透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「絵の教室」安野光雅

2023-06-21 | A 読書日記

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『絵の教室』安野光雅(中公新書2005年12月初版、2021年11月15版)

 **写真のように描いたり、あるいは写真を見て描いたりするとダメだと思うのです。その人の個性がどこかへ行ってしまって、写真のように描かされてしまい、上手だけども何も伝わってこない、ということになりがちです。**(80頁)

先日書店でこの新書、『絵の教室』を目にした。カラー版で、パラパラとページを繰って、クールペやマネ、ゴッホ、スーラ、ターナーといった有名な画家の作品と共に安野さんの風景画が何点か掲載されていることが分かった。いいな、安野さんの風景画。明るい黄緑、と深いモスグリーンが印象的。安野さんが描く風景は優しく柔らかい。

ぼくはこの本を迷うことなく買い求めた。

あとがきによると、この本は2004年に放送されたNHKの「人間講座」が基本になっているとのこと。安藤忠雄「建築に夢を見た」、半藤一利「清張さんと司馬さん 昭和の巨人を語る」、岡部憲明「可能性の建築」など「人間講座」のテキストが手元にあるが、安野さんのテキストは無い。テレビで見たという記憶もない。この本を読んで、テレビで安野さんの講座を見たかったなぁ、と思った。

このブログはいつも引用ばかりだが、「そうですよね、安野さん」とぼくが思って付箋を付けた箇所から引用する。

**絵を上手に描くというのは、「写実的に写真のように描くことなんだ。それが絵の終点だ」と考えがちです。(中略)写実的な絵というのは、目に見えているものを描いた結果のことですが、よく考えてみると目に見えないものを描いていることが少なくありません。むしろ見えていないものを描くことに絵の意味があるのではないか、と思います。**(ⅴ はじめに)

興味深いのは安野さんが、デューラーの「見取り枠」を使って絵を描いた様子の紹介。風景画を描くとき、縦横方眼状に細線を張った枠を前に置いて、山や畑、木々など風景を構成している要素の位置関係や大きさを正確に捉えるという試み。見取り枠を使って描いた絵と普段通り描いた絵が本に載っているけれど、同じ風景を描いているのにふたつの絵は全く違っている。普段通りに描いた絵を見ると、安野さんの絵だとすぐ分かる。安野さんは「見取り枠」を使った実験的な試みで、上掲した引用文で伝えたいことを示してみせた。

では、正確に描くという基本的な技術は不要かというとそうではないことも安野さんは示している。安野さんがスケッチした自転車は実に正確だ。

安野さんは対象をよく観て理解することだ大事、と説く。そう、このことは身を以て感じている。スケッチしていて、例えば建物などが手前の樹木などで隠されているところがどうなっているのか分からないと、その建物が描けないということを。そのような時は、近くまで行って確認している。

「絵の教室」というタイトルに相応しい内容で、火の見櫓のある風景をスケッチしているぼくにとって、大変勉強になる本だ。


 


「千と千尋の神隠し」

2023-06-19 | E 週末には映画を観よう

 宮崎駿監督の「もののけ姫」に続き、「千と千尋の神隠し」を初めて観た。

「もののけ姫」は人と自然の共生がテーマ、と私は理解した。山犬(オオカミ)に育てられたサンは自然の代表、アシタカは人間の代表。自然と人との関係のあるべき姿がふたりの関わり方によって描かれる。では「千と千尋の神隠し」のテーマは? ぼくは分からなかった。小学生の千尋が両親と一緒にトンネルを抜けるとそこは雪国、じゃなかった異界だった。異界で千尋が活躍して成長する姿を描いている。これがテーマ? 違うだろうなぁ。環境問題?

