透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「新幹線を運行する技術」(C6)

2020-09-19 | A 読書日記



 TSUTAYAで買ってスタバで朝カフェ読書

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『新幹線を運行する技術』梅原 淳(SBビジュアル新書2020年初版第1刷発行)。私は動かない鉄が好きだが動く鉄も好き。新幹線を運行するシステムが優れていることは知っている。だが、どんなところが優れているのか、具体的に説明することはできない。で、今朝(19日)、この本を目にして即購入。スタバのいつもの席で読み始める。

**旅客が乗車の前に特急券を自動改札機に投入すると、特急券のデータが新幹線用の無線回線を通じて車掌が携えている車掌携帯端末へと伝えられるのだ。**(28頁)おお、すばらしい。

この連休は新幹線について勉強しよう。


 


「神と自然の景観論」野本寛一

2020-09-19 | H ぼくはこんな本を読んできた

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『神と自然の景観論』野本寛一(講談社学術文庫2015年第7刷発行)

**日本人はどんなものに神聖感を感じ、いかなる景観のなかに神を見てきたのだろうか。(中略)古代人は神霊に対して鋭敏であり、聖なるものに対する反応は鋭かった。「神の風景」「神々の座」は、常にそうした古代的な心性によって直感的に選ばれ、守り続けられてきたのである。**(6頁)

**日本人は何に神域感を抱きいかなる景観の中に神を見たのか。(中略)全国各地の聖地の条件を探り、それにまつわる民俗を紹介する。**(カバー裏面の本書紹介文より)

風景をどのような視点で観察し、どのように読み解くのか。視点が違えば見えてくる風景も違う。興味深い風景、景観論。






「春宵十話」岡 潔

2020-09-18 | H ぼくはこんな本を読んできた



『春宵十話』岡 潔(光文社文庫2006年初版1刷発行)

 著者の岡 潔って誰?という方のためにカバー折り返しにあるプロフィ―ルを載せる。**1901年、大阪市生まれ。京都帝国大学卒業。その後フランスに留学し、生涯の研究課題となる「多変数解析函数論」に出会う。後年、その分野における難題「三大問題」に解決を与えた。‘49年、奈良女子大学教授に就任。‘60年、文化勲章受章。‘63年に毎日出版文化賞を受賞した本書「春宵十話」をはじめ、多くの随筆を著した。‘78年没。**

この本には「春宵十話」の他にも随筆が何編か収録されているが、この中の「好きな芸術家」には漱石を論じた次のようなくだりがある。**漱石の作品は縦一列に並んでいる。だから正しくいえば「吾輩は猫である」に始まって「明暗」の途中に終る一筋の創作が全体として一つの創作である。漱石は一作をすませることによってそれだけ境地が深まり、その深まった境地によってさらに書くといったことを終りまで続けた人である。**(174頁)

著者は更に次のように続ける。**人の生命が一筋にしか流れないものである以上、境地を深めていけば縦一列になるほかないわけで、(後略)** このロジカルな説明は数学者ならでは、とぼくは思う。

**数学は論理的な学問である、と私たちは感じている。然るに、岡 潔は、大切なのは情緒であると言う。人の中心は情緒だから、それを健全に育てなければ数学もわからないのだ、と。さらに、情操を深めるために、人の成熟は遅ければ遅いほどよい、とも。幼児からの受験勉強、学級崩壊など昨今の教育問題ににも本質的に応える普遍性。大数学者の人間論、待望の復刊!** カバー裏面の本書紹介文


 


「ものぐさ精神分析」岸田 秀

2020-09-17 | H ぼくはこんな本を読んできた



 「ぼくはこんな本を読んできた」、92稿目は『ものぐさ精神分析』『続 ものぐさ精神分析』岸田 秀(中公文庫1982年発行)。 ぼくが決めていたルールだとテープの色は緑色ではなく水色のはずだが、間違えたのかな・・・。

