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■ 高校の同級生IT君に薦められていた『日米戦争と戦後日本』五百旗頭 真(大阪書籍1989年)を読んだ。良書。論考の展開が分かりやすいことに因るのだろうが、思いの外読みやすかった。
著者は本書で日米開戦から日本の敗戦、占領に至るまでの間、政治家たち、それも主にアメリカの政治家たちがどのように考え、どのように行動したかを詳細に説いている。
アメリカの対日占領政策の検討が開戦直後に既に始められていたという。冷静に分析すればアメリカが勝利することは、日本でも分かっていたのだから、驚くにはあたらないか。
本書は序章から終章まで六つの章で構成されているが、第一章で六つの日本処理案が示されている。その中で最も過激な〈国家壊滅・民族奴隷化論〉が採られていたら・・・。アメリカの世論調査では3~4割の国民が戦争中にこれを支持していたという。〈隔離・放置論〉もあったそうだが、やはり、採られなかった。知日派による冷静で寛大な対応が採られたことを本書で知った。日本にとって、不幸中の幸いだったと思う。
今日17日付信濃毎日新聞に朝鮮戦争に関する記事が掲載されていた。記事に朝鮮戦争について次のような解説がある。**1945年8月の日本の敗戦を受け、植民地だった朝鮮半島は北緯38度線を境に南側を米国が、北側をソ連が分割占領し、48年、韓国と北朝鮮が成立した。(後略)**(17面文化面)
このようなことは日本では起こり得なかった、と言えるのか、言えないのか・・・。
本書を紹介してくれたIT君に感謝したい。ぼくも本書(*1)をブログ閲覧者にお薦めしたい。
*1 講談社学術文庫に収録されています。