*****

このところ火の見櫓のある風景を描いていて、緑色の表現が気になっている。それで、背景の山や木々の緑色が両作品でかなり違うことに気が付いた。一言で言えば「もののけ姫」は地味、「千と千尋の神隠し」は鮮やか。ぼくの好みは「もののけ姫」の背景画。山の遠景表現や木の立体的表現は多いに参考になる、と思って観た。

宮崎作品は、あと「ルパン三世 カリオストロの城」と「となりのトトロ」を観たら終りにしよう。どうもぼくの好みではなさそう・・・。


 


初夏の安曇野

2023-06-19 | A 火の見櫓のある風景を描く


火の見櫓のある風景 安曇野市三郷 2023.06.18

 この風景は2019年の5月に既にスケッチしている。やや太めの火の見櫓の左側はいきなり遠景で、オレンジ色の屋根がアクセントになっている。右側には消防団の詰所がある。火の見櫓の左右で遠近のギャップが極端に大きい。遠くの山並み、火の見櫓の左が常念岳、右が横通岳。

この風景をもう一度描こうと思う。画力が試される風景。


 


「火の見櫓っておもしろい!」

2023-06-18 | C 名刺 今日の1枚

 昨日(17日)予定通り松本市内の建設関連の会社で火の見櫓について、用意したパワーポイントを使って約1時間お話させていただいた。初対面の専務さんと控室で名刺交換、お渡ししたのは206枚目の名刺だった。

火の見櫓講座を開催していただいた社長、そして興味を持って聴いていただいた社員の皆さんに感謝します。ありがとうございました。

*****

松本市梓川にあったカフェバロで2011年の9月3日に行われた「週末のミニミニ講座」が最初だった。で、昨日の講座が12回目だった。7月にも講座の予定がある。コロナ禍で中止になっていた講座を今年は開催したいと、先日連絡をいただいた。1時間半の講座、準備を始めたい。


火の見櫓講座の記録

①2011.09.03 週末のミニミニ講座  @松本市梓川 カフェバロ
②2014.02.16 安曇野まちなかカレッジ  @安曇野市穂高 安曇野市商工会穂高支所
③2014.07.04 週末のミニミニ講座(アップグレード版)@松本市梓川 カフェバロ
④2014.12.07   信州大学のゼミ生有志主催による講座@松本市北深志 「となりの、」
⑤2015.10.21   建築士会安曇野支部主催研修会  @安曇野市豊科 豊科交流学習センター「きぼう」
⑥2019.12.01 ココブラ信州  @安曇野市穂高 碌山公園研成ホール
⑦2019.12.07 サイエンスカフェ  @北安曇郡池田町 カフェ風のいろ
⑧2020.10.15 火の見櫓講座  @安曇野市豊科 BWCL
⑨2020.11.03 火の見櫓講座  @安曇野市豊科 カフェギャラリーお茶の間
⑩2020.11.20 朝日村社会福祉協議会主催 高齢者ふれあい学習  @朝日村マルチメディアセンター
⑪2022.08.07 小野宿問屋夏季講座  @小野農民研修センター
⑫2023.06.17 火の見櫓講座 研修の一環として  @松本市内の建設関連の某会社


 


4「新 男はつらいよ」

2023-06-17 | E 週末には映画を観よう

 「男はつらいよ」シリーズを再び見始めた。昨日(16日)見たのは第4作「新 男はつらいよ」。

競馬で大穴を当てた寅さんが、おいちゃん、おばちゃん孝行を考えてハワイ旅行を計画するも、納めた旅行代を旅行会社の社長に持ち逃げされしまう。近所の手前、羽田まで行き、深夜にとらやに帰る。ひっそり隠れていると、泥棒(財津一郎)が・・・。そのドタバタ騒動が前半で描かれる。

マドンナの春子さん(幼稚園の先生、栗原小巻)は後半になってようやく登場する。ハワイ旅行の件でおいちゃんたちともめて、とらやを飛びだしていった寅さんがひと月後にとらやに帰ってくると、春子さんが2階に下宿していて、寅さん一目惚れという展開。

