映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「箱入り息子の恋」

2014-01-04 04:35:40 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「箱入り息子の恋」は2013年公開の日本映画

評判の割には期待外れの映画だった。
恋に不器用な男女って多いかもしれない。
それを描くのはいいが、設定が何か不自然で今一つしっくりこない。

市役所に勤める天雫健太郎(星野源)は、内気な性格が災いしてか、35歳にもなって女性と付き合ったことが一度もなかった。家と職場を往復するだけの日々で、ペットのカエルが唯一の癒しという健太郎を見かねて、健太郎の両親は親同士が子どもの結婚相手を探す代理お見合いに参加。今井家の一人娘・奈穂子(夏帆)とのお見合いを決めてくる。
お見合い当日、緊張する中、清楚で美しい奈穂子を見て、健太郎は生まれて初めて恋に落ちる。奈穂子の目が見えないことはものともせず、好きという感情を爆発させる健太郎。しかし二人の行く手には幾多の壁が立ちふさがっていた……。

公務員で毎日決まった時間に出て、決まった仕事をしてという人は割といるかもしれない。でもここまで内向性の強い人っているのかしら?という疑問と盲目の女性とのお付き合いという設定がどうも不自然に思える。
超エリート官僚は別として、どちらかというと、公務員の人って周辺にいる公務員同士と結婚して、共稼ぎして、しっかり収入を得てという人も多い。ちゃっかりとした人が多い個人的印象を持つ。確かにそういう人物像も映画の中には出てくるけど、この人ちょっと違いすぎる。しかも、この主人公の設定で「箱入り息子」という題名もおかしい。

だからと言って、主演2人の演技に問題があるわけではない。よくやっていると思う。脇を固める両親も一流どころで固めている。当然無難にこなす。吉野家デートなんて発想も悪くないのだけれど、のれないままに映画が終わってしまった。
今一つの映画だった。
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映画「探偵はBARにいる2」 大泉洋

2014-01-01 12:47:25 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「探偵はBARにいる2」は好評だった第1作に続いて2013年に公開された作品だ。

前作同様札幌が舞台で、地元大泉洋と松田龍平のデコボココンビが主演である。
タッチは前作同様で、「フィルムノワール」のように美女に依頼された探偵が事件に巻き込まれるという構図だ。ススキノに本拠地を持つ遊び人探偵大泉洋のキャラで成り立っているような映画に、売れ筋作品への出演が目立つ尾野真千子がからんでくる。
映画としては普通かな?

札幌ススキノ。探偵(大泉洋)行きつけのショーパブの従業員で友達のオカマのマサコちゃん(ゴリ)が殺害された。マサコちゃんは手品が得意で、マジックコンテストの全国大会に出場。二日前にその祝賀会を探偵の相棒・高田(松田龍平)や仲間の皆で祝ったばかりだった。捜査が一向に進まない状況の中、「マサコちゃんは政界の闇に触れたから殺された」という噂が探偵の耳に入る。時を同じくして、探偵を尾行してきたという女(尾野真千子)から事件究明の依頼が舞い込む。女は有名バイオリニストだ。友達の死の真相を探るため、再び探偵と高田は疾走する……。

友人なので犯人を突き止めようとするが、地元選出の政治家橡脇(渡部篤郎)がからんでいるという。その政治家は反原発の論陣にたった男だ。橡脇はその昔マサコちゃんと愛人関係にあったそうだ。手品の全国大会に出場したおかげで、マサコちゃんが一躍有名人になったため、選挙直前の大事な時期に過去の関係がバレるのではないかと恐れた橡脇がマサコちゃんを闇に葬ったに違いないというわけだ。さらに、マサコちゃんが弟のように可愛がっていた元ホステスのトオル(冨田佳輔)が事件以来行方不明になってるようだ。そこで探偵は相棒が運転するオンボロ車に河島弓子を同乗させトオルの出身地だという室蘭まで調査に出かける。どうも政治家が死ぬ寸前にオカマに会っているのは間違いないようだ。探偵は追いかけるが、政治家のしっぽをつかもうとするとすると邪魔が入る。

この映画では怪しいとされている政治家がなかなか出てこない。顔写真は何度も出てくるのであるが、大泉、松田コンビにからまない。これはある意味うまいやり方かもしれない。映画「ジョーズ」でサメが出てくるのに1時間20分程度かかるのと同じようなものだ。そうやって犯人を政治家に絞らせるような印象を観客に与える。
このコンビが接近しようとすると、この政治家に近い筋とそうでない筋の両方から罠にはめられていく。難儀する2人だ。

うまいと思わせる部分もあるが、最後にかけては若干疑問な?展開
でもこの探偵のキャラはいい加減で好きだ。日本を代表する繁華街ススキノが舞台になっているだけあって、思いっきり遊び人の探偵に仕立てられる。最近はつき合うことすらダメ出しをくらうヤクザと関わりを持つところなんかも悪くない。最初に出てくる美人AV女優麻美ゆま嬢とのからみはうらやましいくらいだ。ドタバタしたカーチェイスや乱闘劇は前回同様で笑えるシーンが続く。このシリーズしばらくは続くだろう。


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映画「県庁おもてなし課」 錦戸亮&堀北真希

2013-11-25 22:10:11 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「県庁おもてなし課」は今年2013年公開の作品だ。

高知県庁には、実際に「おもてなし課」があるという。それがモデルになったのか?映画だけを見ても「阪急電車」「図書館戦争」などあたりまくっている有川浩の原作。高知の田舎が舞台だけあって、全体にホンワカムードである。

高知県は長年観光を売りにしようと、県で策を練っていたが、なかなかうまくいかない。
そこで県庁に観光促進を目的とする「おもてなし課」を発足した。それじゃどうしたらいいのと言われると、何もできない。まずは県出身者の著名人に観光特使をいらいするところからスタートした。
「おもてなし課」の若き職員・掛水史貴(錦戸亮)は、県出身の小説家・吉門喬介(高良健吾)に観光特使就任を要請した。快諾された。その後同じようにさまざまな著名人に観光特使を依頼しているうちに一月が過ぎた。ところが、吉門から何も中間報告がないではないかと叱られる。役所仕事と民間感覚のズレを厳しく指摘されてしまうのだ。

吉門は、掛水に県庁外部から女性を雇うことに加えて以前「高知県へのパンダ誘致論」を展開して県庁を追われた伝説の元職員・清遠和政(船越英一郎)に接触を試みることをアドバイスする。掛水は、民間感覚と柔軟な発想力を兼ね備えたアルバイト・明神多紀(堀北真希)を雇い、清遠の大胆な発想とアドバイスを求め、彼の経営する民宿を訪ねる。

