透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

森林(もり)に学ぶ

2008-03-08 | A あれこれ





「2008 森林(もり)に学ぶネットワーク」 今年で9回目だというこの催しの研究発表会に参加した。

信州大学農学部森林科学科の学生達の卒業研究の再発表を聴講。指導教官にこれが卒論の最終審査だ、などとプレッシャーを掛けられた学生達が研究の成果をプレゼンテーション。質疑応答も活発に行われた。

卒論の発表・・・、私自身はもう○十年も前に済ませたが、今の学生はパワポを使ってなかなか説明上手、中には用意した原稿に頼った発表もあったが。

「秩父演習林のブナの肥大成長と気候要素及び結実との関係解析」
「河川および山地におけるニセアカシアの初期定着過程」
「ヒノキ人工林における樹冠通過雨の空間分布特性」
「GISによるニホンジカ森林被害に関する研究」など

よく分からないながらも自分の専攻とは異なる分野の発表を興味深く聴いた。どれも基礎的な研究だったがこれらが実用的な研究へと発展していってやがて林業に役立つようになるのだろう。

会場で配布された資料によると参加者は60人くらいで大半は県内の方だったが、中には東京など県外から参加された方も居られたようだ。国土の保全、地球温暖化抑制のために、森林の果たす役割は少なくない。このようなことも森林に関心を寄せている方が多いことの要因なのだろう。

会場近くの宿泊施設で予定されている懇親会で、参加者と交流したいと思っていたが、残念ながら所用で途中退席。機会があればまたこのような催しに参加したいと思う。


食料自給率の回復について考えるの巻

2008-03-08 | A あれこれ



 信濃毎日新聞の朝刊(080302付)に江戸学の専門家、法政大学教授の田中優子さんの「食料自給率の回復をめざせ」と題する提言が掲載されていた(写真)。

食料自給率を回復することは可能だろうか・・・。田中さんは**地方が小さな単位を形成し、食料や原材料の生産地というだけでなく加工、流通、広報、教育、そして石油以外の電力生成をはじめとする持続可能社会の構築の拠点になる、という方法があるはずだ。**と書いている。

要するに豊かな地方の再構築が食料の自給率回復の鍵ということなのだろう。それは理念、基本的な考え方としてはよく分かる。が、どのようにしたらそれが実現可能なのか、田中さんは方法論については触れていない。

優良農地は宅地や工業用地に転用されて面積が減少しているし、就農者の高齢化に歯どめがかかるとは思えない現実。地方と都市との福祉、教育、医療などの諸格差は広がるばかり。効果的な地方そして農業の再生プログラムなどこの国で本当に組めるのだろうか。

中国製冷凍餃子の中毒事件に端を発して、いやそれ以前の一連の食品偽装問題からか、買い物をする際きちんと表示内容を確認するようになったという購買者が増えたと聞く。

食の安全性を確保する最良の方法は自給自足。自分で栽培した米や野菜などを中心とする食生活へのシフトだと思うが、誰にでも可能というわけではない。そこで、国産の食料なら輸入品より安心・安全、ということで食料自給率を高めようという訳だ。そのためには地方が元気にならないと、という論理。

江戸時代は食料自給率100パーセント、農民人口が80パーセントだったという。この比率がこの40年位の間に急激に低下して、自給率は39パーセント、主要国のなかで最低レベルに。

穀物のエネルギーへの転用や気候の変動などで日本への輸出が遮断されたら・・・、その先の出来事を田中さんは**飢餓がやってくる。**と表現しているがそのくらいの危機意識を国民が皆持つべきだろう。

食料自給率の回復はまだ可能なのだろうか。田中さんは**今なら間に合う**と書いているが、私は悲観的にそれはもはや無理なことではないかと思っている。