寅さんとマドンナが言葉を交わすことはあまり無い。マドンナには恋人がいて、あっけない幕切れ。春子さんの「寅さん好き度」は☆☆☆☆☆。一緒にボートに乗ったりもするけれど、寅さんが好きだからという訳ではなく、偶々下宿をしているとらやのおいちゃんの甥っ子だから、無下に断るわけにもいかなくて、という感じ。まだシリーズ4作目で、寅さんとマドンナとのやり取りをストーリーの中心に据える、というパターンになっていないように思う。

寅さんとマドンナがどのように出会うか、ということにも注目していきたい。第1作、第2作はマドンナがとらやから徒歩圏内に住んでいる。ちなみに第1作のマドンナ・冬子さん(光本幸子)は御前様の娘、第2作のマドンナ・夏子さん(佐藤オリエ)は寅さんの恩師の娘。第3作のマドンナ・志津さん(新玉三千代)は旅館の女将、旅先で出会う。ぼくは旅先で出会うパターンが好き。


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「ミライの源氏物語」

2023-06-15 | A 読書日記

 『源氏物語』を読むという長年の念願を昨年(2022年)ようやく叶えることができた。 それからは関連本を読んでいる。『ミライの源氏物語』山崎ナオコーラ(淡交社2023年)を注文しようと行きつけの書店へ。すると書店にこの本があって、買い求めた。この数日は晴読雨読だった。


**人を騙して部屋に忍び込んで性暴力を行った加害者である匂宮との関係を、その後もきっぱりと拒否していないからといって、恋人同士と捉えるのは、現代だったら、絶対にあり得ません。**(170頁)現代の社会規範に照らし合わせると、匂宮は著者が指摘する通り性暴力の加害者だ。いや、匂宮だけではない。

作者の手を離れた小説の解釈は読者に委ねられる。だから『源氏物語』をどう読もうと構わないだろう。平安時代の読者が頷きながら読んだ光源氏の行為を、犯罪じゃないか、と読む。そう、山崎さんが現代の社会規範でこの物語を読んで、論評することについて、異を差し挟もうとは思わない。

『源氏物語』を現代に迎え入れて読むのではなく、平安時代の貴族社会に入り込んで読むように努めるというのが大方の読者ではないだろうか(*1)。確かに10歳くらいの少女・若紫(紫の上)を自分のところに引き取って、自分好みに育てた光源氏はロリコンか、と思ってしまう。だが、平安の貴族社会ではあったんだろうな、と、自分を納得させて読む。そうでないと、『源氏物語』は性犯罪オンパレード、さらに山崎さんが指摘するように、ルッキズム(容姿差別)、エイジズム(年齢差別)等々の問題ありあり小説ということになる・・・。

『ミライの源氏物語』を読んで、なるほど、こういう読み方もあるのか、と思った。本の帯(写真上)にあるが、山崎さんと同じ様なスタンスで『源氏物語』を読んだ人が感じたであろう**違和感をときほぐす**のに有効な一冊だと思う。



*1 『平安人の心で「源氏物語」を読む』山本淳子(朝日選書2014年、2021年第8刷)


 


「マイ遍路」

2023-06-13 | A 読書日記

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 四国遍路に憧れている。また、我が家の菩提寺の宗派・真言宗の開祖、空海のことを知りたいとも思っている。

先日書店で目にして買い求めた『マイ遍路 札所住職が歩いた四国八十八ヶ所』白川密成(新潮新書2023年)を読み終えた。第五十七番札所・栄福寺の住職である白川密成さんの四国霊場八十八ヶ所巡礼の記録。

白川さんはおよそ1200kmの全行程を8回に分け、68日かけて歩いた。この本ではこの8回にそれぞれ対応させた8章で構成している。章の始めに札所や白川さんが利用した宿を載せた地図が掲載されている。地図は分かりやすく、デザインもよい。各霊場の位置関係を把握するのに役に立つ。この地図を参照し、ネットで探した霊場の写真を見ながら、読んだ。

