映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ブルーバック あの海を見ていた 」ミア・ワシコウスカ

2024-01-03 19:47:10 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
明けましておめでとうございます。
新年早々ビックリすることが続き呆然としていました。
日本海側エリアで被災された皆さんにはお見舞い申し上げます。

映画「ブルーバック あの海を見ていた」を映画館で観てきました。


「ブルーバック あの海を見ていた」はオーストラリアの美しいシーサイドを舞台にしたミア・ワシコウスカ主演作品である。監督は「渇きと偽り」ロバート・コノリーだ。今回は自分と相性の良いエリックバナも出演している。ミア・ワシコウスカのポスターが清々しい。玄人筋の評判はもう一歩だけど、このスタッフなら観てみたい。正月なのにこれといって必見の劇場公開映画が見当たらないので、この映画を選択する。

海洋学者のアビー(ミア・ワシコウスカ)のもとに、母ドラ(リズ・アレクサンダー)が脳卒中で倒れたという連絡が入る。西オーストラリアの海辺にある実家にもどる。命には別条なかったが、言葉を発することが困難になっていた。アビーは8歳の少女の頃や高校進学する前15歳の時に起きた出来事を追想する。

海のブルーに触発される居心地の良い映画。
比較的前方の席で毎回観るが、この映画こそ大画面の前方で観て、七変化する海のブルーを体感して欲しい。

すばらしいロケ地である。青々とした空のもと海の上で繰り広げられる場面だけでなく、夕暮れの地平線を見せるシーンは美しい。それに加えて、海底でブルーバックと名付けたウエスタン・ブルーグローパーという大きな魚と戯れるシーンがでてくる。「ブルーバック」と名づけた魚は、個人的には日本で言う大きなクエや香港の海鮮料理屋で見たナポレオンフィッシュのようだった。どのショットも大画面で前方のゆったりとした座席で観ると快感である。


映画のストーリーはどうってことない。美しいシーサイドをリゾート開発業者が生態系の環境破壊したり、業者の一味が獲ってはいけない網で密猟したり、水中銃を使用するのに母ドラ(ラダ・ミッチェル)が抵抗する主人公が15歳の時の想い出を回想する。どちらかというと、道徳的な話だ。美しい海のロケ地を映し出すために強引につくった話で構成されている感じがした。

ロバート・コノリー監督「渇きと偽り」はかなり手の込んだミステリー映画で息をのむシーンも多々あったが、そういう緊張感はなかった。でも、こういう映画もあってもいい。最後まで気分良く観れた。


ミア・ワシコウスカ「ベルイマン島にて」で久々観たが、「イノセントガーデン」「永遠のぼくたち」など一時期はずいぶんと取り上げた好きな女優である。自ら潜水にチャレンジしている。幼なじみの原住民の男性との恋愛も映画のテーマの一つだけど、今回15歳の時の主人公を演じたイルサ・フォグが良かった。オーディションで選ばれたそうだけど、「キッズオールライト」の頃のミア・ワシコウスカを彷彿させる雰囲気で巧みにこなした。格上のエリックバナはまさに友情出演といった感じだった。

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映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」

2023-11-20 19:17:32 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン」を映画館で観てきました。


映画「モナリザ アンド・ザ・ブラッド・ムーン」は精神病院を脱走した少女がニューオリンズの街を彷徨うブラックコメディだ。「次世代のタランティーノ」との呼び声も高いアナ・リリ・アミリプール監督がメガホンをもつ。クレジットトップはケイトハドソンで名前に聞き覚えあったけど、思い出せない。映画を観終わって「あの頃ペニーレインで」のヒロインとわかりビックリした。一見して誰も気づかないだろう。ボリューム感たっぷりのストリッパー役だ。脱走する女性は韓国人俳優と聞いていた。気づかなかったけど、村上春樹原作の韓国映画「バーニング」のヒロイン、チョン・ジョンソだ。この2人の怪演が見どころである。

アメリカニューオリンズの満月の夜、統合失調症で12年精神病院の個室に隔離されているモナリザ(チョン・ジョンソ)が見廻りに来た女性職員に罵倒されてキレる。突如として超能力を発揮して、女性職員を痛めつけ、鍵を奪って脱走する。

街を彷徨うモナリザは、ダイナーで女性同士のケンカを見つけて、暴れていた一方の女性を持ち前の超能力で自爆させる。精神病院からモナリザが脱走した通報で警察は捜査体制に入っていた。ある警官が見つけて追うが、モナリザの超能力で警官が重傷を負う。一部始終を見ていたストリッパーのボニー(ケイトハドソン)にその超能力を見込まれて家に匿われる


いかにもアメリカらしいBC級映画の肌合いをもつブラックコメディでおもしろい。
催眠術を操るがごとくの超能力を駆使する映画はゴマンとありそうだ。ちょっと古いが「奥様は魔女」サマンサのような仕草で、相手に魔法をかけてあやつる。ただ、精神病院の隔離された病棟にいる患者にこんな能力を与えたことはないだろう。しかも、組むのはシングルマザーのストリッパーだ。悪知恵が働くストリッパーが息子とモナリザの2人を巻き添えにする。


宮沢りえ主演の「月」では重度障がい者施設が舞台になった。障がい者たちが施設職員に虐待されるシーンがある。ここでも、モナリザは病院の女性職員にバカ扱いされている。アメリカの施設も日本と似たようなものだと思っていると、キレたモナリザが軽く超能力をみせる。職員に人智を超えた力が働き、自らの手で刃物を自分の足に突き刺して大騒ぎだ。観ている自分は爽快な気分になる。

ただ、ストリッパーの女とBKのATMに行き、アカの他人にモナリザが魔術をかけて500$おろさせる。加えて、ストリップ小屋にいる男たちに魔術をかけて、操る。チップを出すつもりのない男たちに(人智を超えた力で)財布から金を出させる。そんな悪さにも活用する。これは良くない。いじめっ子にいじめられるストリッパーの息子を助けるのは善行でこれは観てスッキリする。そんな小さいエピソードが続いていく。そうやって、この先モナリザはどうなるんだろうと思わせる。