その民宿につくやいなや、掛水は清遠の娘・佐和(関めぐみ)からいきなりバケツの水を掛けられてしまうのだった。県庁に対して嫌悪感を持っているようだった。吉門と佐和の関係が明らかになっていく中、やがて高知県全土を巻き込んだ「おもてなし課」の計画が進行するが。。。。

公務員が主役というと、「県庁の星」という映画がある。意外に面白かった。
日本全国で自分がまだ行っていない県が5つある。高知県はそのうちの一つである。観光物だから高知の雰囲気がつかめるんじゃないかな?と映画の宣伝を見て感じたが、劇場には足を運ばなかった。

わざと空気が読めないようにやっているんだろうけど、錦戸亮はすっとぼけているなあ?という印象。実際にこういう奴とは付き合いたくないタイプの役柄だ。それでも最初に民宿へ行っていきなり水をかけられるのにはビックリだ。いくら父親が以前いじめられていたとはいえ、普通はこんなことしないだろう。ムカつく女だなあと感じる。それに対して頭を下げるなんて信じられない。
なんかムカムカする映画だなあと思いながら、映像を追う。この娘の態度はなんか好かないが、対照的に堀北真希演じるアルバイトが可愛い。でもこの映画を見て高知行きたくなったとまでは感じなかった。
「高知は自然が売り」という主旨は伝わるけど、高知県民の自己満足といった感じだ。



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映画「陽だまりの彼女」 松本潤&上野樹里

2013-10-23 20:12:59 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「陽だまりの彼女」を劇場で見た。

これは今年旧作含め185本見た中では一番泣けた。それもここ数年ダントツで。。
こんな展開はまったく予想外だった。

松本潤と上野樹里のポスターを見て、正直劇場で見る気分はまったくなかった。何気なくネットで追っていると、この作者の名前が越谷オサムということを知った。これってもしかして地名の「越谷」のことって思いながら、調べるとどうやらそのようだ。今勤務先の千葉まで電車で通う途中に越谷の街がある。以前のテリトリー内で関心のある土地だ。ふーんと思いながら、娘に聞いたらこの小説読んだと言っていた。「映画は今イチと聞いているけど」というが、気になる。そして見たら、純愛の物語だった。
後半ストーリーの肝があるが、それに向かう前半の純愛物語時点で泣けてきた。村上春樹の小説を思わせる学生時代からの腐れ縁話は好きだ。若者の目線と同じくらい思いっきり低くしながらみていると、ビーチボーイズの歌が何度も鳴り響く。美しい。恥ずかしながら泣けて泣けて仕方なかった。

主人公(松本潤)は鉄道広告の代理店に勤める若手社員だ。朝寝坊で会社に遅れたり、社会人としてはまだまだ未熟だ。そんな彼が会社の先輩とともに下着メーカーへのプレゼンに向かった。相手会社のスタッフと名刺交換を終えた時、ふと入室してきた一人の美しい女性(上野樹里)が目に入った。名刺交換をして名前を見て驚いた。中学時代の同級生だったのだ。

中学1年の時に転校してきた女の子だった。勉強はできないし、ふるまいのドンくささで他の女子生徒からバカにされていた。彼女がいじめられて、他の女子生徒からマーガリンを髪の毛に塗られているとき、とっさにかばったのが主人公だった。止めろというだけでなく、いじめている女子生徒の顔に主人公はマーガリンを塗りたくった。その後で、2人は仲良くなったが、中学3年生の時主人公は転校して、その後二人は会うことはなかったのだ。

その後、代理店の営業として、メーカーへの営業攻勢をしていたが、彼女の同僚には思いを寄せている先輩男性もいた。自分が入る余地はないと主人公は思っていた。そんな時、駅の大型看板にこれはと思う画像をプレゼンして気にいってもらった。しかし、肌の露出が著しい写真だったので、保守的な鉄道会社からは反発をもたれると上司である部長は反対した。がっかりした主人公だったが、街を歩くと肌が露出した写真の看板が目立つ。彼は都内を歩き回り、上司への説得材料となる写真を撮りまくった。夜通しやったせいか疲れ果てて公園のベンチで寝てしまった。その時、彼を起こしたのが彼女だった。事情を聞いて彼女も協力して、説得材料を集め、無事駅の看板として採用させた。そうして2人の距離は一気に近づいていった。
距離の近づいた2人は付き合うようになり、江の島をデートした。藤沢にある彼女の実家を主人公が寄ることになった。実家の両親は彼の来訪を歓迎したが、彼女には彼がそれまで知らない秘密が存在することを知らされたのであったが。。。

嵐の松本潤が主演だけに、2人の接触は「やさしいキス」に限られる。肉体的触れ合いはない。でもこれだけで上野樹里はかなりの嫉妬を一般女性から浴びせられるかもしれない。映画館内の女性比率は異様に高かった。普通に考えればそうだろう。でもこの映画は男向きかもしれない。なぜならこういう純愛は男の方が好きだからだ。

意地の悪い女にいじめられているのを自ら助けたあと、ずっと心の奥底に何かを感じていた女性と久々再会する。しかも、その彼女は格段に美しくなっている。男性からするとその話には興奮するしかない。同窓会で久しぶりにご対面というのは、その時点の年齢によってドラマが異なる。20代でなく、それが30代後半から40代での再会ということになると、大人になった女性と若干ナマ臭い雰囲気もある。それでも純愛のムードを残すものである。我々も同じようなことがあった。共学ならではの楽しみだ。こういう場面が好きなのはむしろ男性であろう。

しかも、今回テーマミュージックとして流れるのはビーチボーイズである。現役できいているのは60代以上であろう。でも、その下の年代でもこの歌は何度も耳にしていると思う。サーフミュージックは時代を経て繰り返し人気になっているからだ。

その流れを組んで最後のエンディングロールには山下達郎のテーマ曲が流れる。これが抜群にいい。
いつもは早くに席を立つ自分もなかなか席をたてなかった。

2人のデートで江ノ電に乗るシーンがある。しかも、軽いミステリー&ファンタジー仕立てのムードがあるこの映画で「江の島」それ自体が舞台になる。江の島を眺めるベイエリアでの映画シーンは古くは黒澤明監督「天国と地獄」を始めとして数多くあるが、江の島自体がクローズアップされるのは珍しい。自分が小さい頃、鎌倉から江ノ電で向かい「江の島」一つ手前の「腰越」に実家の別荘があった。海岸のすぐ近くだった。その時は映画にも出てくる江の島水族館によく行ったものだ。2人のデートを見ながら、脳裏にたくさんの思い出が浮かんできたのも感激した一つの理由かもしれない。

