■ 『慈雨』柚月裕子/ 集英社文庫を読みえた。
物語の最後に「私、前にあなたに、根っからの刑事なのね、って言ったことがあったでしょう。私は根っからの、刑事の妻なのよ」ということばが出てくる。(397頁)
また、少し前には**こうして香代子は、ずっと自分についてきてくれたのだ。人生という名の坂を、つかず離れず、自分のあとをずっと歩いてきてくれたのだ。**(385頁)という主人公の心情描写がある。
この文庫本のカバー裏面の紹介文には**安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。**とあるが、これは夫婦愛の物語とも読める。このように捉えると慈雨というタイトルの意味が見えてくる。
もう何年も前のことだが、沢木耕太郎の『深夜特急』を、出てくる都市の位置を世界地図で確認しながら読んだ。移動ルートが分かり、少しだけ旅気分が増した。
『慈雨』には四国遍路の旅の様子もかなり詳細に描かれている。今回は出てくる寺を画像検索して、なるほど、こういう寺なのかと確認しながら読み進んだ。
行ってみたい寺がいくつかあった。中でも道後温泉のすぐ近くにある51番札所の石手寺には是非行ってみたいと思った。いつか機会があるだろう・・・。