この映画には、屁理屈を唱える理屈っぽい登場人物はいない。どちらかと言うと、社会の下層部にいるような連中だ。妙にあっけらかんとしたニューオリンズに住む面々の動きは単純だ。実にわかりやすい。辛気臭い映画を観るよりはマシかもしれない。深く考えず、アメリカらしいブラックコメディを楽しみたい。最後はこれからどうなるんだろうと、興味しんしんになる。

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映画「パトリシア・ハイスミスに恋して」

2023-11-06 17:58:28 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「パトリシアハイスミスに恋して」を映画館で観てきました。


映画「パトリシアハイスミスに恋して」アランドロン主演「太陽がいっぱい」ヒッチコックの「見知らぬ乗客」などの名作映画の原作者として名高いパトリシアハイスミスの人生に接近するドキュメンタリーである。レズビアンで惹かれ合う2人を描いた近年のヒット映画「キャロル」の原作は別名義で出版している。

パトリシアハイスミス原作の映画はほぼ観ていて、「見知らぬ乗客」アルフレッドヒッチコックの小技炸裂の映画で最初観たとき終盤の遊園地の場面におったまげた。他にもヴィゴモーテンセン主演「ギリシャに消えた嘘」が好きだ。パトリシアハイスミスが書いた「サスペンス小説の書き方」は謙虚に彼女自身の小説の書き方にふれている。書棚にあってたまに覗き込む。そんなパトリシアハイスミスの人生をもっと知りたいと思っていた。


「キャロル」の映画を地でいくパトリシアハイスミスは男性よりも女性に惹かれる人生を歩んだ。このドキュメンタリーでは、ウマの合わない母親との関わりやルーツをたどる。そして、まだ存命の付き合った女性たちへのインタビューでパトリシアハイスミスの人間像に迫っていく。

パトリシアハイスミスに関心のない人には退屈なドキュメンタリーかもしれない。でも興味深い
映画では「キャロル」「見知らぬ乗客」、マット・デイモン主演の「リプリー」のいくつかのシーンが引用される。われわれの同世代より上の世代にアランドロンの強い印象を残した「太陽がいっぱい」「リプリー」が取り上げられているので省略ということだろう。

映画「キャロル」で、デパートのおもちゃ売り場の売り子だったルーニーマーラが遠目に見た美貌の婦人ケイトブランシェットに一瞬にして目を奪われる。視線に気づいたケイトがルーニーの売場に来て語り合うシーンがある。恋のはじまりである。この印象的なシーンをクローズアップして、パトリシアハイスミスレズビアンの恋に結びつける。


映画によれば、当時のニューヨークにはかなりの数のゲイバーがあったようだ。(レズビアン向けもゲイバーとするのは初めて知った。)そこで数々の女性と知り合う。ただ、当時はまだオフィシャルにできるような話ではなかった。「キャロル」もあえて正体を見せず別名義で書き上げているし、パトリシアハイスミスの小説の大半は男性が主人公である。

パトリシアハイスミスはアメリカにずっといたわけではない。ニューヨークを後にしてロンドンに移り住む。それからフランスの郊外の田舎町に居を構え、最終的にはスイスに家を建てて生涯を終える。それぞれに恋人がいた。


この映画ではパトリシアハイスミスの執筆手法についてはあまり触れていない。若干期待していたので残念である。逆に映画を観たあとで「サスペンス小説の書き方」のこの部分が気になったので引用する。
主人公に視点をおきつつ, 3人称単数で語ることを好んでいるのは、おそらくあらゆる点でその方が簡単であるからだ。かつ男性の視点にしている。。女性の方が人や状況を動かすより動かされやすく、「こうしよう」や「こうする予定だ」と言うよりも「こうできない」と言いがちだと考える癖がある。p125
女性をよく知っているパトリシアハイスミスならではの著述だ。
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映画「バーナデット ママは行方不明」 ケイトブランシェット&リチャードリンクレイター

2023-09-25 18:29:54 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「バーナデット ママは行方不明」を映画館で観てきました。


映画「バーナデット ママは行方不明」はケイトブランシェット主演の最新公開作で2019年に米国で公開されている。最新作と勘違いしてしまった。人付き合いが嫌いな元建築家の主婦が近隣関係ですったもんだした後に南極に1人旅立つ物語だ。リチャード・リンクレイター監督とケイトブランシェットのコンビとなれば観てみたくなる。いずれも相性がいい「ブルージャスミン」でコンビを組んだサリーホーキンスの映画を観た後で思わず選択する。結果はうーん。

マイクロソフトのエリートを夫にもつバーナデット(ケイトブランシェット)は建築界の賞を受賞したこともある元設計士だった。今はシアトルに住んで中学を卒業して上級学校に進学する娘(エマネルソン)のいる専業主婦だ。ただ、人付き合いが嫌いで、近隣関係も最悪だ。しかも、精神状態は不安定である。ゴタゴタが次々と起こる中で思わず南極に1人旅だって行く。


居心地が悪い映画だった。
「TAR」は今年日本公開の作品の中でも、指折りの傑作だと思う。ケイトブランシェットは精神状態が不安定な指揮者を巧みに演じた。その次作だと思って勘違いした。

この映画では、元建築家というプロフィールではあれど、よくある普通の主婦のヒステリックな面を前面にだす映像が続く。近所付き合いや娘の友人の親との付き合いに疲弊するバーナデットの気持ちはよくわかる。力量が飛び抜けた建築設計士が異様な行動を起こすという設定もわかるけど、ずっと続くと女性のヒステリーは疲れる。居心地は最悪。男性陣は奥さんのヒステリーを連想してイヤかも?

こういう精神が破滅状態の女性はケイトブランシェットにはお似合いだ。キャリアから考えても「ブルージャスミン」にせよ「TAR」にせよ普通じゃない女だ。演技はもちろんレベルが高い南極って撮影できるのかしら?と思っていたら、どうやらグリーンランドでの撮影だそうだ。まさに氷の世界で美しい景色である。見渡す限り氷河が続く海でカヤックを操るケイトブランシェットは楽しそうだ。娘役のエマ・ネルソンがなかなか上手で、良い味を出している。


コロナ禍はあったとはいえ、4年も経って日本公開されるのは不自然だ。TARでケイトブランシェットの存在感が高まって集客が見込めるのと、俳優ストライキも絡んでかハリウッド作品の公開が不足していることの両方だろう。リチャードリンクレイター監督作品は、ほとんど観ていてどれも好きな作品だけど、次作に期待だな。


あえて主人公の夫がマイクロソフトに勤務と書いた。セリフで会社名をマイクロソフトと話していて支障のないものだけ字幕にでる。他はマイクロソフトと書かず、「会社」の文字がでる。マイクロソフトの株が上がって財産を築いて今は秘書のいる幹部社員という設定だ。日本だと、こういうのは全部匿名にしているけど、パソコンもGoogleで検索しているし、スポンサーでもないのに普通の会社名がでるのは問題にならないようだ。お国柄の違いか?