いつも通りカバー裏面に載っている本書紹介文を引く。

**人間は本能のこわれた動物である――。人間存在の幻想性にするどく迫り、性から歴史まで文化の諸相を縦横に論じる、注目の岸田心理学の精髄**「ものぐさ精神分析」

**人間の精神の仕組みを「性的唯幻論」という独自の視点からとらえ、具体的な生の諸相を鮮やかに論じる岸田心理学の実践的応用篇。待望の続篇**「続 ものぐさ精神分析」

この2冊は同時に買い求めてはいない。「ものぐさ精神分析」を1982年6月12日に、「続 ものぐさ精神分析」を同年7月19日に買い求めている。「ものぐさ精神分析」を1カ月かかって読んだようだ。この本の解説は伊丹十三、続の解説は日高敏隆。再読することはおそらくないと思うが、解説を読み比べるくらいのことはしたい。


 


火の見櫓のある風景 スケッチ展 09.16

2020-09-16 | A 火の見櫓のある風景を描く


       火の見櫓のある風景 スケッチ展のお知らせ

■ 会期:9月30日(水)~  10月25日(日)  10:00~18:00 月・火曜日休み
 会場:BELL WOOD COFFEE LAB     


 子どものころから絵を描くことが好きでした。今の描法(下描きしないでペンで線描し、水彩絵の具で淡色する)で風景を描き始めたのは大学生の頃だったかと思います。この描法で火の見櫓のある風景のスケッチを始めたのが2014年の秋でした。それ以来時々描いています。

私の週末のサードプレイスは豊科にあるBELL WOOD COFFEE LABですが、そこのオーナーにすすめられ、同カフェでスケッチ展を開催することになりました。今回は最近描いたスケッチ8点をご覧いただきます。また10月15日(木)の夜7時からギャラリートークも行います。スケッチのことや火の見櫓のことをお話させていただこうと思います(話はあちこち脱線すると思いますが・・・)尚、ギャラリートークは予約制です。上掲の電話番号でB.W.C.L.にお問い合わせ願います。

スケッチをご覧いただき、風景の中に遠慮がちに立っている火の見櫓に気がつき、気になるようになっていただければ幸せです。


 


「本所おけら長屋 十」(C5)

2020-09-15 | A 読書日記

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 朝カフェ読書で『本所おけら長屋 十』畠山健二(PHP文芸文庫2019年第1版第6刷)を読み始める。この本にも短編が5編収録されているが、タイトルは5編ともひらがな4文字。

「さかいめ」はおけら長屋の大屋・徳兵衛の遠縁にあたる弥太郎という二十歳の青年が訳あっておけら長屋で生活を始めたことから起る「騒動」の顛末。

**「私もこの長屋に越してきたころは戸惑った。確かにひどいと思うこともあった。だがな、いろいろな騒動が起きて、泣いたり、笑ったりしていると、長屋の人たちの、心の底でのつながりが見えてくる。(後略)」**(47頁)

これは弥太郎を諭す鉄斎のことば。このシリーズの魅力はこのことにあるように思う。今朝(15日)この物語を読んでいて、涙が出た。スタバの2階には私以外にお客さんがいなかったから、老眼鏡、否、リーディンググラスを外して涙を拭うことがことができた。


 


144枚目

2020-09-13 | C 名刺 今日の1枚


144

 安曇野市在住の写真家・佐藤大史さん(過去ログ)の写真集「Belong」の出版を記念した写真展が昨日(12日)から松本の信毎メディアガーデンで始まった。

今日の午後3時から、この写真集の出版に携わったアートディレクターの三村漢さんとプリンティングディレクターの鈴木利行さん、佐藤大史さんの鼎談、クロストークが写真展の会場で行われた。テーマは「アラスカの光と色を本にする」。

写真家がアラスカで写し込んだ光と色の再現。それはリ・クリエイトだと、3人のトークを聞いていて思った。打ち解けたトークはマニアな内容ではあったが、なかなか興味深く、おもしろかった。

このイベント会場でHさんと再会した。Hさんと会うのは十数年ぶり。例の名刺を渡し、簡単な近況報告をした。彼女とは近々また会う機会があるだろう。


 


庚申塔

2020-09-12 | B 石神・石仏


松本市神林にて 撮影日2020.09.12

 モダンな印象を受ける庚申塔の青面金剛像の造形。像の下には一対の鶏(酉)と見ざる聞かざる言わざるの三猿(申)。

60日ごとにめぐってくる庚申(かのえさる、こうしん)の夜、体内に宿る三尸(さんし)の虫が本人が眠っている間に身体からぬけだし、天帝にその人の罪を報告してしまう。報告される度に寿命が縮まると言われる。ならば、眠らないで夜を過ごして善行しよう、という道教の教えに基づく民間信仰(信仰というほどではないか)。

