松本歯科大学前から望む中部電力中信変電所鉄塔 撮影日160409
■ 先日(3月26日)日帰りで東京に行って来たことは既に書きました。その際、江戸深川資料館で土産に買い求めた起こし文はがきを昨日(8日)ようやく渡すことができました。
4枚買い求め、3人に渡して私の手元に残ったのは大店(おおたな)。 江戸末期(天保年間)の深川佐賀町に在った多田屋という肥料問屋です。
Hさんは4枚の中から火の見櫓を選び、早速折り始めて程なく完成。
①
■ 上のような原子炉格納容器の概念図を事故後、新聞やテレビでよく目にしたが、これが立体的にどのような形で、大きさがどの位あるのか、いままで知らなかった(と正直に書く)。
②
① ② とも東京電力のウェブサイトより転載した。
『福島第一原発事故7つの謎』 NHKスペシャル『メルトダウン』取材班/講談社現代新書にも上図のような立体モデルが示されている。本書でようやく原子炉格納容器の立体的な形と大きさを知ることができた。1号機(読み違えていなければ)の格納容器は高さ32メートル、底部の球状部の直径は17.7メートルで炭素鋼で出来ている(248頁に記述あり)。
①図に示されている円形のサプレッションチェンバー(圧力抑制室)は断面図で②図のようなドーナッツ形をしている。②図から格納容器の大きさもイメージできる。容器という名称からイメージするのは卓上サイズで、これほど大きなサイズはイメージできないが・・・。
まだ読み終えていないが、こんなに御しがたいモノを扱っていいのだろうかというのが率直な感想。
『スピカ 原発占拠』 高嶋哲夫/宝島社文庫
それに原発がテロ集団に占拠されるという事態だって小説だけでなく実際に起こり得る。航空機の墜落とか、大型ドローンによる爆発物投下とかも想定し得る。
この本で取り上げている章ごとに取り上げられている7つの謎のうち、第4章の「爆発しなかった2号機で放射能大量放出が起きたのはなぜか」を読み始めた。
■ 2011年3月11日午後2時46分。
この日この時、私はある小学校の校長室で打ち合わせをしていた。鉄筋コンクリート造2階建の校舎がゆっくりゆっくり横揺れした。いや、校舎が揺れているというより、校舎を載せた地盤が揺れているという感じだった。長い周期の揺れに遠くで大きな地震が起きたに違いないと思い、そのことを話したことを覚えている。
宇江佐真理さんの髪結い伊三次捕物余話シリーズの文庫化された全作品を読み終え、全く違うジャンルの本を読み始めた。『福島第一原発事故7つの謎』 NHKスペシャル『メルトダウン』取材斑/講談社現代新書。
この本に書かれていることがどの程度理解できるか分からないが、とにかく読んで脳みそを刺激することにする。
■ 宇江佐真理さんの髪結い伊三次捕物余話シリーズで文春文庫になっているのは13巻(16年3月末)だが、その全てを読み終えた。13巻目の「名もなき日々を」の単行本の刊行が13年11月、文庫化されたのが16年1月。単行本で後3巻(下の写真)あるが、それらの文庫化はいつ頃になるだろう・・・。上の例から2年後くらいだろうか。いや、もっと早いかもしれない。
13巻目のカバー折り返しの著者紹介に27年11月逝去とある。そう宇江佐さんは昨年11月に癌で亡くなっている。
宇江佐さんは10巻目の「心に吹く風」のあとがきでご自身の病気について詳細に記している。**渋々、言われた通り日赤に行き、血液検査をすると、腫瘍マーカーの数値が異常に高かった。これは何かの癌で、しかも骨に転移していると血液腫瘍科の医師は言った。 (中略) 小説の中で、さんざん人を殺しておいて、作者だけが無傷でいるというのも虫のよい話だと肚をくくった。 (後略)**
**この先、どうなるかは私もわからないが、たとい、余命五年と言われても、三カ月と言われても、多分、私は動揺しないと思う。その日まで、いつも通り、食事を作り、洗濯、掃除をして、そして作品を書いていればよいのだから。**
ここまで、冷静でいられる自信は私にはない。
髪結い伊三次捕物余話シリーズは20年以上も続いた作品だが、通読して宇江佐さんの江戸の市井の人たちに対する優しいまなざしを感じた。
作中の凄惨な事件はこの小説の主たる要素ではない。「名もなき日々を 手妻師」では浅草の座元(興行主)が殺され、主犯として鶴之助という手妻師(手品師)が捕縛される。鶴之助は市中引き廻しの上、死罪を言い渡される。だが、牢奉行所で裁きを受ける前に姿を晦ましてしまう。
**「手妻師だからな。あり得ぬ話でもねェ」
不破友之進はさして驚きもせず、むしろ愉快そうに伊三次へ言ったものである。伊三次もまた、鶴之助が生き延びて、どこかで手妻をしていることを、ひそかに心の中で願っていたのだった。**(148頁) 宇江佐さんはこのように物語を結んでいる。座元を殺さざるを得なかった訳を知る私の心も同じだった。