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映画「バービー」 マーゴットロビー&ライアンゴズリング

2023-08-12 17:07:24 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「バービー」を映画館で観てきました。


映画「バービー」は長年にわたって親しまれているバービー人形を主体として実写化したコメディ映画である。マーゴットロビーとライアン・ゴズリングの当代きっての人気スターを主演にして色合い鮮やかに展開するのは予告編から気になっていた。監督は「レディバード」や「ストーリーオブマイライフ」で女性映画を撮ってきた女性監督グレタ・ガーウィングである。

小学校低学年の頃出来の悪かった自分は、積極的な女の子の家に引っ張られて人形遊びで遊んでもらった。妹用ということもあったけど、家にも人形がたくさんあった。当時、日本ではリカちゃんとタミーちゃんの両方の人形に人気があった。バービーで遊んだ記憶がないと思ったら、当時バービー人形をあまり日本に積極的に売り込んでいなかったようだ。典型的な8頭身は受けなかったのか。ストーリーはまったく想像できなかったが、好奇心で映画館に向かう。

オーソドックスなバービー(マーゴットロビー)とケン(ライアンゴズリング)を中心として、ドールハウスを中心にしたバービーワールドで楽しく生きてきた2人がちょっとしたきっかけで現実の人間世界を垣間見ようと入り込む。でも、奇異な目で見られてあまり相手にされない。

バービーを製作しているマテル社に行き着いたら歓迎を受けるが、そこは男性中心で成り立っている会社だった。刺激を受けたケンはドールハウスを占拠して男性中心の世界に人形の世界も変貌させてしまう。バービーたちはそれを良しとせずに変えようとする。


色鮮やかなカネのかかった映像を楽しむといった映画だろう。
美術と色彩設計は完璧である。ハリウッドの映画スタッフのレベルの高さを示す。ピンクが基調だけど、色の使い方のセンスは一歩抜けている。ストーリーを楽しむというよりも感覚的にハリウッド映画を2時間楽しむと思えばいいのではなかろうか。みんな仲良くディスコでダンスするシーンはウキウキする。マーゴットロビーは前年の「アムステルダム」「バビロン」に引き続き存在感を示す。現代ハリウッド人気女優の頂点にいると言ってもいいのではないか。


ストーリーとしては、フェミニズムの強い映画である。バービーが実在するマテル社にいってもCEOをはじめとした役員が全員男性だし、現実の世界が男性に牛耳られていることが気に食わない。女性蔑視をやたらに途中から訴えるけど、男性の自分は冷静に見てしまう。内田樹によれば、アメリカ映画は女性嫌悪が強いという。アメリカでの興行成績はとてつもなくいいけど。フェミニズム的要素による人気があるのであろうか?


小学校の頃女の子と人形遊びをした話をしたけど、日本のおもちゃ業界でも昭和40年代前半から中盤が人形遊びがピークだったのではなかろうか?TVのCMの量がすごかった。日本女性の今の年齢で 言えば50代後半から60代か。バービーってみんな知っているけど、日本ではメジャーではなかった気もする。アメリカほどには人気作品にはならない気もする。
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映画「トゥ レスリー」アンドレア・ライズボロー

2023-07-01 17:13:20 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「トゥ レスリー」を映画館で観てきました。


映画「トゥ レスリー」宝くじで19万ドルを当てたシングルマザーが,賞金を使い果たしてしまいおけらに転落してしまった後の姿を描く映画である。主演のアンドレアライズボローケイトブランシェットやグウィネス・パルトロウなどの映画界を代表する大女優から,演技を絶賛される。単館ものにもかかわらずアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

アンドレア・ライズボローと聞いてもピンとこないが、自分のブログで名前を検索しただけでもトムクルーズ主演「オブリビオン」など3作出てきたし、履歴を見ると登場作品を10作も観ていて我ながら驚いた。メジャー作品の脇役で出演してきた英国の女優だ。それぞれの作品の顔とドランカーのレスリーの顔とはまったく結びつかない。興味があったので映画館に向かう。

6年前にレスリー(アンドレア・ライズボロー)が19万ドルの宝くじを当てた時の映像が映し出される。ハイになって今日は私のおごりよと意気揚々としている。ところが、今やレスリーはピンクのスーツケースを持って無一文状態だ。部屋代を払えずに追い出されて息子のジェームズ(オーウェン・ティーグ)がルームシェアしている部屋に潜り込む。気がつくと同室のルームメイトのカネをあさって飲んでしまう始末だ。


昔なじみの友人ナンシー(アリソン・ジャネイ)とダッチ(スティーヴン・ルート)を訪ねて泊めてもらっても、ついつい飲んでしまって追い出される。それでも、近場のモーテルで部屋掃除で雇ってもらうが、酒がやめられない日が続く。

女性の転落モノであるが、若干の日差しがさす。
宝くじが当たって日本円で2000万を優に超すお金を得た後の転落ぶりは察せよとばかりに何も語られない。想像はできる。日本ではパチンコなどのギャンブルによる転落は多いけど、ひたすら酒で使ったのであろう。飲んで気前が良すぎたのかもしれない。

現状でも良くなる気配がない。やさしい身内の息子にも呆れられる。正直、この辺りのダメ女ぶりが続くと観ていて退屈になってしまう。思わず時計をみてあまり時間がたっていないのでどうするんだろうなあと思っていた。


そんな時、モーテルの横で野宿してしまった時に、従業員のスウィーニー(マーク・マロン)に助けられる。しかも、このモーテルで働かないかといってくれる。いきなり、無一文なので前借りをする。でも、酒はやめられないので使ってしまう。翌日起きれない日も多い。あきれて追い出されそうになるのだ。