また、庚申の年は60年ごとにめぐってくる。この年に庚申塔が建てられることが多い(過去ログ)。1980年(昭和55年)が庚申の年だった。次の庚申の年は2040年。

庚申塔に関する過去ログ


 


朝カフェ読書 スタバで「月はすごい」を読む

2020-09-12 | A 読書日記



 松本のなぎさライフサイトにあるスターバックスの開店は朝7時半。週に1回くらい開店と同時に入店し、いつも同じ席に着いて本を読んでいる。昨日(11日)は『月はすごい』佐伯和人(中公新書2019年発行)を読んだ。

終章の「月に住み宇宙を冒険する未来にどう生きるか」では宇宙開発の未来が語られているが、この章のとびらには**今後、人類は月を拠点に火星の本格的な開発をはじめ、火星に都市を建設するに至るであろう。(後略)**とある。

SF映画で描かれるような未来が本当にやってくるのだろうか・・・。

しばらく前に読んだ『火星無期懲役』(過去ログ)は、終身刑で服役中の主人公はじめ7人の囚人が火星基地建設のプロジェクトに参加するという設定のSFだった。このようなことが行われる時代が本当にやってくるのだろうか・・・。このSFでは参加者がひとりまたひとりと命を落としていく。事故か?読み進むと殺人だったことが明らかになるが、火星に地球で暮らすのと同じくらいに安全な環境が構築できるものだろうか。

『月はすごい』の終章で著者は宇宙になぜ人は旅立つのかという問いに対し、
(1)人類存続のため
(2)生命と宇宙の起源と未来を知るため
(3)地球外知的生命と出会うため 
この3つの理由を挙げている。人類存続のために宇宙に旅立つというのもSFでよく描かれる。

地球上の生物はどれも地球と不可分な関係にある。今は宇宙船地球号とその乗組員に分かれているが、もともとはひとつのものだったのだから。この様な生物である人間が本当に地球と縁を切って他の天体で生きていくことができるのだろうか。これはただ単に技術論的な検討というか、研究だけで結論を出せるような問題ではない、と私は思う。もっとも地球の生命は火星で生まれたという説もあるようだが・・・(過去ログ)。


 


火の見櫓のある風景

2020-09-12 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)松本市笹賀 撮影日2020.08.16 

 アサガオのような形の屋根。くるりんちょな蕨手付き、屋根のてっぺんの避雷針に付けられたこの風向計はちゃんと動く(過去ログ)。

美ヶ原の鉄塔群を後方に配置して撮影した。ただそれだけ。せっかく撮った写真だからボツにしないで載せておく。


 


「進化とはなにか」今西錦司

2020-09-11 | H ぼくはこんな本を読んできた

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 既に何回も書いたが今年の5月に本をかなり処分した。文庫は約1,140冊処分し、その結果、残ったのは約250冊。残った文庫をここで取り上げようと思ったのと、昨今の外出自粛によるネタ不足を補うために「ぼくはこんな本を読んできた」というカテゴリーを設けた。だが残した文庫を全てここに載せることもあるまいと、このカテゴリーは100稿の記事で終わりにする、としばらく前に決めた。既に90稿、残りは本稿を含めて10稿となった。

残りを自覚すると、各稿おろそかにできないと思い、どの本を取り上げようかとあれこれ考える。おそらく人生も同じだろう。「一寸の光陰軽んずべからず」と朱熹の偶成にあるが、この頃、ようやくこの人生訓を意識するようになった。


床の間に掛けた人生訓、朱熹の偶成 

横道にそれた、本題に戻そう。

『進化とは何か』今西錦司(講談社学術文庫1978年第6刷発行)、この本も20代の時に読んだ。

**突然変異と自然淘汰説により理論武装された正統派進化論に対し、著者は名著『生物の世界』以来、生物の進化とは種社会を単位とした生物の世界の歴史的発展であるとの立場から、一貫して疑義を提起している。豊富な踏査探検と試練の上にはじめて構築された今西進化論は正統派進化論を凌駕する今世紀最大の理論の一つである。進化論はあらゆる問題にまたがる本質的認識であるがゆえに、本書に要約された今西進化論こそ必読の文献である。** 以上カバー裏面の本書紹介文から引用した(下線は私が引いた)。