映画とライフデザイン

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映画「陽だまりの彼女」 松本潤&上野樹里

2013-10-23 20:12:59 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「陽だまりの彼女」を劇場で見た。

これは今年旧作含め185本見た中では一番泣けた。それもここ数年ダントツで。。
こんな展開はまったく予想外だった。

松本潤と上野樹里のポスターを見て、正直劇場で見る気分はまったくなかった。何気なくネットで追っていると、この作者の名前が越谷オサムということを知った。これってもしかして地名の「越谷」のことって思いながら、調べるとどうやらそのようだ。今勤務先の千葉まで電車で通う途中に越谷の街がある。以前のテリトリー内で関心のある土地だ。ふーんと思いながら、娘に聞いたらこの小説読んだと言っていた。「映画は今イチと聞いているけど」というが、気になる。そして見たら、純愛の物語だった。
後半ストーリーの肝があるが、それに向かう前半の純愛物語時点で泣けてきた。村上春樹の小説を思わせる学生時代からの腐れ縁話は好きだ。若者の目線と同じくらい思いっきり低くしながらみていると、ビーチボーイズの歌が何度も鳴り響く。美しい。恥ずかしながら泣けて泣けて仕方なかった。

主人公(松本潤)は鉄道広告の代理店に勤める若手社員だ。朝寝坊で会社に遅れたり、社会人としてはまだまだ未熟だ。そんな彼が会社の先輩とともに下着メーカーへのプレゼンに向かった。相手会社のスタッフと名刺交換を終えた時、ふと入室してきた一人の美しい女性(上野樹里)が目に入った。名刺交換をして名前を見て驚いた。中学時代の同級生だったのだ。

中学1年の時に転校してきた女の子だった。勉強はできないし、ふるまいのドンくささで他の女子生徒からバカにされていた。彼女がいじめられて、他の女子生徒からマーガリンを髪の毛に塗られているとき、とっさにかばったのが主人公だった。止めろというだけでなく、いじめている女子生徒の顔に主人公はマーガリンを塗りたくった。その後で、2人は仲良くなったが、中学3年生の時主人公は転校して、その後二人は会うことはなかったのだ。

その後、代理店の営業として、メーカーへの営業攻勢をしていたが、彼女の同僚には思いを寄せている先輩男性もいた。自分が入る余地はないと主人公は思っていた。そんな時、駅の大型看板にこれはと思う画像をプレゼンして気にいってもらった。しかし、肌の露出が著しい写真だったので、保守的な鉄道会社からは反発をもたれると上司である部長は反対した。がっかりした主人公だったが、街を歩くと肌が露出した写真の看板が目立つ。彼は都内を歩き回り、上司への説得材料となる写真を撮りまくった。夜通しやったせいか疲れ果てて公園のベンチで寝てしまった。その時、彼を起こしたのが彼女だった。事情を聞いて彼女も協力して、説得材料を集め、無事駅の看板として採用させた。そうして2人の距離は一気に近づいていった。
距離の近づいた2人は付き合うようになり、江の島をデートした。藤沢にある彼女の実家を主人公が寄ることになった。実家の両親は彼の来訪を歓迎したが、彼女には彼がそれまで知らない秘密が存在することを知らされたのであったが。。。

嵐の松本潤が主演だけに、2人の接触は「やさしいキス」に限られる。肉体的触れ合いはない。でもこれだけで上野樹里はかなりの嫉妬を一般女性から浴びせられるかもしれない。映画館内の女性比率は異様に高かった。普通に考えればそうだろう。でもこの映画は男向きかもしれない。なぜならこういう純愛は男の方が好きだからだ。

意地の悪い女にいじめられているのを自ら助けたあと、ずっと心の奥底に何かを感じていた女性と久々再会する。しかも、その彼女は格段に美しくなっている。男性からするとその話には興奮するしかない。同窓会で久しぶりにご対面というのは、その時点の年齢によってドラマが異なる。20代でなく、それが30代後半から40代での再会ということになると、大人になった女性と若干ナマ臭い雰囲気もある。それでも純愛のムードを残すものである。我々も同じようなことがあった。共学ならではの楽しみだ。こういう場面が好きなのはむしろ男性であろう。

しかも、今回テーマミュージックとして流れるのはビーチボーイズである。現役できいているのは60代以上であろう。でも、その下の年代でもこの歌は何度も耳にしていると思う。サーフミュージックは時代を経て繰り返し人気になっているからだ。

その流れを組んで最後のエンディングロールには山下達郎のテーマ曲が流れる。これが抜群にいい。
いつもは早くに席を立つ自分もなかなか席をたてなかった。

2人のデートで江ノ電に乗るシーンがある。しかも、軽いミステリー&ファンタジー仕立てのムードがあるこの映画で「江の島」それ自体が舞台になる。江の島を眺めるベイエリアでの映画シーンは古くは黒澤明監督「天国と地獄」を始めとして数多くあるが、江の島自体がクローズアップされるのは珍しい。自分が小さい頃、鎌倉から江ノ電で向かい「江の島」一つ手前の「腰越」に実家の別荘があった。海岸のすぐ近くだった。その時は映画にも出てくる江の島水族館によく行ったものだ。2人のデートを見ながら、脳裏にたくさんの思い出が浮かんできたのも感激した一つの理由かもしれない。

2人の純愛に進展があった時、時計を見たら1時間たったところだ。まだ時間があると思った矢先から、別の展開が始まる。伏線はいくつか打ってあったが、ファンタジー色が少しづつ見えてくる。それでも、CGを使った露骨なファンタジー映画にしていないのに好感が持てる。

俳優の演技もみんなよかった。ちょっと男前すぎるのでは?という評価をした人がいたが、松本潤は大健闘だ。嵐の中では長身の松本が普通ぽく見えるように、職場の先輩にあえて長身の男を起用したのもキャスティングの妙かもしれない。上野樹里も可愛いすぎる。終電時にいったん帰ると言って、電車からドアクローズ寸前に降りてきたシーンが強く印象に残る。あらゆる男性はこのシーンにすべてノックアウトだ。
何もかもうまくできていた気がする。

(参考作品)
陽だまりの彼女
涙なくして見れない純愛
コメント (3)
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