レスリーにも運があった。スウィーニーが優しく見守るおかげで少しずつ行動に変化がでてくる。復活の物語という色彩が徐々にでてくる。でも、周囲の目はキツい。それでも最後に向けては、思わず感涙にむせぶ場面もでてきた。ハートフルな感触で今後のレスリーの人生に期待を持つ。

自分のブログ記事を見直しても、シングルマザーの貧困生活というジャンルは多くても、ここまでの女性のアル中を描いた作品はない。アル中になると、手も震えるし、少し顔が老化する。レスリー役のアンドレア・ライズボローは役づくりが完璧でもちろん好演だが、『アイ,トーニャ 』の母親役など数々の作品で名脇役を演じたアリソン・ジャネイが味のある演技を見せて引き立てる。


気がつくと、この映画を自分自身に照らし合わせている。自分だったら、宝くじで当選して入金したお金の一部を散財しても、少なくとも80%以上は残しておくだろうなあ。ただ、イベントごと以外は家では飲まないけど、外で一杯飲んでしまうと止まらない性癖はあまり変わっていない。会社の交際費やタクシーチケットのおかげもあるけど、今でもはしご酒をついついしてしまう。この主人公レスリーの酒の飲み方をまんざらバカにできない部分もある。


お世話になった人たちと杯を交わしたりして、ここのところ飲む機会が多かった。来週以降の約束の電話をしようと思っていたけど、映画を観た後やめた。不思議なもので、この映画って酒を遠ざける効果がある気もした。
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映画「アシスタント」 ジュリアガーナー

2023-06-17 07:31:21 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「アシスタント」を映画館で観てきました。

映画「アシスタント」は2019年に作られたけれど、改めて今回日本公開となった作品である。名門大学をでて映画界に入った女性が助手的な仕事と上司の身勝手な行動に戸惑う姿を映す映画である。予告編で気になった作品で早速観にいく。女性監督のキティ・グリーンはドキュメンタリー映画畑の監督のようだ。その彼女が女性の証言を集めてこの作品をつくった。  

名門ノースウェスタン大学を出て、映画プロデューサーを目指して映画製作会社に入社したジェーン(ジュリア・ガーナー)は、2カ月たっても雑用に追われるばかりだ。上司である会社の会長はどうも、容姿のいい女性を捕まえては、自分の身近に連れてくる習癖があるらしい。会長の妻はヒステリックで、日頃の会長の行動も気になり「どこに誰といるのか」と電話を会社にかけてくる。周囲の男性アシスタントは会長の動きは薄々わかっている。でも何も言わない。会長が出張で見つけてきた美貌の女性との逢引きも気になり、ジェーンが人事部?に駆け込む。


女性目線が強い映画である。
ストーリーにもう少し深みがあるのかと思っていたけど、たいした中身がなかった。残念だ。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑をニューヨークタイムズの記者が追いかけた「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」は実におもしろかった。あの映画も女性監督による女性目線が強い映画だったけど、いくつもの起伏を作って深みのあるストーリーとなっていた。この映画はほんの断片しか映さない。肝心な会長は声でしか出演しない。


人事部にジェーンが乗り込んで会長が出張で見つけてきた女性を連れて来ているなんて話を持ち込んでも、人事のマネジャー「何しに来たの?」「何をどうして欲しいの?」と思ってしまうだけだろう。自分も同じ立場だったら、似たような対応しかできない。ジェーンにもこうして欲しいというのがない。どうもこの映画は女性の愚痴をそのまま映画にしている流れだ。一部の女性には共感をもって受け入れられるかもしれない。それはそうであっても、もっと色んな話がないと単なるネタ不足にしか思えない。予想よりインパクトがなかった。
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映画「TAR」 ケイトブランシェット

2023-05-13 09:56:23 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「TAR」を映画館で観てきました。


映画「TAR」はケイトブランシェットが指揮者を演じて各種女優賞を受賞した作品である。ケイトの新作はほぼ毎回おさえている。前回の「ナイトメアアリー」でもセレブな雰囲気の彼女らしい役柄だった。レズビアンといえば名作「キャロル」優雅なマダムを思い出す。ここではオーケストラを率いる強烈な個性をもった女性を演じる。監督脚本はトッドフィールドだ。コロナ禍というセリフもあり、現代の設定になっている。SNSやメールといった現代のツールも活用する。

ベルリンフィルハーモニーの首席指揮者リディア・ター(ケイト・ブランシェット)は、恋人である女性のコンサートマスターのシャロン(ニーナ・ホス)と生活して養女のペトラと暮らしている。作曲家としての活動に加えて、若手女性指揮者の育成財団の運営をするとともに、ジュリアード音楽院でも教えている。アシスタントで副指揮者をめざすフランチェスカ(ノエミ・メルラン)はターの秘書役として、シャロンとともに多忙なターの仕事を支えている。そして今はマーラーの交響曲5番の録音に備えてオーケストラの指導にあたっている。

そんな時、ターが以前指導した女性指揮者の卵クリスタが自殺をした知らせが入る。巻き込まれるのを恐れたターはメールの削除をフランチェスカに指示する。


まさにケイトブランシェットの独壇場であった。
2時間半にも及ぶ長時間の最初から最後までほとんどのシーンでケイトブランシェットが絡んでいる。出ずっぱりだ。感情の起伏も激しい。ジュリアード音楽院での実践的講義の場面で超絶長回しもある。セリフも理屈っぽく観念的で、よく覚えたなあと感じる場面だ。これはなかなか難しいシーンだ。しかも、完璧にこなす。

これらのターのセリフの内容を一回観ただけで理解できる人はそうはいないだろう。小林秀雄の随筆「モオツァルト」のような内容だ。カット割が普通の映画のようにされる中盤から終盤と前半戦の長回しとは映画の構成の仕方にも差がある。

フルトヴェングラーやカラヤンという往年のベルリンフィルハーモニーの首席指揮者の逸話が出てくる。特に戦時中、ナチス絡みのフルトヴェングラーの話題が多い。加えて、マーラーの交響曲といえばレナードバーンスタインの十八番であり、作曲家としても活躍したバーンスタインを意識したターの音楽プロフィールにもなっている。