2人の純愛に進展があった時、時計を見たら1時間たったところだ。まだ時間があると思った矢先から、別の展開が始まる。伏線はいくつか打ってあったが、ファンタジー色が少しづつ見えてくる。それでも、CGを使った露骨なファンタジー映画にしていないのに好感が持てる。

俳優の演技もみんなよかった。ちょっと男前すぎるのでは?という評価をした人がいたが、松本潤は大健闘だ。嵐の中では長身の松本が普通ぽく見えるように、職場の先輩にあえて長身の男を起用したのもキャスティングの妙かもしれない。上野樹里も可愛いすぎる。終電時にいったん帰ると言って、電車からドアクローズ寸前に降りてきたシーンが強く印象に残る。あらゆる男性はこのシーンにすべてノックアウトだ。
何もかもうまくできていた気がする。

(参考作品)
陽だまりの彼女
涙なくして見れない純愛
コメント (3)
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映画「そして父になる」 福山雅治

2013-10-03 05:47:04 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
是枝裕和映画「そして父になる」を劇場で見た。

イーストウッド作品で「チェンジリング」という作品があったが、意味合いはまったく違う。
生まれてすぐに病院の間違いで、別の子供を自分の子供として育てることになってしまった。それが6歳になって発覚してしまう話だ。違う生き方をしている2つの家族でそれぞれ育てられてきた子供と一緒に暮らせるものなのか?逆に今まで一緒だった子供と別れられるのであろうか?映画を見ながらずっと考えていた。
グレングールドが弾くバッハのピアノソナタが淡々とながれるなか、静かにストーリーは進んでいく。

学歴、仕事、家庭といった自分の望むものを自分の手で掴み取ってきたエリート会社員・良多(福山雅治)。自分は成功者だと思っていた彼のもとに、病院から連絡が入る。それは、良多とみどり(尾野真千子)との間の子が取り違えられていたというものだった。6年間愛情を注いできた息子が他人の子だったと知り、愕然とする良多とみどり。

取り違えられた先の雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)ら一家と会うようになる。血のつながりか、愛情をかけ一緒に過ごしてきた時間か。良多らの心は揺らぐ……。(kine note引用)

福山の妻が前橋の実家に帰って出産したときに起きた出来事だ。東京で心細いからだという。別におかしな話ではない。
ストーリーは発覚してから、病院の仲裁で両方の家族が一堂に会うようになる。両方の接触自体は少しづつ進んでいく。最初は子供を片方の家族の家に一泊させる。それが続いた後、一気に同居となっていく。そのあといくつかの事件が起きる。そのいくつかには、胸にジーンとする場面もあった。


悪くないと思うが、設定に難ありという気がする。ネタばれでもあるが、いくつかあげる。
1.福山は建設会社のエリート社員という設定だ。
東京の高層マンションに住んでというのは不自然ではない。今回福山が両方の子供を2人とも引き取ろうという話になる。子供を引き取るために金銭が介在しても、それなりの蓄えもあるから大丈夫というが、実際そんなにリッチなのであろうか?現実的ではない。福山の父親夫婦は三ノ輪の小さなアパートで暮らす。暮らし向きはいいようには見えない。とすると、親からの援助が期待できない。この映画に出る高層マンションに住もうとしたら、かなりの住宅ローンを抱える必要があると思う。それに加えて、子供を私立小学校に入れたうえで、余分な蓄えなんてあるだろうか?サラリーマンではありえない気がする。

2.リーフランキー夫妻は前橋に居住している設定だ。
福山の妻が前橋の生まれで実家がある。すぐさま両方の家族が行き来するようになるが、こんなに簡単に往復することができるであろうか?けっして遠くはないが、まるですぐ近くに両方の家族がいるような感じで表現されている。ましてや、福山の家から子供が家出する。電車にのって前橋まで帰るのだ。小学校一年生ではこれってかなり難しいと思う。東京から新幹線にのらないと群馬まで時間がすごくかかる。高崎線にのってなんて構図は難しいだろう。自力で移動したことが一度でもあれば、話は別だが、父である福山は東京前橋間を車で移動する。違うかな?といった感じだ。子供の時に福山が家出したことあるという設定だ。その遺伝子を持っているということを強調したかったのはわかる。でも少し無理がある。

他にも、ピアノの発表会のパフォーマンスや病院の看護婦の話、宇都宮に異動になったとにもかかわらず東京のマンションに住むことなど違うかな?という部分がたくさんあった。
映画としてみる分には悪くないけど、脚本設定はもう少しもんだ方がいいのではないか?

グレングールドが弾く「ゴールドベルク変奏曲」は効果的に使われていたと思う。最初日本人のだれかが、弾いているのかとも思ったが、しばらくして演奏者の唸るような声が遠く聴こえる。それでグレングールドの演奏だとわかる。あのスローな鍵盤タッチがなんとも言えず美しい。映画にはあっている。

そして父になる
是枝監督とのコンビ
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映画「真夏の方程式」 福山雅治

2013-07-04 18:54:49 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「真夏の方程式」を劇場で見た。
東野圭吾原作、福山雅治が天才物理学者・湯川学を演じる人気シリーズ『探偵ガリレオ』の映画化だ。原作は未読

前作『容疑者Xの献身』は大ヒットだった。最近放映されたTVドラマ「ガリレオ」も20%前後の視聴率を獲得しているという。人気が継続しており、気になる作品だ。今一番輝いている福山雅治を見たい願望に駆られていった。物理学者の推理というだけでは、ドライな仕上げになるはずだが違う。日本人好みの人情物語に作り上げている。
最後にかけて、少し凡長と思える部分もあるし、ありえないと思われることもいくつかあったが楽しめた。

主人公湯川博士(福山雅治)は海底資源開発の説明会にアドバイザーとして出席するために玻璃ヶ浦へ来ていた。その集会では反対派が環境保全のために強く抵抗していた。
湯川は旅館「緑岩荘」に宿泊する。集会でかなり激しく反対派の論陣をきっていた地元の娘・川畑成実(杏)は父親・川畑重治(前田吟)、母親・川畑節子(風吹ジュン)が経営する旅館「緑岩荘」を手伝っていた。

玻璃ヶ浦へ向かう電車の中で湯川に出会った小学生の少年恭平(山光)もいた。両親の都合で一人、叔父が経営する旅館で過ごすことになっていたのだ。翌朝旅館がざわざわしている。同じ旅館に泊まっていた客の塚原がその夜中に姿を消し、海辺で変死体となって発見されたのだ。県警は堤防から誤って転落した事故死の線が濃厚であるとしていた。

所持品から被害者の塚原は元警視庁捜査一課所属の刑事であることがわかった。警視庁内では、彼に限って堤防から誤って転落なんてありえないという疑問が起きる。被害者と同じ旅館に湯川が泊まっていることを知り、なじみの捜査官岸谷美砂 (吉高由里子)が現地に派遣された。司法解剖の結果、塚原は一酸化炭素中毒で死んだ後、海に遺棄されたようだ。

すると塚原元刑事が16年前のある殺人事件を担当していたことがわかる。犯人仙波英俊 (白竜)は玻璃ヶ浦の出身だったという。何か絡んでいるのか?

