透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

フジモリ建築 高部公民館

2021-05-09 | A あれこれ

 建築家・藤森照信さんの出身地、長野県茅野市宮川の高部地区にはデビュー作の神長官守矢史料館はじめ、高過庵、低過庵、空飛ぶ泥舟がある(過去ログ)。フジモリ建築ファンにはたまらないエリアだ。同地区で高部公民館の建て替え工事が進められている。今月(5月)完成予定と聞いていた(*1)ので、もう仮囲いが撤去されて外観を見ることができるだろう、と昨日(8日)の昼過ぎに出かけてきた。



県道16号(岡谷茅野線)と町道に挟まれた狭小な三角形の敷地に以前は木造2階建ての公民館が建っていたが、新しい公民館は平屋建てで敷地形状に合わせた平面形に計画され、以前は残地だった三角形の尖った頂点まで外壁が迫っている。黒い外壁は塗装ではなく、杉板の表面を焼いたもので、フジモリ建築ではよく使われている。地元地域の人たちの手によって焼かれたようだ。

Y形の枝付き柱(ヒノキ材だと思う)が屋根を貫いて立っている。黒い外壁をバックによく目立っている。こんな奇態、藤森さんしか思いつかないだろう。2本の幹に横材を架け、半鐘を吊り下げてある。うれしい!



反対側、三角形の底辺部分の玄関ポーチにも屋根を貫く枝付き柱が立っている。



味わい深い玄関まわりの表情。これはなかなか好い。



県道側の屋根はワークショップでしわくちゃにした銅板一文字葺き。これまたフジモリ建築ではよく使われる手法。焼杉の黒い外壁に、白く縁取りされた四角い窓が並ぶ。緑色のカラーコーンが繰り返しの美学なシーンを演出している。



反対側(市道側)の様子。屋根は立てハゼ葺き。勝手口と思われるドアのある屋根には軒樋が設置されているが、樋端部にもフジモリさんの遊び、いや工夫が。これは楽しい。



工事中に地元の人たちを対象にした見学会が開催されたようだが、フジモリ建築ファンにも公開して欲しい。


*1 昨年(2020年)11月に神長官守矢史料館の受付で聞いた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。