してタイトルを付けたことが最終第20章に付けた章題の「10セントと6ペンス」から分かる。