映画を見始めてすぐ、いきなり鉄道上の歩道橋で1人の女性が刺し殺されるシーンが出てくる。
翌日の新聞記事にもなり、その女性と親しかった男の元から血染めの刃物が発見されて逮捕される。
すると、風吹ジュンが女性に向って何かを語っているシーンが映される。何なんだろう?
湯川が泊まっている旅館に、1人の初老の男性が泊まっている。
彼は元刑事だったといい、「16年前の事件について話が聞きたい」と風吹ジュンに言っている。
うろたえる風吹ジュンの姿が映し出される。16年前の事件の犯人が彼女なのか?とすぐさま思う。

そうしているうちにその刑事が殺されるではないか。この手の殺人事件の犯人は大女優が演じることが多い。いかにも彼女が怪しいと思わせるところから映画を展開させる。

執念の刑事といえば、松本清張「天城越え」で退職後の刑事が真犯人だった印刷屋の主人に昔の捜査資料の印刷を依頼するシーンが思い出される。
でもここではその刑事が殺されてしまうのだ。

転落の前に一酸化炭素中毒で既に死亡していたことが判明する。ならば、どこで死亡したのか?緑岩荘に泊まっている時に一酸化炭素中毒死したのか?それとも昔の犯人が自分の実家で殺してしまったのか?
謎が生まれる。それでも、謎解きだけで言えば、刑事殺しの全貌は割と早くわかる。開始して1時間たつかどうか?あと1時間以上ある。
その後どう話を進めるんだろうと思っているうちに、推理小説らしい過去の追跡による推理だけでなく、親子間の交情などウェットな話を織り交ぜる。
単なる推理を楽しむというだけの映画に仕上げていない。

いずれにせよ、主人公が物理学者としての一面を見せるところが最大の見せ所だ。食事のときに火に炙られた紙のお鍋が燃えないことを証明するくだりとか、ペットボトルロケットで少年と200メートル沖の海を見るシーンは実に楽しい。

特にロケットを飛ばして、海の底を見てみようとする実験の場面が印象深い。殺人事件で家の中が大騒ぎになっている中で、湯川がペットボトルや釣竿など材料を集め始める。少年が海を見たいこともあるけど、前日旅館の娘から海中が実に美しいということを聞いていたので見たくなったのであろう。何回も釣竿をつかってロケットを投げながら試行錯誤する。この角度では200メートルに届かないから角度を変えてもう一度とばかりに物理の実験ばりにトライする。これは見ていてワクワクする。
何が出来るのか?やっている最中は少年に教えない。どうなるのか推論してみろと言う。「自分で考え抜いた時のほうが、うまくいったときの喜びも大きい」と自分の頭で考える大切さを教える。なかなか教育的だ。

自分も湯川先生のように実験によって物事の道理を推測しようという気持ちは常に持っている。どちらかというとビジネスとしての実験かもしれない。
小学生の頃から理科に苦手意識がある。理科実験の時間は憂鬱だった。不器用で実験道具がうまく扱えない。数学は得意だが、理科はダメ。高校2年1学期期末試験にまじめにやろうと思った化学で0点とってからやる気がなくなった。したがって学校の選択肢も狭められた。今の会社の部門では、半分以上理系が占めるが、上司の自分は理科嫌い。
仕事的には物理学が多少関係あるし、技術屋に必要な資格も力学が必須だ。でもその知識がなくても仕事は出来る。もちろん仕事に関わる専門分野はディテイルまで理解するが、なぜそうなるのかまで探求しない。そんな自分でも、繰り返し実験する楽しみをこの映画でよみがえらせてくれた。

映像としては、映画公開時期を意識した夏らしいものとなっている。舞台となる海辺の町は美しいし、ヒロインである杏が海にもぐるシーンは涼しげだ。湯川博士が作るロケットで水中をのぞくなんて設定を、子供たちが映画で見たとすると一気に引き寄せられるであろう。

そのためか、本来あってもよさそうなエロティックな映像はない。事件についても、加害者に同情心を持たせる構成になっている。見ている自分も目がウルウルしそうなシーンもある。
それなので観客動員も幅広く図れるだろう。湯川博士はかなり突っ込んだところまで解明するのに、最後はウヤムヤに終わらせるところが日本人には受けるかもしれない。

福山雅治の存在感は凄い。
反対集会で大きく叫ばれる開発絶対反対に対して、湯川が「海中の調査を行うことは海を汚すことではない。調査の上で開発か環境保全かを決めるべきだ」
冷静沈着にいうセリフは重みがある。

歌も出来るし、俳優としても天下一品で実にすばらしい。まさに当代きっての千両役者だ。

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映画「ニ流小説家 シリアリスト」 上川隆也&武田真治

2013-06-19 05:22:08 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「ニ流小説家 シリアリスト」を劇場で見た。
デビッド・ゴードンによる「二流小説家」は「このミステリーがすごい! 2012年版 海外編1位」をはじめ、日本の主要ミステリーランキングで“史上初の3冠”を達成した。その映画化である。原作は未読、なんとなく面白そうな題名の響きにつられて見に行った。

赤羽一兵(上川隆也)は売れない小説家だ。フリーランスのゴーストライターとしてジャンルによってペンネームを使い分けている。男性なのに母親(賀来千賀子)の旧姓と若い時の写真を使って作品を発表することもあった。泣かず飛ばずで編集者からはエロ系の小説を書くように依頼されていた。

ある日、彼のもとに12年前に連続殺人事件をおこした死刑囚の呉井大悟(武田真治)から「告白本を書いて欲しい」という執筆依頼が舞い込む。自称写真家の呉井は、モデルとして集めた女性たちを殺し、首を切断して写真を撮った「シリアル・フォト・キラー」と呼ばれる男だ。

本当に呉井からの依頼なのか疑問に思い、彼の弁護士(高橋恵子)に確認した。間違いないようだ。弁護士は彼の無実を訴えており、死刑執行までは出版しない条件で面会を許される。この話を知った被害者遺族会は出版しないように赤羽に迫る。赤羽は告白本を書けば世間の話題になって周りを見返すことができる。そんな欲望に駆られていた。

