透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「地球温暖化を考える」 

2008-03-23 | A 読書日記
『地球温暖化を考える』宇沢弘文/岩波新書 
経済学が専門の著者は1928年(昭和3年)生まれ



地球温暖化、この問題についてもはや無関心ではいられない。先日書店でこの本を見つけて購入、読了。1995年発行、版を重ねて2006年に19刷になっている。『地球温暖化の経済学』という専門書をベースに私のような一般読者のために書かれた本。

「地球温暖化は化石燃料の大量消費と熱帯雨林の伐採によってひきおこされている」著者は繰り返し端的に指摘する。

都市化と工業化の20世紀、その負の側面である地球温暖化のリカバリーは可能なのか・・・。著者は経済学、社会学の視点から地球温暖化の原因を詳細に論じその対策として炭素税の導入、農業のあり方などについて提言をする。特に炭素税については国際的に公正に導入するためにはどうすればよいのか1章割いて論述している。

第4章「矛盾にみちた現代文明」ではル・コルビュジェの「輝ける都市」に代表される近代都市の考え方ついても触れ、その問題点を鋭く指摘したアメリカのジェーン・ジェイコブスの新しい人間的な都市のあり方に関する提言も紹介されていて興味深く読んだ。

本書ではジェーン・ジェイコブスをアメリカの生んだ偉大な建築家と紹介しているがこの名前を私は初めて目にした。無知を恥じる。調べてみるとこんな本を著しているジャーナリスト、今でも入手できるなら読んでみたい。


このような連鎖的な読書も楽しい。


■ 今回でちょうど900稿となりました。
  拙稿を読んで下さっている皆さんに感謝します。