映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

再会の食卓

2011-11-06 21:21:41 | 映画(アジア)
「再会の食卓」は国共内戦で本土と台湾に別れ別れになった元の夫婦が再会する話である。同じ民族が別れる話はつらい。韓国映画に多い設定だ。近代化が進む上海の中の古い居住区をクローズアップしながら、2人の再会を描く。ただ、価値観の違いがあるせいかどうしても最後までしっくりしない展開であった。


ある日、上海で暮らす主人公のもとに一通の手紙が届く。その手紙には、1949年国共内戦の後に生き別れた元夫が、台湾から帰国団の仲間とくると記されていた。主人公は共産軍に属した新しい夫ルー・シャンミンや家族と共に暮らしていた。主人公は戸惑いながらも元夫を自宅に招き、精一杯もてなした。ホテルをとっていた元夫であったが、新しい夫の温情で今の家に泊めてもらうこととなる。しかし、彼には元妻に対する願いがあった。「これからの人生、私と一緒に台湾で暮らしてほしい」
予期せぬ元夫の告白に「幸せだったのはあなたと過ごした日々だけ」と心は揺れ動く。なかなか今の夫にその気持ちが伝えられない。そして決断の時がきたが。。。。

別れ別れになった元夫婦が再開するという設定自体は不自然ではない。でもその元夫を今の夫が自宅に招いて歓待するという設定が妙に不自然だ。しかも、今の夫が自宅に泊っていけという。何か違う感じだ。
それだけではない。元妻は元夫とよりを戻したいというのだ。しかも、今の夫や子供に加えて孫までいる生活を捨てていくというのだ。やさしい今の夫がいても愛を選ぶと言い切ってしまうというのだ。
こんなことあるのかしら???
日本人と中国人の感覚の違いがあってもどうして理解できない。沖縄の離島を舞台にした「ナビィの恋」を見た時も異様な感じがしたが、今回も同様だ。



現代上海の古い居住区と新しい部分と両方を映し出している。主人公は立ち退きによってお金を得てマンションを買うという設定になっている。いくら沿岸部の収入が高くなっているといっても、一握りの事業でもうけた金満家だけであとは日本のレベルと一桁違う低収入である。既得権で古い居住区に住む人は得しているかも?不動産価格の高騰を加味すると、立ち退き料で移り住む人はラッキーだろう。近代化もいいが、一時代前の姿が消えていくのはさみしい。今回の映像はいい感じだ。映画「シャンハイ」で偽上海を見たばかりなのでこれはこれでよかった。
新しい夫の名字が陸(ルー)である。山崎豊子の「二つの祖国」の主人公がやはり同じ陸であの小説を思い起こした。あの小説の上海よりも驚異的に発展してしまった。

でもどうしても共感できないことが多すぎた映画だった。
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ソフィアの夜明け  

2011-11-06 19:18:59 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
「ソフィアの夜明け」はブルガリアの首都ソフィアを舞台にした作品だ。けだるい雰囲気で始まり、最後までその流れは変わらない。ドツボにはまる主人公兄弟がせつない。まずしい東欧の生活をクローズアップして、ドラッグ、ネオナチ集団やトルコ人との民族葛藤など、普段考えもしない話題が妙に新鮮だ。


ブルガリアの兄弟をクローズアップして、2人の物語を並行して映す。
両親と一緒に住む17歳の弟は、頭をスキンヘッドにしてネオナチ集団に加わる。家族と疎遠になっている兄ことフリスト・フリストフは38歳の木工職人だ。ドラッグ中毒で治療を受けていた彼はアルコールに頼る日々を送っていた。兄の恋人は演技専攻の学生。若い彼女は彼を心から愛している。でも彼はそっけなく彼女を取り扱う。彼女の誕生日にレストランで食事をともにするが、話もしない彼に怒った彼女が店を飛び出ていく。そのときトルコ人の家族3人が食事に来ていた。
トルコ人家族が外へ出ると、チンピラ達に囲まれる。いきなりボコボコにあう。そのチンピラ集団には弟が混じっていた。すぐあとに兄がそこを通りかかり、トルコ人家族をかばうが、コテンパンにやられる。その時弟の姿を見かけた兄は。。。。


ブルガリアを地図で改めてみた。今話題のギリシャと隣り合わせで、トルコともつながっている。オスマントルコ帝国全盛時代には500年以上トルコ領だった。その後ロシアを中心とした東欧経済圏の国となった。東欧諸国に共通することだが、貧しさがにじみ出るような映像があらわれてくる。
路面電車が通る首都ソフィアの街に走る車は少ない。その昔五木寛之が「ソフィアの秋」なんて小説を書いていた。名前から連想するイメージは素敵だが、映像から察すると非常に地味な場所だ。都市化への進化が遅い。
そこに映る主人公はいかにも社会の底辺といった印象だ。



この主人公もクランクアップ寸前にドラッグ中毒で死んだという。そういう悲しい話もある。トルコ人の家族が主人公の兄弟に絡んでくる。娘が美しい。エキゾティックでトルコ版黒木メイサをみるようだ。
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