実際に会ってみると、呉井の強烈な個性に驚く。

狂喜に迫る語り口に赤羽もやり込められた。彼にファンレターを送ってくる3人の女と彼とのポルノ小説を書いてくれたら、まだ誰にも話したことのない事件の真相を話してもいいと言う。指定された女性に順に会いインタビューした。最初は30歳の独身OL、次はひきこもりの10代の女の子だった。いずれも呉井に熱烈なラブレターを送っていた。そして赤羽はポルノ小説を書き上げていく。3人目のAV女優の家では相手にいきなり脱がれてあわてて飛び出したが、冷静になりもう一度話を聞こうと戻った赤羽の目に飛び込んできたのは、惨殺された無惨な遺体だった。

死体の状態は12年前に呉井が犯した事件と同じ首なし死体だった。続いて他の2人も同じように殺されるのだ。刑務所にいる呉井に今回の事件の犯行は不可能である。12年前の事件も呉井以外の何者かの犯行なのか。。。

映像のトーンをあえて薄暗くしている。白黒映画は撮影の仕方で濃淡が出てくる。ここではそうもなっていない。薄暗いせいか赤がくっきり浮かび上がる。死体が遺棄されている場所には赤い花びらが散らばっている。そういう薄暗い映像に、川井憲次の音楽がよくあう。不安を掻き立てるのだ。

ストーリーは飽きさせない。映画「リアル」のように途中眠くならない。しかも、武田真治のパフォーマンスが強烈である。うす暗いせいか、最初は武田真治の顔が嵐の松本君に似て見えた。強烈なパフォーマンスを見せつけた時、殺人事件が3つ連続で起きる。12年前事件を起こした同じ手口だし、その有力犯人は塀の中にいる。おっと別犯人がいるなと思わせる。誰かな?

ネタばれ気味だが、この映画を見ている途中で、ある人間が絶対に何かからんでいるな?と思わせてくる。身寄りのない容疑者呉井の幼いころを映すシーンが出てくる。売春婦の母親について全国を回っているシーンだ。その時彼女の母親の顔を見せない。赤いスカーフを印象的にする。この母親は息子と別れ別れになった後死んだという。横溝正史映画が真犯人を最初正面から映さないのと一緒だ。

ある大女優が演じる役柄に説明が加わる。それ自体から臭いにおいがプンプンする。途中別の人間が怪しいと思わせる部分をあえていくつかつくるが、どう考えてもある大女優があやしい。まんざらそれは外れていなかった。展開が読みやすく脚本と映像ができている印象だ。

一つの結論を導き出した後、事件はそれだけでなくもう一度山をつくるというのは、よくできたミステリー小説の手口だ。この映画もその定石に基づく。でももう一つの山がさほど衝撃的な映像とできていなかったので満点をあげられない。いずれにせよ楽しめた。

ここでの武田真治の演技はよかった。似たような変質者を藤原君が「藁の楯」で演じたが、どう比較しても武田真治に軍配が上がる。上川隆也も武田につられたという印象だ。彼も悪くない。

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映画「リアル  完全なる首長竜の日」 佐藤健&綾瀬はるか

2013-06-05 17:50:46 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「リアル 完全なる首長竜の日」を劇場で見た。

当代きっての人気俳優佐藤健と綾瀬はるかの主演作。なぜか2人の作品は相性悪くない。
予備知識なしにみた黒沢清監督の映画だ。途中まで凡長と思える部分も多く
一瞬眠くなる場面もあったが、ラスト20分一気に目が覚めた。この展開はなかなかだ。

まず恋人同士の浩市(佐藤健)と淳美(綾瀬はるか)2人を映す。2人は小学校の同級生で離島で小さい頃一緒だった。
漫画家の淳美は1年前に自殺未遂で昏睡状態に陥り、いまも眠り続けていた。浩市は淳美を目覚めさせるため、「センシング」という最新医療技術を使って淳美の意識の中へ入り込む。彼女がなぜ自殺を図ったのかは不明であり、その原因を探らなくては、仮に意識を取り戻したとしても再び自殺を繰り返す恐れがあると、担当する精神科医・相原(中谷美紀)から言われていた。

センシングは何度も続く。中で出会った淳美は、浩市に「小学校の時見た首長竜の絵を探してきてほしい」と頼む。浩市はその絵を探すために一緒に暮らしていない母親(小泉今日子)の元をおとづれた。見つからない。しかし、センシングを繰り返すうちに、浩市は少年の幻覚を見るようになったが。。。

映画を見て途中までは、自主映画を見ているような錯覚にとらわれた。
ゾンビが出てきたとき、いかにも学生の素人がつくる映画のような変装だし、佐藤健が自動車に乗っている姿を映す時も、車窓の外が50年代の映画を見るような稚拙さで素人作りのような印象を得た。
アメリカ映画などに比べて稚拙な装置には呆れるしかない。
それくらい予算がない映画なのであろうか?

ほとんどが医療先進技術の機械「センシング」により、佐藤健が綾瀬はるかの意識の中に入る映像である。2人の会話が中心だが、漫画雑誌の編集部のオダギリジョーや染谷君がからんでくる。綾瀬が自殺未遂をして一年たって、連載をどうするなんて話を何度も相談している。
そんな話も見ているうちに疲れてきて、少し眠くなってきた。


そんな時それまでの前提が大きく変わる。数学でいう180度の一次変換だ。
突如目が覚める。
何これ?!

そこから急に緊張感が高まる。
しかも、1年間昏睡が続いたあとで危篤状態になるのである。心臓も停止する。もうだめなのかと思った後で、脳波だけは動いているだろうということで再度「センシング」にトライするのだ。そしてこだわりの原因がわかってくるのである。そして、意外な展開に進む。
ネタばれで言えないのが残念だが、思わず座席でのけぞるような感じになってしまった。どうラストを持っていくのか?ドキドキしてしまった。
この映画は先入観なしで見た方が楽しめるかもしれない。


お互いの意識の中に入れるというのが実現するようになるのであろうか?
これはいずれできそうな気もする。

母親が死ぬ前、モルヒネの注入もあり意識がなくなった。
目を開けようとしているのであるが、白目にしかならない。何かを訴えているような気もするがわからない。そんな状態になったときに何を考えているのか聞きたい気もした。
こういうとき意識の中に入っても不満ばかりが出てくるような気もするが、思っていることを探ってみたい気もした。言い残したこと、いってくれるかもしれない。

終わりよければそれでよし。そんな言葉が似合う映画だ。
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映画「藁の楯」 大沢たかお&松嶋奈々子

2013-05-31 21:53:27 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「藁の楯」を劇場で見た。