本文からの引用ばかりでは気が引けるので、1か所だけ。

**世界の巡礼の中で、スタートからゴールに直線的に向かうのではなく、遍路のような円環をぐるぐると廻る、いわゆる「回遊型巡礼路」は稀である。** 白川さんは続けて、**〝行く〟ようであり、〝帰る〟ようでもあり、またそのどちらでもないような不思議な道のりが貴重であるからこそ、世界から人々が集まるという新しい遍路文化が開かれようとしている。**(283頁)と指摘している。

なるほど! 確かに、四国遍路は円環構造・・・。

今年、2023年は空海の生誕1250年を記念する年だという。このような年にこの本を読んだのも縁かもしれない。


 


40年以上も前に発行された切手

2023-06-13 | D 切手



 火の見櫓が縁で知り合いになったKさんから届いた封書に貼られていた切手。50円切手も20円切手も見るのは初めてで、ネットで調べた。

50円切手は1978年(昭和53年)に発行された自然保護シリーズのコマクサ。Dicentra peregrina という学名まで表示されている。

20円切手は1980年(昭和55年)の年賀切手。この年の干支は庚申(こうしん、かのえさる)で、多くの庚申塔が建立された(過去ログ)。

次の庚申の年は2040年、今年は2023年だから、17年後・・・。


 


名刺 昨日の2枚

2023-06-13 | C 名刺 今日の1枚

 今から2か月近く前、松本市内のある会社の社長から火の見櫓講座をお願いしたいという連絡をいただいていた。講座の予定日は17日土曜日。昨日(12日)、会社にお邪魔して講座用に作成したパワーポイントのデータが会議室の大型ディスプレイに問題なく映し出せるか、確認した。全く問題なし。プロジェクターでスクリーンに映すのとは違い、実に鮮明で美しい。

204枚目 205枚目

仕事上お世話になった社長と改めて名刺交換、事前打合せに同席された主任の方とも名刺を交換した。お二人にお渡しした名刺は204枚目、205枚目だった。


2010年の5月に出会った木造の火の見櫓 大町市美麻(旧美麻村)

昨年(2022年)8月の火の見櫓講座(過去ログ)からおよそ10か月ぶり、12回目の講座。社長は社員に趣味を持って欲しいから、と講座依頼の理由を話された。

趣味らしい趣味の無かった私にとって、この火の見櫓との出会いは幸運だった。そう、やはり趣味がないと人生味気ない。講座でははじめに社員の皆さんに、このことについて私の経験をお話ししたいと思う。


 


飛騨高山の民家

2023-06-12 | B 繰り返しの美学
 高山ウルトラマラソン 国府町に設けられた第4関門はスタート地点から74.1kmのところにあります。この過酷な100kmマラソンにチャレンジした友人を第4関門で待つ間、しばらく時間がありました。こちらは最短コースを車で移動、友人はまわり道コースを走って、ですから。で、近くを歩いてみました。

高山の民家の特徴は、写真の通り、垂木や持出し梁、持送りの木口を白く塗ってあることです。等間隔に部材が並ぶこの様はリズミカルで美しい「繰り返しの美学」です。







ゴールまであと25.9km、頑張れS君!
S君はこの後、制限時間内にゴールした。すばらしい! 

高山ウルトラマラソンコース沿いの火の見櫓

2023-06-12 | A 火の見櫓っておもしろい


高山ウルトラマラソン 
第3関門を通過していった友人を見送り、74.1km地点の第4関門(国府B&G海洋センター体育館)へ向かう。




1480 岐阜県高山市丹生川町新張 4柱44型 その他脚 2023.06.11

ウルトラマラソンのコース沿いに火の見櫓が立っていた。初めて見る火の見櫓だった。

櫓の交叉ブレースは等辺山形鋼でつくられている。一般的なリング式ターンバックル付きの丸鋼ブレースとは印象が違う。これはこれで、端正で美しい。


この火の見櫓の見張り台もカチッとしていて硬い感じ。屋根の軒先のラインの両端が反っていて、和を感じる。形は微妙な違いで雰囲気が随分変わる。




脚部もカチッと硬い。初めて見る形。


 


