映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

マディソン郡の橋 クリント・イーストウッド

2010-01-01 21:55:46 | クリントイーストウッド
イーストウッドとメリルストリープの超一流共演でベストセラー小説を描く。アメリカ中南部の田舎に暮らす普通の主婦の4日間の恋の物語である。イーストウッド映画特有のムードで騒がず、しっとりと二人の世界を描く。

1989年母メリルストリープが亡くなった後、子供たちの遺産整理の場面からスタートする。遺物を整理していて、鍵付きの封筒を見つける。その鍵でケースを開けると、カメラと手紙が入っていた。その手紙には1965年の母の秘話が語られていた。

アメリカアイオワの主婦メリルストリープは夫と高校生の息子、娘と暮らす普通の主婦であった。家族3人が牛の品評会で4日ほど留守にすることになった。そんな時、一人の男クリントイーストウッドが道に迷って訪れてきた。カメラマンの彼は屋根付きの橋を撮影に来たけれど、場所がわからないと言う。メリルは場所を言葉で教えるが、結局は近くなので一緒に車で橋に向かった。その橋に着き、素晴らしい被写体と彼は気に入りしばらくいることになった。二人は移動途中の会話で意気投合する。そして夕食を彼女の家で食べることになるが。。。。。

公開当時劇場で見た。ベストセラー小説の公開なので客入りも良かった気がする。不倫映画という印象が強かった。でも細かいストーリーはすっかり忘れていた。こうしてみると、美術、撮影、音楽含めていかにもイーストウッド映画という印象である。

イーストウッドは配役を非常に重視する。その役にふさわしい人を配役に持ってくることで映画が決まってしまうくらいの考えもある。メリルストリープイーストウッド自ら電話をして口説いたそうだ。元々アクション映画の主演がほとんどだった彼と文芸映画中心のメリルは正反対だっただけにおそらくは初めての共演だと思う。メリルは実際にはもう少しきれいな女性だが、わざと中年らしい風貌を装い、田舎の普通の主婦を演じていた。それが一般の観客に共感を与えたと思う。

屋根付きの橋もそうだが、メリルの自宅はいかにもアメリカンスタイルの良い家を選んだと思う。60年代の世相にあわせた風景といい美術はセンスがいい。それを撮影がしっとりと捉える。また、メリルとイーストウッドの会話は小津安二郎監督得意の切り返しショットで二人を捉えている。観返して気づいた。二人を一緒にとらないところがポイントである。むしろ会話の内容よりも、二人の表情をじっくり捉える。
加えて音楽が風景にしっくりなじむ落ち着いたもの。途中で街から離れたところにあるジャズクラブに行く。黒人だらけのジャズクラブだ。いかにもジャズ好きのイーストウッドの趣味だ。そこで曲にあわせて踊る二人の姿が素敵だ。

デイヴィッドリーン監督の「逢びき」と似たような話である。途中からの展開はいかにも女性の涙を誘うような展開。それをしっとりと描くイーストウッドは幅が広い。60半ばから特にしっとりした展開が得意になった気がする。そうして2009年の2作につながっていく。
コメント
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