気になっていた映画だが、娯楽作品としてはそれなりに楽しめた。
ただ、状況から見てこれってありえないよなあ?という場面は多々あり
それだけが気にはなった。

7歳の幼女が惨殺される事件が発生した。
以前少女暴行殺人事件を起こした清丸国秀(藤原竜也)に容疑がかかり、警察による捜査が行われた。しかし、清丸の足取りはわからない。
事件から3ヶ月後、事態が大きく変わる。殺された幼女の祖父・蜷川隆興(山崎努)は大手新聞3紙に、清丸を殺した者に10億円支払うとの全面広告を打ち出した。蜷川は政財界を意のままに動かす大物で数千億円の資産があるといわれる。広告が掲載されると同時に大手新聞社の担当は辞表を出す。裏金が動いているようだ。この前代未聞の広告を見た国民は一気に殺気だった。
身を潜めていた清丸を映す。その隠れ家を訪ねる親友がいつもの接し方をするふりをして襲いかかる。これが最初の襲撃であった。その場は危うく逃げたが、身の危険を感じた清丸が福岡県警に出頭する。
幼女の殺人容疑で東京の警視庁が清丸の身柄を確保することになった。しかし、清丸殺害に賞金がかかっており、護送する最中に彼が狙われる可能性がある。

そこで警視庁の幹部は精鋭のSP2名(大沢たかお)(松嶋奈々子)と刑事2名(岸谷吾郎)を指名して福岡に送った。誰が襲撃してくるかわからない極めて厳しい状態だ。。。。

清丸の周りにいる連中が突如襲ってくる。
留置場の刑務官のみならず、看護婦もあやしい。
まだ留置されて間もないうちから、警察側の身内から良からぬ考えを起こすものがすぐさま出てくる。

当初は航空機での移動を検討するが、すぐにSPが却下する。きわめて危険だからだ。
そして車での輸送を図る。何台もの車が一緒に移動する中で、どの車にいるかを特定できないようにする。それでも内部情報が漏れたのか、特攻隊のような機動隊員が車に飛び込んでくる。
反撃するSPたちだ。不死身の強さを見せるが、大きな装甲車が再度押し寄せる。
それでも一つ一つ捌いていくわけだが、難関は次から次へと押し寄せる。

護送車での移動から新幹線に方針転換だ。この列車に乗車するという予告なしに小倉駅から乗車する。
そして、車掌に乗車している車両を無理やり閉鎖させる。
そこでも一筋縄には行かない。おかしいと気づいたヤクザ筋が狙う。
懸命に抵抗するSP2人と警視庁の刑事2人と福岡県警の刑事1人だ。
でもこの直後に最初の悲劇が起きる。

その後も新幹線の線路に障害物がおいてあったり、途中駅で少女を人質に清丸を引き渡せという奴が出てくる。これでもかという波状攻撃だ。

そんな展開は見ていて飽きない。アメリカのアクション映画に比べればという気もするが
日本映画でこの程度まで見せてくれれば十分だろう。

でも途中から少しだれる気がする。
主演のSPにミスが目立つ。当初見せていた完璧さがそんなにもろいものなのかと思ってしまう。
タクシーがなぜ検問を通るのかも理解できない。しかも、最後の到達点に向けての肝心なところを見せない手法は気に入らない。


大沢たかおの「終の信託」の検事役には思わずうなった。映画を見て何て憎たらしい奴だと思った。
見ている我々にも敵意を抱かせる名演技であった。もちろん、この作品も悪くはない。
でも何か抜けているような気がするのと、これはありえないという場面がいくつかあり違う印象を持った。

松嶋奈々子も大ブレイクした「家政婦のミタ」のあと、いい作品に出会えたと思う。途中オバさん扱いされたり、プライドが傷つくような場面あるのがかわいそう。
藤原竜也クンは良くがんばった。変態犯の役が毎度のことながらうまい。
ラストの場面で1人しゃべる場面がある。山崎努の「天国と地獄」での狂気に迫るトークを知っているので少し物足りない。でも当代きっての名俳優だ。結婚するらしいね。おめでとう。

それでもこの映画それなりには楽しめた。
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映画「舟を編む」 松田龍平&宮崎あおい

2013-04-24 18:32:20 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「舟を編む」を劇場で見てきました。
2012年の本屋大賞に輝く小説の映画化で、自分は原作を読んでいない。
雰囲気がよさそうなので、見てきたが期待通りであった。

主演2人もいいが、脇を固める加藤剛やオダギリジョーそして渡辺美佐子が実にいい味を出していた。
キャスティングの勝利であろう。

1995年玄武書房辞書編集部では新しい辞書「大渡海」の編さんにとりかかろうとしていた。現代用語も盛り込んだ新しい辞書である。監修者の松本先生(加藤剛)を中心にとりかかろうとしていたが、ベテラン編集者の荒木(小林薫)が定年退職すると若いチャラ男の西岡正志(オダギリジョー)と女性契約社員(伊佐山ひろ子)だけになるのであった。誰か代わりがいないかと社内を探すことになった。

馬締光也(松田龍平)は職場の営業部では変人扱いされていた。営業にはあまり向かない。大学院で言語学を学んだ彼は言葉に対する感性を見込まれ辞書編集部に配属される。仲間と共に24万語に及ぶ言葉と格闘することになった。ある日、馬締は下宿の物干し場で大家(渡辺美佐子)の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)にであう。祖母の面倒を見るために同居することになったのだ。彼女は日本料理屋で板前の修業をしている。

馬締は彼女に恋をした。そして彼女に恋文を書くことにしたのであるが。。。

末梢神経を刺激するような話ではない。新しい辞書をつくるための軌跡を淡々と描いていくだけである。その間に主人公の不器用な恋話が描かれるのだ。

いきなり「右」という言葉の意味を言ってごらんという話が出てくる。
当たり前のことを表現するのはむずかしい。
そうすると「西を向いたときの北側」という話が出てくる。なるほど
「数字の10を書いた時の0」という表現もあった。

こんなトンチみたいな言葉解釈で一日中格闘するのは大変だ。その膨大な用例採集、見出し語の選定、語釈をめぐる果てのない議論が続く。この辞書編纂にとりかかってからなんと15年かかってようやく一つの辞書ができるのだ。

凄い話だ。語り口は見る者を退屈させない。充実した時間だった。

宮崎あおいが本当に可愛かった。
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映画「草原の椅子」 佐藤浩市

2013-03-04 19:49:23 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「草原の椅子」を劇場で見た。

