映画とライフデザイン

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映画「LOOPER/ルーパー」 ブルースウィルス

2013-01-14 18:28:44 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
新作映画「LOOPER/ルーパー」を劇場で見た。
なかなか面白い。

正直SF系は苦手な部類だ。タイムマシンの設定はコメディに使われると楽しいが、殺人がからむと怖くなる。30年後の自分に会うという設定自体が奇妙な感じだが、話自体はよく練られている。単純にもう一人の自分との対決になっていない話の二重性がいい。
若手の人気者ジョセフ・ゴードン=レビットにベテランのブルース・ウィリスを組み合わせる以上に、伏線の親(エミリーブラント)と子供を組み合わせるところが重層構造だ。奇妙な覚醒に浸れるいい映画だ。

2044年のカンザス州が舞台となる。
主人公ジョー(ジョセフ・ゴードン=レビット)がサトウキビ畑の前で一人銃をもってたたずむところに突然、男が飛び出す。縛られて、顔に袋をかぶせられた男だ。瞬時に射殺される。殺された男は、2074年の未来社会から送り込まれてきたのだ。30年後にはタイムトラベルが発明されている。悪用が禁止されているが、犯罪組織はひそかにこの技術を用いて厄介者を30年前に送り返し殺し屋に始末させる。30年後にはそう簡単に人が殺せなくなっている。主人公は30年後から送られる厄介者についている銀の延べ棒をため込んできた。

ある日主人公の前に仲間(ポール・ダノ)が助けを求めに来た。自分の目の前に現れた男がまさに自分の30年後だったのだ。情を移してしまい、男を逃がしてしまう。これ自体は禁じ手である。所属する組織に仲間は追われていて、一瞬かくまうが消される。ミスは許されない。
そして、主人公が懸念していたことが起こる。30年後のジョー(ブルース・ウィリス)が眼前に出現する。プロのジョーが一瞬躊躇する。百戦錬磨のオールドジョーはとっさに逃亡する。仲間と同じように主人公はミスをしたことで追われるようになるのである。オールド・ジョーは特別の意図を持って2044年にあえて乗り込んできたのだ。主人公はサトウキビ農園を営む母(エミリーブラント)と子がいる家に逃げ込むが。。。

普通近未来だと、空を車が走ったりもっと空想的な感じにするけれど、2044年のカンザスは今の延長の猥雑な感じに表現する。車もポンコツだ。そこがいいところだ。タイムマシンというSF的な要素だけだと、実現不能な印象があるが、この映画を見ていると実際にありえそうに思えてくる。
子供のころ「タイムトンネル」なんてNHKのテレビドラマがあった。タイムトラベラーは「昔に戻った時には自分自身には会ってはいけないというルール」を少年雑誌で読んだことがある。昔の自分を変えるというのはいけないことであるはずだ。そういった意味では珍しい設定だ。

ブルースウィルスは適役だと思う。長年アクション映画をやっていて、「ダイハード」などでの不死身のイメージを植え付けてきた。今回は殺し屋なのに30年前の同一人物ジョセフ・ゴードン=レビットは若干未熟な設定だ。刑事物でよくあるが、熟練者と未熟者との対比というのがよくある定石だ。その定石に沿っているだけに、ブルースウィルスの存在感の出し方が優れる。


映画で言えば「ターミネーター」の設定に近い展開も途中から出てくる。シュワちゃん同様、未来から現世に来たブルースウィルスにも標的があるのだ。ここで登場するのが、凄い少年だ。この少年の存在がグイッと映画を面白くして、展開を読みづらくする。SFというより「エスター」のようなスリラー系の要素も加える。
映画を見ている途中で謎解きをしている楽しさが、映画の醍醐味だ。ここではいくつかの迷彩をちらちらさせながら一気に終盤に持っていく。なかなかやるなという印象だ。
コメント (2)
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