フランス映画にしては画像の美しさと無縁である。フランス語を話していなければパリかどうか分からない。地上げ屋の28歳の若者にスポットをあてて、手持ちカメラ中心に彼を追いかけていく。もともとピアニストだった母の血を受け継いだ彼が、東洋人女性にピアノのレッスンを受けるシーンも多く、泥臭い地上げのシーンとの対比が際立っていく。陰陽のギャップが強い傑作だと思う。
パリでかなりあくどい地上げをしている不動産業の主人公がいる。父も同じ商売をしていて、きわどい金融回収もしたりしていた。亡き母がピアニストだった影響で、小さいころはピアノを習っていた。母の音楽エージェントに偶然出くわす。「才能があった貴殿は今はピアノをやっているのですか」と聞かれて、ついついピアノのことを思い出す。そしてきわどい仕事をしながら、昼間は東洋人ピアニストのレッスンを受け、ハイドンのピアノソナタを練習するようになるが。。。。
ジャック・オディアール監督には「リードマイリップス」という映画があった。読唇術ができる女の話である。暗いムードはあの映画に通じる。カメラはひたすら主人公を追う。日本でもバブルになるころ、地上げ屋という人種がいた。今でも同じような人種がいるけれど、当時のほうがヤクザの匂いをさせる男たちが多かった。主人公はむしろそういう男たちに通じる。それなのに別のピアニストの顔を見せる。表情の七変化がある。
今回はベトナム人ピアノ教師を演じた女性(リン・ダン・ファン)が重要な役割を示す。主人公とは正反対に清楚でインテリ系のいかにも音楽をやっているお嬢さんという風貌だ。個人的には好きなタイプだ。久しくピアノをやっていなかった主人公がレッスンを受ける。うまくいかないとことも多い。そこで彼女との葛藤が生じる。彼女はフランス語を話せない。言葉が分からない女性とのレッスンシーンである。これがいい。なぜか心を洗われる気がする。
でもストーリーは素直に進めない。そのギャップに脚本のうまさも感じる。
(参考作品)
パリでかなりあくどい地上げをしている不動産業の主人公がいる。父も同じ商売をしていて、きわどい金融回収もしたりしていた。亡き母がピアニストだった影響で、小さいころはピアノを習っていた。母の音楽エージェントに偶然出くわす。「才能があった貴殿は今はピアノをやっているのですか」と聞かれて、ついついピアノのことを思い出す。そしてきわどい仕事をしながら、昼間は東洋人ピアニストのレッスンを受け、ハイドンのピアノソナタを練習するようになるが。。。。
ジャック・オディアール監督には「リードマイリップス」という映画があった。読唇術ができる女の話である。暗いムードはあの映画に通じる。カメラはひたすら主人公を追う。日本でもバブルになるころ、地上げ屋という人種がいた。今でも同じような人種がいるけれど、当時のほうがヤクザの匂いをさせる男たちが多かった。主人公はむしろそういう男たちに通じる。それなのに別のピアニストの顔を見せる。表情の七変化がある。
今回はベトナム人ピアノ教師を演じた女性(リン・ダン・ファン)が重要な役割を示す。主人公とは正反対に清楚でインテリ系のいかにも音楽をやっているお嬢さんという風貌だ。個人的には好きなタイプだ。久しくピアノをやっていなかった主人公がレッスンを受ける。うまくいかないとことも多い。そこで彼女との葛藤が生じる。彼女はフランス語を話せない。言葉が分からない女性とのレッスンシーンである。これがいい。なぜか心を洗われる気がする。
でもストーリーは素直に進めない。そのギャップに脚本のうまさも感じる。
(参考作品)
真夜中のピアニスト | |
裏世界とピアニストのギャップ | |
リード・マイ・リップス | |
ジャック・オディアール監督の傑作「読唇術ができる女」 | |