映画とライフデザイン

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SOMEWHERE ソフィアコッポラ

2011-11-14 21:17:38 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
「SOMEWHERE」はソフィアコッポラ監督の4作目で第67回ヴェネチア映画祭を制した。フェラーリを乗り回し酒と女に溺れるハリウッド俳優が、前妻と同居する11歳の娘とすごす時間を描きだす。「ロスト・イン・トランスレーション」でソフィアコッポラが描いたように、映画のストーリーに起伏はない。セリフも少ない。親子のひと時のふれ合いを淡々と映し出す。ロスのロケーションが美しく叙事詩のようにやさしい映像だ。


主人公ことスティーブン・ドーフはハリウッドのスターだ。いきなりフェラーリを乗り回すシーンが出てくる。彼はロスのホテル「シャトーマーモント」に長期滞在している。映画出演の合間に取材に応じたり、自分によってくる周辺の遊び人の女たちと遊んだりして日常を過ごしている。現実と虚実がいり混じっているようだ。ハチャメチャな毎日だ。セリフ少なく日常を映していく。
そこへ前妻の娘ことエル・ファニングがやってくる。娘は11歳だ。訳あってふたりはしばらく一緒に過ごすことになる。でもそれだけだ。2人と取り巻く派手な連中を映し出す。映画に筋立てはないし、大きな事件は起こらない。


ソフィアコッポラ監督は子供のころ父親とハリウッドの伝説のホテル"シャトー・マーモント"にすごしたことがあるという。小さいころの思い出が混じっているようだ。ジャケットのプールサイドの優美な写真が示すように美しい世界だ。「ロストイントランスレーション」でスカーレットヨハンソンとビルマーレーの2人を新宿のホテルにすごさせた。アンバランスな二人が独特の愛情の世界をつくった。その猥雑な新宿の雑踏ではなく、リッチな環境にあるホテルが素敵な雰囲気を醸し出す。
監督の前作「マリ=アントワネット」も自分は好きだ。前作でもロックの使い方がうまかったが、この映画でも印象に残る使い方だ。


娘と一緒にひと時を過ごす快感ってあると思う。第三者の美女と交わる以上の快感だ。個人的にもそういう瞬間が好きだ。遊び人である主人公のまわりは同じような連中だ。それらを娘が独特の醒めた目で見る。その目をオヤジがわかっている。根本のスタイルは変わらない。でも少しは娘の視線を意識する。その微妙なタッチがいい。
コメント
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