⒈脇役の配置
ケイトブランシェットが独壇場の映画でも、脇役がいないと映画は成り立たない。映画が始まってすぐに、2人の見たことある女優に気づく。ニーナ・ホスとノエミ・メルランだ。いずれもこのブログで取り上げた。ニーナホスはドイツ映画「東ベルリンから来た女」「あの日のように抱きしめて」で主演を張った。いずれも東西分割が絡んだどんよりした重い映画であった。ノエミ・メルランは2020年の「燃ゆる女の肖像」でレズビアンの関係となる女性画家役で存在感を示した。いい配役だと思う。


自分は男なのでレズビアンの本当の気持ちはわからない。聞くところによれば、嫉妬心はかなり強いらしい。ここでも、それが1つのテーマだ。ケイトブランシェット演じるターはステディな彼女がいても、他にツバをつける。そこら辺の不良オヤジと変わらない。ある程度わかっていて見過ごす部分があっても許せない。強い嫉妬心による葛藤がおきる。見どころの1つだ。それでも、ターは懲りない若いチェリストに惹かれるのだ。チェリスト役のゾフィー・カウアーは本物だ。すごいプレイを見せつける。よくぞ見つけたものだ。

⒉不安と精神的なアンバランス
映画が継続している間、不安を呼び起こす低音の音がずっと流れる。一瞬隣の映画かと思ったけど違う。ターの性格は激しい。発狂するが如くの激しさはない。それでも、養女のペトラへのいじめに気づき、いじめた相手に対して強く是正をうながす場面が印象的だ。要職に就けば、諸問題が多い。ストレスがたまるのも当然だろう。どんなに偉くても不安に思うことはある。徐々に精神が錯乱する気配がみえる。妙な音を聞いたり、夜うなされる場面が多くなっていく。サイコスリラー的な要素が出てくる。そしてあるピークを迎える。

そんなあたりをケイトブランシェットは巧みに演じる。しかも美しい


⒊マーラー5番
ヴィスコンティ「ベニスに死す」マーラーの交響曲5番が流れる。主人公が美少年に強く惹かれていく映像とマッチする。美しい曲だ。最近では映画「別れる決心」のクライマックスでも使われていた。映画の中でも、リハーサル中のオーケストラのメンバーに対して「ヴィスコンティ」という言葉も出てくる。オーケストラのリハーサルシーンなので、長くこの曲が流されることはない。それでも、大画面の音響がいい映画館で観るのが望ましい。コンサート会場では独特の柔らかい音色が響くのが聴ける。

個人的に「エブエブ」は好きではないので、なおのことケイトブランシェットのアカデミー主演女優賞が外れたのは残念に思う。明らかに上だ。ターの転落も示すので上映時間は長くなった。もう少し短くてもいいと思うけど、ケイトブランシェットが起用できて16年ぶりの長編にトッドフィールド監督は気合いが入ったのであろう。
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映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ミシェル・ヨー

2023-03-15 08:30:12 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を映画館で観てきました。


映画「エヴリシング エヴリウェア アット ワンス」はミシェルヨー主演のアカデミー賞で11部門でノミネートされた作品だ。ミシェルヨーの作品は以前からずっと観ている。こうやって賞レースに加わるのはうれしい。以前ミシェルヨーが出演していた「グリーンデスティニー」「アサシン」を思わせるカンフータッチのキックを予告編で確認すると思わず3月5日に映画館に向かう。

ただ、全然おもしろくなかった。
これを観てから調子が狂って一週間ブログ記事が書けていない。文章が途中で途切れてしまう。そうしていくうちにアカデミー賞の発表を迎えた。次から次へと7部門も受賞してしまう。これってどういうことなんだろう。そんなにすごいのかなあ。映画を観て、次から次へと編集で重ねあわせるために、ものすごく多くのカットを撮ったのがよくわかる。「琴姫七変化」どころの変装ではない。凄まじい量の撮影をした上での綿密な編集なので、編集賞は理解できる。


アメリカでコインランドリーを経営している中国からの移民夫婦は、国税庁から申告のお尋ねを受けて出頭する。そこから起こる奇想天外な物語である。今回は気の弱そうなミシェルヨーの夫キー・ホイ・クァン税務署の取り立ての女性ジェイミー・リー・カーティスも最優秀助演賞を受賞してしまう。おめでとうと言いたいが、かなり気持ちは複雑だ。だって、よく映画の内容の意味がわからないのだ。自分の感覚がおかしいのであろうか?個人的には「フェイブルマンズ」ミシェルウィリアムズに主演女優賞をとって欲しかったなあ。
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映画「エンパイア・オブ・ライト」 オリヴィア・コールマン&サム・メンデス

2023-02-27 18:23:43 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「エンパイア・オブ・ライト」を映画館で観てきました。


映画「エンパイアオブライト」は名匠サムメンデス監督がアカデミー賞女優オリヴィアコールマンを主演に迎えた作品である。2作の007シリーズや一筆書きワンショット作品の「1917」とサムメンデスの作品にはハズレがない。晩年のポールニューマンが出演した「ロードトゥパーディション」が個人的にお気に入りである。今度は80年代の映画館を舞台にしたヒューマンドラマのようだ。


80年代の英国、海辺に建つ映画館エンパイアで館内マネジャー的存在のヒラリー(オリヴィアコールマン)は、館長のドナルド(コリンファース)のセクハラに耐えながら働いていた。映画館に新しく入ったスティーヴン(マイケルウォード)は建築家になる夢をもつ黒人の若者だ。人種差別の観客からスティーブンをかばううちに、2人の間に信頼関係を超えた絆が生まれる。

居心地の良い映画である。
バックに流れるピアノベースの音楽のセンスが良い。映像もきれいで伝統的な造りの映画館の階上の大きな窓から見える景色が素敵である。そこで2人が近づいていく。単調な暮らしに疲れているオリヴィアコールマンが徐々に変わっていく。ずっと年下の黒人男性に惹かれていくのだ。その女性としての仕草の変化に注目してしまう。


