映画とライフデザイン

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映画「フェイブルマンズ」 スティーヴン・スピルバーグ&ミシェル・ウィリアムズ&ポール・ダノ

2023-03-05 05:59:19 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「フェイブルマンズ」を映画館で観てきました。


映画「フェイブルマンズ」はスティーヴン・スピルバーグの新作。自らの少年から青春時代にかけての自叙伝的ストーリーである。既にゴールデングローブ賞作品賞、監督賞を受賞し、いくつかの部門でアカデミー賞候補にもなっている。実質主演はサミー少年のカブリエルラベルであるが、クレジットトップは母役のミシェルウィリアムズである。 

電気技師の父(ポールダノ)、ピアニストの母(ミシェルウィリアムズ)のもと育ったサミーフェイブルマン少年は1952年に「地上最大のショウ」を観に行き、列車衝突シーンに強い衝撃を受ける。同時に、8mmカメラで撮影するのに関心を持つ。やがてニュージャージーからアリゾナに移ったサミー(ガブリエル・ラベル)は仲間を集め、自らカメラを持って西部劇を撮るようになる。明るい性格で4人の子どもをもった母は、同居している父の仕事仲間ベニーとの仲をサミーから疑われるようになる。


子ども目線での映像が得意のスティーヴンスピルバーグ監督らしい温かみのある物語で、期待どおりにおもしろかった。映画を観ている実感がもてる作品である。サミー少年の撮影することへの興味、幸せだった家庭に亀裂が入る話、ユダヤ少年に対する差別イジメが映画の題材の中心となる。

⒈映画に関心を持つきっかけ
スピルバーグの自叙伝的な要素が確かに強い。おそらく撮影することに関心を持つきっかけを最初の場面で映す。まだ幼いサミー少年が、アカデミー賞作品「地上最大のショウ」での列車衝突事故に強い関心を持ち、鉄道模型を使って事故を再現する。それを8ミリで撮影する楽しみを覚えて、家族やいろんな被写体を撮ったりする。いかにもスピルバーグ映画らしい少年の目線まで落としたわかりやすい映像がいい感じだ。


⒉ミシェルウィリアムズ
クレジットトップのミシェルウィリアムズが抜群にいい。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」以来だ。お茶目な奥さんで子どもに愛情をそそぐ。夫婦仲もいい。自分の好きな俳優であるメガネ姿のポールダノとのコンビで映し出されるとまさにゴールデンエイジのアメリカのしあわせな家庭の雰囲気がムンムンする。こんな家庭に悲劇が訪れると誰が予測するのか?母親が夫の同僚との恋に陥るのだ。この場面で一つの緊張感をつくる。大人の世界を知ってしまったサミー少年が戸惑う表現がうまい。


⒊いじめられっ子
アリゾナで西部劇の撮影をして楽しんでいたサミーが父親の異動でカリフォルニアに行くことになる。ユダヤ人が少ないエリアで、背の小さいサミー少年はいじめっ子の標的になるのだ。周囲は身体の大きい男子生徒ばかりで、暴力も振るわれる。ハイスクール時代に受けたイジメの復讐をするが如くにスピルバーグがこの時代を再現する。

でも、みんなの一斉サボり日での海水浴場でのパフォーマンスをサミー少年が撮った映像を映すと、これがフェアウェルパーティでバカ受けだ。少年が本領を発揮するのだ。でも、映像に映るいじめっ子たちが反発する。この場面にも目を奪われる。


⒋デイヴィッドリンチ
エンディングロールでデイヴィッドリンチ監督の名前を見つけて驚く。アレ?俳優として出ていたっけ?そうか、黒い眼帯をしていて片目の巨匠ジョンフォード監督のことかと気づく。サミーがつくった短編映画が認められてきた時に、ハリウッドのスタジオでジョンフォード監督と対面するシーンがある。これが興味深い。映像コンテに映る地平線が中央にあると、おもしろくないというのだ。上部に地平線があるか、下部に地平線があるかどちらかがいいというのである。なるほどとうなずいた。
コメント
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