飛騨高山へ

2023-06-12 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)岐阜県高山市丹生川町旗鉾(にゅうがわちょうはたほこ)4柱44型ロング3角脚 2023.06.11

 火の見櫓巡り(ヤグ活)を2010年の5月に始めたけれど、その年の10月に初めて長野県外で見たのがこの火の見櫓。昨日(11日)高山ウルトラマラソン(100kmマラソン)に出場する友人の応援に出かけたが、途中でこの火の見櫓と13年ぶりに再会した。


かなり錆びてはいるが、未だ撤去されることなく、立ち続けている姿を見ることが出来、嬉しかった。


半鐘もある。見張り台はカチッとした四角で手すりのところに消火ホースを掛けるフックを付けてある。このことからこの火の見櫓の高さを13メートルくらいと推測する。


この火の見櫓で印象的なのは避雷針の飾り。それほど丈夫そうには見えないが、13年前を変わった様子はない。ユーモラスに描かれた人の姿にも見える。


脚部は斜材のみで補強されている。斜材が柱端部まで届いていないが、形状からロング3角脚とした。


生憎の雨降り。100kmも走るランナーには厳しい条件。コースの途中に関門が5つ設けられている。ぼくはスタート地点から57.2kmのところにある第3関門の丹生川支所に向かった・・・。


「決断~火の見櫓に登った男たち~」

2023-06-10 | A 火の見櫓っておもしろい

 2019年10月の台風19号の豪雨による千曲川の堤防決壊、氾濫。防災行政無線柱のスピーカーから流れる避難を呼びかける音声が雨音で聞き取れない・・・。地元長野市長沼地区の消防団の分団長の判断で消防団員が4か所の火の見櫓の半鐘を一斉に連打して住民に避難を促した。半鐘の音を聞いた住民は避難して命を救われた。過去ログ 

真夜中に半鐘が5分間も連打された。地元住民たちはただならぬ事態だと直ちに理解しただろう。このニュースを聞いて、長野市長沼地区の火の見櫓が撤去されることなく、残っていて良かったなぁと思った。半鐘も撤去されていなかった。

下の写真はその時に消防団員が半鐘を叩いた火の見櫓の1基。偶々2019年、災害のあった年の5月にこの火の見櫓を見ていた。

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長野市長沼 4柱8〇型 正面開放、3方交叉ブレース脚(小屋またぎ)撮影日2019.05.12



台風19号災害を題材にした映画が製作されるというニュースを昨日(9日)テレビで見た。今日このニュースが「台風19号災害 短編映画に」という見出しで信濃毎日新聞の地域面に載っていた。映画のタイトル(仮)は「決断~火の見櫓に登った男たち~」、公開は来年10月の予定だという。

公開されたら多くの人たちに観て欲しい。ぼくも観たい。


 


同じ風景を描いても

2023-06-09 | A 火の見櫓のある風景を描く



 このところ慎重になり過ぎていた、と反省。線描に時間をかけすぎないこと、と自分に言い聞かせて描き始めた。スーッと一気に線を引く。そうしないと線に勢いが無くなってしまから。やはりライブな線でないと。電柱が曲がっても気にしない、気にしない。それも味だと。風景構成要素の大きさや位置関係も雰囲気で。線描は目標の30分を少しオーバー。

私が今使っている透明水彩絵具は色が鮮やか。敢えて言えば色が強く、前に出る(あくまでも私の個人的な、そして感覚的な感想に過ぎないが)。私の気持ちに色を同調させるのが難しい。意識的に筆に水を多く含ませてみた。水を多く含ませても彩度は落ちないが、当然薄くなる。で、色の表情はフラットになり、弱い印象になる。近景、中景、遠景の表情にするための色の調整は難しい。

下は上のスケッチの前日に描いたもの。近くの木は濃く、遠くの木は薄く着色したが、なんだかバラバラな感じでまとまっていない・・・。この反省から描いたのが上のスケッチだが、印象が弱い・・・。

ここを描くのは4回目。スケッチは難しい、でも楽しい。




火の見櫓のある風景 長野県朝日村にて