それだけでは、ストーリーは成立しない。コリンファース演じる館長との不倫関係、黒人従業員スティーブンへの人種差別、精神不安定なヒラリーのパフォーマンスなどで物語をつくっていく。黒人に仕事を与えると、我々の仕事がなくなると白人たちがデモをするシーンには、現在は日本に比べて移民に寛容な英国でも80年代にこんな人種差別があったのかと驚く。

でも、かなり辛辣な場面はあれど、居心地が良い気分を保てた。これだけ大暴れをしても、同じ映画館で働き続けるヒラリーの姿を見てホッとしたのかもしれない。


オリヴィアコールマン「女王陛下のお気に入り」でのアン女王「私が愛した大統領」での英国王ジョージ6世夫人などで皇室の女性を演じたり、「帰らない日曜日」では高貴な家の夫人をコリンファースと共演している。アッパークラスな出立ちの役も多いが、今回はごく普通の精神を軽くわずらう一般人だ。でも、アン女王を演じた時とキャラに大きな遜色はない。


オリヴィアコールマンがいると、コリンファースがいないとバランスが悪いのかもしれない。2人のアカデミー賞俳優に変態不倫関係を演じさせるのはサムメンデス監督ならではなのかもしれない。さすがである。
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映画「SHE SAID」キャリーマリガン&ゾーイカザン

2023-01-16 05:04:58 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「SHE SAID その名を暴け」を映画館で観てきました。


映画「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」は映画プロデューサーによる性的関係強要のセクハラ被害に関する新作である。監督は女性のマリア・シュラーダーで、キャリー・マリガン、ゾーイ・カザンの2人がニューヨークタイムズの記者を演じる。2人の作品はほとんど観ている。ゾーイカザンのパートナーであるポールダノの監督作品「ワイルドライフ」にはキャリーマリガンが主演で出ている。ゾーイカザンが童顔で年下に見えるが、キャリーマリガンの方が年下だ。

加害者であるハーヴェイ・ワインスタインは映画配給会社「ミラマックス」の創始者で名プロデューサーである。彼が手掛けた作品のリストを見た映画ファンは誰もが名作ばかりなのでアッと驚くだろう。自分もその1人だ。

ワインスタインがホテルの自室に映画の話をするふりをして女優を呼び出し、いつのまにか性的関係を強要する訳だ。ニューヨークタイムズのジョディカンター記者(ゾーイカザン)とミーガントゥーイー記者(キャリーマリガン)は上司のレベッカ(パトリシアクラークソン)の指示を仰ぎながら被害者と思しき女性にインタビューを試みる。しかし、口が堅い女性が多く、取材は難航する。


これはおもしろい!必見である。
女性監督作品で主演2人が女性となると、フェミニスト映画を想像してしまう。でも、その要素は少ない内容満載で、ネタが次から次へと出てくる。真の報道ってこんな感じなのかと映画を観ながら男性も感じるであろう。テンポが良く、リズミカルに映画は展開する。傑作だと思う。

⒈キャリーマリガンとゾーイカザン
2人が演じるニューヨークタイムズの記者は、いずれも夫も子供もいる。夜討ち朝駆けの仕事と家庭を両立するのはすごい。ゾーイカザンが演じるジョディ記者は休日に家族で外出している時でも、取材者からのTELがかかってきたらすぐさまそちらに向かう。情報が得られそうなワインスタインからの被害者がロンドンにいようが、カリフォルニアにいようがすっ飛んでいく。女優のアシュレイジャッドもその情熱に押される。

出演作では、パートナーのポールダノと知り合った「ルビースパークス」が最高、前作の「ニューヨーク親切なロシア料理屋」の話は主人公に感情移入できなかった。名監督エリアカザンの孫だ。ここではアクティブなゾーイカザンの活躍が目立つ。


キャリーマリガン演じるミーガン記者はもともとドナルドトランプのセクハラを追っていた。劇中トランプが電話で強く反発する音声が含まれる。その後、大統領選に勝ち、保守系TVのFOXの勢いに押されて取材を断念せざるを得ない状況になる。そんな時、ワインスタインのセクハラネタをジョディ記者と追って行くのだ。赤ちゃんを出産したばかりだ。精神状態は良くない上に産休なんて文字は存在しない。近作「プロミシングヤングウーマン」には驚いたが、いい味を出していた。バーでナンパされた時の罵声が強烈。ここでも好調。


⒉ハーヴェイ・ワインスタイン
このプロデューサーのセクハラ話にはまったく呆れるしかない。異常としか思えないし、これは病気だね。名作「イヴのすべて」をはじめとして、ハリウッドの上昇志向物語はいくつかある。女優のセクハラ被害で大騒ぎと聞いていたが、お互い様なんだろうなというように正直思っていた。でも、まったく違う。

女優ばかりでなく、制作会社「ミラマックス」のスタッフに声をかけてホテルの個室に呼び出して性的サービスを要求する。干されることを恐れて受け入れることもある。その後被害者がクレームをつけた場合、弁護士も入れて示談に持ち込む。そこで機密保持の契約書にサインを被害者がしているので、その後取材の話があっても逆訴訟を恐れて沈黙するのだ。

これが1回だけの話であれば、驚かない。でも、それを繰り返し続けて、示談になったのも8~12回あるし、実際の被害は100件近くある。これは異常性的思考の病気でしょう。このセクハラ行為がずっと延々と数十年続いていたことに驚く。自分の地位は揺るがない自信だろうが、いつかは崩れる。


⒊記事にするための周到な準備
この映画を観て、すごいなと思うのはニューヨークタイムズが会社をあげて、じっくりと記事にしていく過程が描かれているところである。記者の上司役のパトリシアクラークソンも久々の活躍だ。被害者である女優やスタッフへのインタビューでも、告白ができる人を見つけるのが大変だ。ワールドワイドで探して取材ネタを苦労して引き出す。加えて制作会社の元幹部や顧問弁護士を含めて、閉じた口を割らせるまで徹底的に取材する。

そこでの話は一方的にはならない。最終記事の前には加害者にも通知する。反論の余地も残す。日本よりも訴訟リスクが高いアメリカでの法を重視しながらの理にかなった報道姿勢に凄みを感じる。
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映画「ドリームホース」ト二・コレット

2023-01-07 19:35:45 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドリームホース」を映画館で観てきました。


