1 櫓のプロポーション
2 屋根と見張り台の美しさ
3 脚の美しさ
■ 鑑賞と観賞。鑑賞と書けば芸術作品が対象、観賞ならば一般的なものが対象になるんですね。ですから火の見櫓には観賞という漢字を充てるのが一般的でしょう。でも私は敢えて、火の見櫓鑑賞と表記します。火の見櫓は鉄の造形、鉄のアートだと思っていますから。
タモリが坂道のファンで、よい坂道の条件として4項目を挙げ、東京の坂道を評価しているということを先日書きました。ここで復習しておきます。
1 勾配が急である
2 湾曲している
3 まわりに江戸の風情がある
4 名前にいわれがある
各項目に私はなるほどと納得して火の見櫓で同様の試みをしてみようと思い、数日間考えました。で、次の項目を挙げてみました。
1 櫓のプロポーション
2 屋根と見張り台の美しさ
3 脚の美しさ
オリジナリティーと立地条件を加えてもいいかな、とも思いますが、とりあえずこの3項目でやってみます。
今回は長野県朝日村西洗馬の火の見櫓です。評価はかなり高いです。
1 櫓のプロポーション ★★★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★★
3 美脚度 ★★★★★
★が5つで最高評価とします。
1 櫓のプロポーションについては、上方へ曲線状に絞り込まれていること、横架材・ブレースによる櫓の分割が適度であることがポイントです。逓減率がどのくらいのときに美しいと感じるのか、これは今後の研究課題です。 ^^;
2 屋根と見張り台の美しさ、この説明は難しいです。両者の形、大きさのバランス、飾りものなどから総合的に評価します。
3 美脚度については、脚がトラスで構成されていて、櫓との長さのバランスがよいこと。脚の付け根の部分が適度な大きさのアーチになっていること。そして櫓の荷重が素直に、スムースに地面に伝わっているように見えるかどうかがポイントです。
この火の見櫓の場合、屋根の勾配が急で反りがきつ過ぎること、それに飾りものが派手で目立ちすぎること、見張り台にはもう少し優しい表情が欲しいことなどが減点の理由です。もちろんこれは私の主観によるものです。