宮本輝の小説は比較的好きなほうだ。気になっていた。
宮本輝が阪神・淡路大震災で被災したことをきっかけに、シルクロード6,700キロ、40日にわたる旅を体験して執筆した小説を映画化。
『八日目の蝉』の成島出監督がメガホンをとるということも気になっていた。
今後の生き方を模索する登場人物たちが世界最後の桃源郷と呼ばれるパキスタンのフンザへ旅する姿を描く
ただ映画的にはイマイチだ。

主人公遠間憲太郎(佐藤浩市)はカメラ製造会社の営業管理職で50歳、バツイチで大学生の2人で生活している。上司からは実績をあげるため急かされあたふたしている毎日だ。
彼に取引会社の社長富樫(西村雅彦)から電話が入る。関西出身で単身赴任で東京に来ている家電量販店の経営者だ。浮気相手に別れ話をしたら、キレられ灯油を浴びさられたとのことだ。
その事後相談にのってあげている際に彼から親友になってほしいといわれる。

主人公は町を歩いていて、和服の似合う1人の美人貴志子(吉瀬美智子)を見かける。お店に入っていくのを追いかけていくとそこは陶芸の器を売っている店であった。彼女に惹かれる中、気がついてみると10万円の器を買ってしまう。その後もその店に通うようになる。

そんなある日、大学生の娘から相談を持ちかけられる。バイト先の社員の男性が困っているという。
母親に虐待された子供を預かっているようだ。その男性の仕事が忙しいので一時的に預かってくれないかというのだ。身勝手な男の依頼だが、一応預かる。母親からの虐待がトラウマになっている少年だ。
奇妙な共同生活が始まっていくのだが。。。

憲太郎、富樫、貴志子の3人は、いつしか同じ時間を過ごすようになる。
交流を深めていく中で、圭輔の将来を案じ始める。
めぐり逢った4人は、ある日、世界最後の桃源郷・フンザへの旅立ちを決意する。

ストーリーに大きな起伏はない。
宮本輝の話にしては単調だ。この3人の演技自体悪くはないが、面白みはない。
何でこの子供を預かるのかが非常に不自然、しかも見ていて不愉快だ。
気分が悪くなるような途中のストーリー展開に、突然子供の親小池栄子が現れる。これ自体も不愉快なシーンだが,小池栄子自体はうまい。変態的役柄を演じると、うまみが増す。

先日「ゼロダークサーティ」の舞台になったパキスタンとこの映画の映像とは180度違う。
ただ、この風景もっときれいに撮れたんじゃないだろうか?
映像が見たいという観光客的気分でいったけど、失敗だったなあ


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映画「脳男」 二階堂ふみ&生田斗真

2013-02-10 06:36:15 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「脳男」早速劇場で見てきました。

ヒミズ」で衝撃的な印象を残した二階堂ふみの存在感が高いという噂を聞いていってきました。確かに彼女のパフォーマンスに他の出演者はみんな圧倒されている感じだ。クールな脳男生田斗真も悪くはないけど、二階堂ふみ に脱帽です。



いきなり映像で一人の女性が舌を切られる残忍な場面がでてくる。
その女性はそのままバスに乗り込もうとする。そして精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)が映し出される。彼女は帰宅中、そのバスに乗ろうとしていたが乗りそこなう。走り出したバスが突如爆発する。
都内近郊で無差別連続爆破事件が頻発していた。そこで亡くなったのは一連の事件を報道するレポーターなどで、舌を切られたのは次の爆破事件を占っていた「祈祷師」だ。このバスも彼女に装備された「人間爆弾」が爆発したのだ。

刑事・茶屋(江口洋介)は遺留品からタングステンの爆弾破片を見つける。販売先を割り出し、犯人のアジトを見つけ出す。古ぼけた工場だ。相棒と踏み込むと同時にアジトは爆発し犯人は逃走。代わりに傷を負って現場にいた男(生田斗真)を逮捕する。

男は「鈴木一郎」と名乗るが、肝心な事は何も話さない。一切身元不明だ。一郎の精神鑑定を担当した真梨子は、「彼には生まれつき感情がないのではないか」と感じた。

彼女は一郎の過去を調べ始めると、その昔無感情な子供に関する考察を書いた精神科医の論文をみつける。その医師(石橋蓮司)に会いに行った。医師によれば、一郎の本名は入陶大威(=いりすたけきみ)。幼い頃に轢き逃げ事故で両親を亡くした彼は、大富豪の祖父・入陶倫行(夏八木勲)に引き取られる。入陶大威はとてつもない頭脳をもっていた。膨大なピースがある難解なパズルもあっという間に完成させるし、一度読んだものはすぐに頭に入り理解するのだ。


祖父は英才教育をした。同時に祖父は息子夫婦を失った怒りから、頭脳明晰の孫に殺人を教える。孫は犯罪者を抹殺する殺人ロボットに鍛え上げられたのだ。そんな彼は「脳男」と呼ばれるようになった。茶屋は犯人を殺そうとしたのではと思いだす。
そんな中、一郎を移送していた護送車が、緑川紀子(二階堂ふみ)と水沢ゆりあ(太田莉菜)の2人組に襲われるが。。。


爆弾が次から次へと爆破される場面が出てくる。今の日本映画では多いほうだ。リアルな場面も多いが、一部はCGでないとできない場面もあるだろう。正義が勝つといった正統派の展開ではない。普通であれば何の被害もないと思われる人物も死んでいく。なかなかグロテスクである。その異常性を増長するのが生田斗真演じる主人公一郎と二階堂ふみ演じる緑川紀子だ。

生田斗真が演じた「人間失格」はよくできていると思っていた。今回はあの時以上に役に没頭する。不死身な殺人兵器のような役だ。しかもクールで感情がない。漫画「ゴルゴ31」の初期の作品に「芹沢家殺人事件」というのがある。ゴルゴ31のルーツをたどるものだ。あのストーリーを連想した。あの子供も親族を殺して無表情だった。ベラベラしゃべらないだけに、表情が重要となる。実にうまかった。

それ以上に凄いのが二階堂ふみ 。「ヒミズ」のときに主人公に憧れる少女を演じた。あのパフォーマンスにも驚いたが、今回は仰天した。眉毛をそって登場だ。生田と対照的な殺人鬼だ。彼女も頭脳明晰の設定で爆弾をシコシコつくり、警察無線を傍受して相手側の行動を事前に読む。
最後に向けてのクライマックスでは完全にその他の俳優を圧倒していた。松雪泰子が鏡の前にいる時に突如現れ「そんなに鏡見なくても十分きれいよ」なんて言いながら拉致する場面が印象的だ。
彼女はまだ18歳、出演オーダーは続くであろうし、末長い活躍が期待される。