映画「ドリームホース」は田舎町の素人共同馬主の馬が這い上がっていく過程を描くトニコレット主演の物語である。新年に入ってから、最初の映画館作品だ。トニコレットが「勝った!」とはしゃぐ姿のポスターから、一見してサクセスストーリーとわかる。一緒に体感してみたくなり、正月の映画館一作目は気分の良さそうなこの映画でスタートしたくなる。

トニコレットの作品ではキャメロンディアスと姉妹役を演じた「インハーシューズ」が好きで、その後も「リトルミスサンシャイン」といったインディーズの名作でも活躍している。直近では「ナイトメアアーリー」にも出演していた。Netflix作品でもよく出会う好きな俳優である。田舎町でのルーティーン生活で刺激のない主婦が馬主になって町の仲間と歓喜するのだ。


ウエールズの田舎町で、夫婦2人暮らしでパート勤めのジャン(トニコレット)がバイトしているバーで共同馬主の話をしているハワード(ダミアンルイス)に出会う。興味をもったジャンは貯金をはたいて牝馬を買い、町の知り合いに共同馬主の話を持ちかける。集めた金で血統のいい牡馬に種付けさせ、生まれた馬を「ドリームアライアンス」と名づける。大きくなると、調教師の厩舎に押しかけて引き取ってもらいデビューの日を待つという話だ。


お決まりの競馬サクセスストーリーだけど、気分良く観れた
実話をもとにしているようだ。最初はスタートで出遅れたりイマイチだった馬も徐々に良くなっていく。スポーツ映画特有の調子を上げていくときの高揚感が生まれる。早い時期にレースに勝つので、ずいぶんと早い展開だなあと思っているうちに転落する。もう終わりかと思ったら、復活に向かって進む


定石通りのストーリーなんだけどのれる。共同馬主である田舎町の住民たちが気もいい人だらけというせいもあるだろう。一緒に何かを購入する共同勘定というのは、問題が起きたときの判断が割れるのが常である。ここでもその葛藤が生まれる。でも、複雑ではない。のどかである。


最後のレースはウエールズでは最高のレースだということで、ウエールズ国歌が劇中に歌われる。ロッドスチュアートもレースに来ているというセリフもある。きれいな芝で競走馬が走る。レース自体は障害走である。ただ、早いだけでも勝てない。その中で、接戦のレースを躍動感ある移動カメラで映す。競馬が題材の映画には「シービスケット」という名作がある。出演者は皆メジャー級で、人間物語的要素も強かった。比較するのは酷だが、レースの緊迫感は同じようなものだ気分の良い映画新年を迎えられた。
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映画「フラッグデイ」 ショーンペン

2022-12-26 18:34:08 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「フラッグデイ」を映画館で観てきました。


映画「フラッグデイ」はアカデミー賞主演男優賞を2度も受賞した俳優ショーンペン監督の新作である。自ら犯罪者を演じている。ショーンペンは監督作も出演作も自分の好きな映画が多い。今回監督作は久しぶりだが、「リコリスピザ」や「博士と狂人」といった最新出演作も観ている。その中でショーンペンは独特の存在感を示す。予告編でどうやら犯罪者の役というのはつかめた。意外にも評価は高くないけれども、すぐさま映画館に向かう。

当初の予想と異なり、この映画でショーンペンが主演ではない。娘ジェニファー(ディランペン)の視点で話が展開する。子どもの頃から可愛がってくれた父親ジョン(ショーンペン)は普段は家にいないで、たまに帰ってくるだけだ。母親は夫をワルだと信用していない。


父親が悪さをして警察に捕まると、別々に暮らすようになる。しかし、娘ジェニファーと継父との折り合いが悪く、ジェニファーは家を飛び出しジョンの元にいったん行く。もともと父親への愛情に満ちていたのだ。ただ、長くは同居できない。ジョンはいつでも悪事の企てが脳裏にあった。一方で娘は猛勉強してジャーナリストへの道を歩もうとしているが。


映画の性質上おもしろいという作品ではない。でも、いかにもショーンペンらしいセンスある映像の作り方だと思う。好感がもてる。
ロケハンをきっちりやっているなあという風景美とバックミュージックを選択する抜群のセンスはプリッジイントゥザワイルドなどのショーンペン監督作品に共通する。いつも通りでいい。

しかも、こういう悪のダメ男を演じると、ショーンペンは実にうまい。虚言癖があり、ウソをウソで埋めようとして、ニッチもさっちもいかない男だ。犯罪者に多いタイプで、典型的な詐欺師の要素もある。それでも、身内には特別な愛情を持っている。そんな奴って身近にもいる。


そんな男だとわかっていても、娘は完全には父親を見捨てられない。そのあたりの微妙な心境が映像で伝わる。娘の辛い立場それ自体は哀しい。娘役がショーンペンの実娘ディランペンだというのは映画を観終わり初めて知った。母親ロビンライト譲りの美貌である。

この映画は予告編では事件が起きはじめて娘が知ったようなつくりかたをしているが違う。でも、かえって自分にはよく見えたし、複雑な家庭環境だったジェニファーを見事にディランペンは演じたと言って良い。
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映画「ザリガニの鳴くところ」デイジー・エドガー=ジョーンズ

2022-11-26 20:02:21 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ザリガニの鳴くところ」を映画館で観てきました。


映画「ザリガニの鳴くところ」は動物学者ディーリア・オーエンズの書いたベストセラー小説をオリビアニューマン監督で映画化した作品である。当然原作は未読。リース・ウィザーススプーンが原作を読んで感激して、プロデューサーをかって出たという。予告編で若い女性の冤罪物語だと推測した。著名な出演者は出ていないが、舞台となる湿地帯を映し出す景色がきれいでオーソドックスなアメリカ映画という印象をもつ。

ミステリー仕立てのラブストーリーである。
予想よりおもしろかった。2時間以上映像に目が釘付けになる。飽きない。背景となる水辺の景色が美的感覚に優れ、音楽のセンスも抜群だ。カイアという野生の少女に焦点をあてたストーリーだが、法廷劇の要素ももつ。この映画は予備知識なしで観たい。

