透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「本所おけら長屋 外伝」

2023-09-09 | A あれこれ


 『本所おけら長屋』畠山健二(PHP文芸文庫)にどこまでもついていく。

2013年に始まったこのシリーズは既に第20巻まで刊行されている。第20巻で万造とお満さんの長かった恋がようやく成就した。ここまでが第一幕で、どうやら第二幕が来春(2024年春)スタートするようだ。第二幕も完結までに10年くらいかかるのかもしれない。

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昨日(8日)書店で『本所おけら長屋 外伝』が平積みされているのを目にして、即買い求めた。で、一気読み。帯にもある通り、描かれているのは名コンビ万松、万造と松吉の出会いのものがたり。それから浪人・島田鉄斎がおけら長屋の住人になる前の出来事。鉄斎が信州生まれだということを忘れていた。鉄斎は信州人。金太がおけら長屋に引っ越してきた時のエピソード。そして、黒石藩藩主、津軽甲斐守高宗の幼名三十郎時代のものがたり。以上の4話。

印象に残ったのは鉄斎が津軽黒石藩の剣術指南役を辞し、江戸に上る途中で泊まった宿での出来事、いや事件。宿泊客が7両という大金を盗まれる。鉄斎が名乗り出た犯人を諭す。**「お天道様を見てみろ。人は、お天道様に恥ずかしくない生き方をしなければならない。お天道様はすべてお見通しなんだぞ。(後略)**(228、9頁)お天道様が見ていることを忘れてはいけない、ということは今も変わらないはず。子どものころ耳にすることがあったこのことば、小説で読んだのはおそらく初めて。


 


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