主人公・伊三次の優しさにも惹かれたし、彼が涙もろいところも好きだった。お文さんもとても魅力的な女性だった。これらは宇江佐さんの人柄の投影であろう。宇江佐さんは息子さんの友だちの顔を思い出しながら登場人物の造形をしたと「雨を見たか」のあとがきに書いている。
また、宇江佐さんはビジネス手帳の後ろについたビニール袋に心に残った新聞記事の切り抜きなどを入れていることを「我、言挙げす」のあとがきで明かしていて、**小説家は、何も想像力だけを駆使して小説を書くわけではない。心に残ったでき事(原文通り)、言葉などを参考にすることもある。**と書いている。
宇江佐さんは誠実な人だったのだろう・・・、でなければこのようなことまで文庫のあとがきに書かないだろう。
60代半ばで逝ってしまった宇江佐さんが残した作品を読みつくそうと思う。
■ 宇江佐真理さんの髪結い伊三次捕物余話シリーズは連作の形を取った長編小説。3月はこのシリーズの2巻目から11巻目まで読んだ。
前稿に書いたが、このシリーズは夫婦愛、家族愛の物語としても読むことができる。伊三次とお文夫婦とふたりの子どもがそれぞれ様々な人たちと関わりながら生きていく。巻が進むのと同時に彼らも歳を取り、周りの状況も変化していく。先が気になって読み急いでしまった。
宇江佐さんは現代社会の風潮や出来事を江戸に再現する。例えば次のように。
**出床に行けば、さほど待たされずにやってくれ、しかも手間賃が安い。いや、こっちは手間賃が高い分、丁寧にやっているつもりだし、出床よりも頭の保ちが違うと言ったところで通用しなかった。早さと安さが優先されるのもご時世なのだろうか。**(下線:筆者 「明日のことはしらず あやめ供養」10頁)
**二十五両は大金である。しかし、それで二人の命が失われたとすれば安過ぎる。世の中、突き詰めればすべて金であろうか。**(下線:筆者 「今日を刻む時計 我らが胸の鼓動」316頁)
**「いってェ、何があったのよ」
「聞いてねェんですかい。八つ(午後二時頃)過ぎ辺りに頭のおかしな野郎が日本橋で出刃を振り回し、通りすがりの者を次々と刺したんでさァ。日本橋は血の海になっているそうです」** (「今日を刻む時計」44頁) こんな事件が何年か前、都内で実際に起きている。
さて、今日も『名もなき日々を』を読む。
3月はこの本も読んだ。
『やわらかな生命 福岡ハカセの芸術と科学をつなぐ旅』 福岡伸一/文春文庫
意図的にいつもとは配置を変えて撮ってみた。
■ 髪結い伊三次捕物余話シリーズの「月は誰のもの」に次のような描写がある。
**(前略)伊三次にとって、おかめでおかみのお里や常連客の留助などと他愛ない会話を交わすことが、ささやかな慰めともなっていたのだ。**(196、7頁) そう、火事で家族と離ればなれに暮らしていた伊三次にとって、おでんが売りの居酒見世・おかめはサードプレイスだった。
私も週末にカフェ バロでオーナーのKさんやYさん、常連客のFさん、Hさんと他愛ない会話を交わすことが、ささやかな慰めとなっている。で、金曜日は残業しないで、小一時間過ごすことにしているが、昨日(1日)は仕事のために無理だった。
その代わりというわけではないが、今朝、スタバで同シリーズの『明日のことは知らず』を読んで過ごした。 このシリーズは夫婦愛、家族愛の物語ともいえる。
主人公の伊三次は廻りの髪結い職人で、九兵衛という弟子がいる。廻り職人は台箱(木製寅さん鞄)に道具を納めて持ち歩く。
経緯は省くが九兵衛の道具開きを伊三次の家で開くことになった時、掛かり(宴会の費用)は誰が持つのかとお文に訊かれる(もちろんお文は支払うつもりなのだが)。
この時、ふたりの娘のお吉が**「おっ母さん、お願い。お父っつぁんと九兵衛さんのために、人肌脱いで」**(112頁)と、父親のために頭を下げる。**伊三次はお吉の気持ちが、涙が出るほど嬉しかった。**(112頁) こんな件を読むと、いい家族だなぁ と思う。そして涙ぐむ。
さて、『名もなき日々を』を読み始めよう・・・。
■ 髪結い伊三次捕物余話シリーズを全巻読む。
登場人物が歳を重ねていく。伊三次の家族はこれからどうなるだろう。常に先が気になる。 読み進んで13巻へ (リーフレットは12巻となっているから、長編の「月は誰のもの」の扱いが違うのだろう。各巻通し番号を付けてあれば分かりやすいのだが・・・)。 現在文庫化されている作品は以上。
この3巻は文庫化されてから読むことにする。
撮影日時 160401 05:28AM
朝焼けの朝に
■ 「朝焼けの詩」というカテゴリーを設け、朝焼けの写真をまとめました。
自然は実に多様な表情を見せますね。