ノースカロライナ州の湿地帯で、若い男性チェイス(ハリス・ディキンソン)が死体で発見される。水辺の小屋に1人住むカイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が殺人犯として逮捕された。少女時代のカイアはDVの父親に耐えかね母親や兄が家を飛び出したにも関わらず、父親と2人暮らしていた。学校にも行かず文盲で、雑貨屋の黒人夫婦だけがカイアの味方だった。そのうち、父親も飛び出して小屋で1人で暮らしていた。


エビ漁師の息子テイト(テイラー・ジョン・スミス)がカイアに好意を持ち、字も読めないカイアにABCから勉強を教えた。結局のところ、大学進学することになったテイトは町を出て行くが、湿地帯の生物を観察してスケッチブックにまとめたものは編集者にウケて金になるよと教える。その後、町の有力者の息子チェイスと知り合う。チェイスはデートに誘い、徐々に孤独な少女に近づいていったのだ。

そんなチェイスが死体で発見されて、カイアが関係しているとされる証拠品などで、犯人と特定された。もはや無期刑か死刑かという崖っぷちになった時に、老弁護士がカイアの弁護に立つ。

⒈学校に行かない野生の少女
町からは離れた湿地帯の水辺の小屋に、両親や兄姉と住んでいた。父親が面白くないとすぐ暴力を振るう。母親をはじめとしてみんな嫌気がさして家を出て行くのにカイアはとどまる。父親から学校には行くなと言われるが、町の人の勧めで授業を受けると、クラスメイトからバカにされて1日で登校拒否だ。字も読めないし、買い物をしてもおつりの計算もできない。そんな中、父親まで家を出て行く。

1人になったカイアは貝を獲り、それを町の雑貨屋で売って生計をたてる。町の福祉課は1人暮らしのカイアをグループホームに入れようとするが、ひたすら逃げ回るのだ。そんなカイアを見るに見かねて、テイトという青年が勉強を教えると同時に、カイアが湿地帯の生態系をよく観察しているのに注目して、その能力を伸ばそうとする。2人の間に恋が芽生えて行く。


孤独な野生の少女の成長と恋の物語でもある。人嫌いの少女が心を許しても、うまくいかない。そんなストーリーを織り交ぜる。そのストーリーのバックには美しい湿地帯の景色が映し出されて目の保養になる。ロケ地はニューオリンズだという。映画を観ながら、ハンフリーボガードの「アフリカの女王」を連想する。ロケハンに成功していると言えよう。


⒉ミステリー要素と法廷劇
死体が発見されたのは、カイアの家の近くの物見櫓(やぐら)のそばだ。そこからは指紋は発見されていない。近くに足跡もない。物見櫓の屋上からチェイスが落ちたとも推定できる。検察側の追及とそれをかわそうとする弁護側の対決は、一級の法廷劇を観ているようでおもしろい。

必ずしも被告側に有利になる証言が多いわけではない。当日、カイアが書いた生態系に関する本の編集者に会うためバスで街を離れていたアリバイもある。でも、その気になれば、とんぼ返りで戻れば殺人を犯すこともできるという検察側の指摘もあるのだ。最後まで目が離せない。


そんなおもしろい展開が続いた結果は言わぬが花だろう。でも、最後の最後にアレ?と驚かせるシーンには一瞬これってどういうことかと思わせる。さすがベストセラーだけのことはあると感じる。
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映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」 オリヴィアワイルド& フローレンス・ピュー

2022-11-19 05:04:06 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」を映画館で観てきました。


映画「ドントウォーリーダーリン」は悪夢と現実が交差するサイコスリラー映画である。オリヴィアワイルド監督の作品、名前を聞いてもピンと来なかったが、エンディングロールで出演者と監督の名前が一致していることに初めて気づく。「え!誰」と作品情報を見直して、主人公と仲良しの女性とわかる。映画を観ながら、この女性は観たことあると思っていた女性だった。

オリヴィアワイルドの履歴を見ると、クリントイーストウッド作品「リチャードジュエル」で主人公を陥れようとする女性新聞記者を演じていた。あの時はストーリーのカギになる女の役柄だったけど、むちゃくちゃ嫌な女をうまく演じていた。キャスティングのうまいイーストウッドらしいなと思っていた。他にも自分の好きな「ラッシュ」などでいい女役を演じていて、顔を見たことがあると思う人は多いと思う。


オリヴィアワイルドによるこの映画の感想を書くのは難しい。観終わってしばらくしてもストーリーの全容がまだ理解できていない。ゴールデンエイジ時代の幸せなカップルに焦点をあてる。ヤシの木が道路に立ち並ぶヴィクトリアという郊外の美しい街で、同じ仕事に従事して鮮やかな色のアメ車で通勤する夫とそれを支える家族が暮らしている。リッチな感じだ。


50年代を思わせるアメリカの家庭を映す映像は、ヴィジュアルセンスあふれるアメリカ映画の優秀なスタッフを集めた結晶によるものではないか。衣装、美術、インテリアを含めて美的感覚にあふれた映像だ。色合いもいい。エスターウィリアムズ「百万ドルの人魚」を水上からダンスフロアに移したような映像も含めて、名作からの引用的な映像もある。オリヴィアワイルドの映画的センスを感じる。

誰も彼もが幸せムードたっぷりの中で、「何かおかしい?」と感じる若き美人妻アリスのヒロインの不安をクローズアップする。ラブラブなはずの夫ジャックの動きも途中からおかしくなる。周囲もこの仲間たちを仕切るリーダー(クリスパイン)もどこか変だ。妙な展開が続く。Netflix「イカゲーム」にでてくるピンクの服装の不気味なスタッフのような集団も登場する。これって新興宗教扱った映画なの?と一時思った。類したテイストもある。


でも、正直ついていけなかった。
夢と現実が交差する映像はデイヴィッドリンチ監督が得意な世界だけど、それとは違うものを感じた。デイヴィッドリンチ作品は常にどんより陰だけど、この映画陰と陽のコントラストが強い

ヴォリューム感あふれるピチピチの主人公アリスを演じたフローレンス・ピューは、今の日本の女優にはいないタイプで、スッピンの映画ポスターよりもずっといい女だ。ジャックとの大胆なからみは脱いでいないのにエロチックだ。その主人公とクールビューティたちでつくる映像は日本映画で作るのは不可能と思われる映像美だと思う。視覚、聴覚だけは楽しめたが、意味は未だよく理解できていない。
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