今回は松雪と江口はセリフが多いけど普通、でもサブにまわったから仕方ないだろう。二階堂と組んだ太田莉菜は殺人鬼らしい狂気の表情を出していた。「ヒミズ」の染谷将大がでていた。あの時ほど重要な役ではないが、最後に向けて思わぬ絡み方をしていた。

エンディングロールにキングキリムゾンのデビューアルバム「クリムゾンキングの宮殿」からスタートの曲が流れていた。学生のころレコードがすり減るくらい聴いていたアルバムだ。テーマ曲や「エピタフ」などメロディアスな曲の方が好きだった。「21世紀のスキッツォイド・マン」はむしろ気色悪いと思っていた。でもこの映画のこのムードには恐ろしいくらいぴったりした曲だ。


主役2人のパフォーマンスにひたすら圧倒された映画でした。
これは見てよかった。

(参考作品)
脳男
眉毛をそった二階堂ふみの狂気の演技


ヒミズ
二階堂ふみの女子高校生が強烈


クリムゾン・キングの宮殿
ビートルズのアビーロードを圧倒した世紀の名作
コメント (2)
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映画「東京家族」 山田洋次

2013-01-20 21:17:26 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「東京家族」を劇場で見てきました。

小津安二郎監督の昭和28年の名作のリメイクを松竹の後輩山田洋次監督が撮る。どういう手綱さばきをするかが見モノだった。正直小津得意のローアングルショットにとらわれすぎていると同時に、ペースを無理にスローにしている感じが前半部分では強く感じた。
戦争未亡人であった原節子という存在が、平成の世では考えづらい状況にある。そこでつくられた新たなキャラの妻夫木聡と蒼井優が思いのほかよく見えた。前半の超スローペースも2人の存在で適切な速度になる。徐々にハートに響いてくるようになる。
ストーリー展開の意外性はないが、なぜか泣けてくる部分もあった。

ストーリーは言うまでもないであろうが。。。実にシンプルだ。
瀬戸内海の小島(前回は尾道)から老夫婦(橋爪功、吉行和子)が子供たちに会おうかと東京に上京してきた。二人は品川駅につくが、迎えに来た次男(妻夫木聡)は勘違いで東京駅に行ってしまう。夫婦はそのまま東京近郊の長男宅へタクシーで向かう。長男(西村)は開業医を営んでおり、妻(夏川結衣)と2人の息子と暮らしていた。東京に居住の長女(中島朋子)も長男宅に来ていた。次男も夕方には到着して久々の家族団らんとなる。しばらくいることとなるが、子供三人とも忙しい。長男は両親をゆっくり案内しようとしたら急な往診が入ってしまう。長女も商売が忙しいので面倒見れない。次男は舞台の美術の仕事をしていて、夜が遅い。

そのため兄弟話しあって知人の横浜のベイサイドのホテルにいったらどうかということで夫婦で出かける。しかし、都会のホテルにはなれず、落ち着かない。二泊の予定が一泊で長女の家に帰ってしまった。長女は美容院を営んでおり、近所の寄り合いがその日あるので二人はその日泊れない。夫は昔の同級生のところへ行き、亡くなった旧友のところにお線香をあげに行き、妻は次男の家に泊りに行くことになったが。。。

「東京物語」は小津安二郎の最高傑作に推す人が多い。個人的には小津安二郎作品では「浮草」が一番好きだ。情念あふれる京マチ子と中村鴈治郎の芝居が素晴らしい映画だと思う。しかし、一連の小津作品の常連笠智衆と原節子がいちばん素敵なのは「東京物語」だと思う。それだけに原節子のいない部分をどう補うのかが気になっていた。

前回原節子は早めに登場した。そして忙しい長男、長女の代わりに東京のデパートへ連れて行くシーンがある。昭和20年代の映像自体も貴重だが、情感のあるシーンだった。しかも、戦争未亡人で血の繋がっていない相手の親を非常に大事にする。原節子からは今の日本の若い女性からは感じられない気品が感じられる。ここでしゃべる丁寧語のニュアンスは果たして東京物語を評価する外人に通じるのかと思ってしまう。この役は今ではありえない設定だ。どうするのかと思っていた。

ここでは戦死したと前回設定した次男を美術関係の仕事に従事して、あまり金にならない男に設定した。テンポは現代劇そのままにしている。今回蒼井優が出演することは知っていたので、早めにあらわれてくるのかと思わせて、なかなか姿を現さない。見ている自分を少しだけヤキモキさせる。もしかして、前回のストーリーどうりになると見せかけての迷彩なのかもしれない。蒼井が現れた後の展開は予想通りだが、意外にもジーンとする展開に持っていきやすくした。

あともう一つ、夫が昔の旧友に会いに行った時、それまでずっと飲まないでいたのに急に飲みだすシーンがある。風吹ジュンが小料理屋のママという素敵な店だが、ついつい酔っぱらってしまう。あれこの後どうなるんだろうと思わせて、しばらくその結果を教えない。この焦らしもいい感じに思えた。

でも普通で考えるとおかしいという部分は多々あった。
明らかに東急田園都市沿線と思しき長男の家なのに新幹線を新横浜でなく品川で降りるだろうか?という疑問や品川から神奈川に向かってそんなにすぐタクシーに乗ろうとするだろうか?とか年齢設定が妻が68歳となっているが、もう少し上にしないと不自然ではなかろうか?など。。。
震災で公開を遅らせたというが、そんな必要はなかったのではないか。中に震災に絡んだセリフを組み込むが不自然な感じがする。最初のころは、小津得意のローアングルショットとの比較もふまえてちょっとどうかと思っていた。でも途中からそういうことはどうでもよくなった。


橋爪功や吉行和子が途中からずっと良くなってくる。現代的リアリティが見えてくるのである。そうしていくうちに若い2人がいい芝居を見せてくれるのでいい映画だと思えてくるようになった。蒼井優と橋爪功の最後に向けての芝居は自分にはよく見えた。小津得意の切り返しショットで見せる蒼井優がきれいだ。原節子と笠智衆の歴史的な名演を思い出した。山田洋次監督は寅さん映画などを含め、いろんな映画で瀬戸内海を映し出してきた。今回も海の匂いを感じさせる素敵な映像だった。
中島朋子は前回の杉村春子が見せるせっかちな動きと似ていてこの作品の長女役のキャラをうまく演じていた。西村と林家はちょっとどうかな?といった感じだ。なぜか前回それなりに存在感を示した地元で教職員をつとめる娘役の香川京子の存在が見当たらなかった。でも出演者多すぎない方がいいかもしれないのでそれは仕方ないかも。。。

山田洋次監督はまだまだやってくれると思う。
先輩だけにずっと応援したい。
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