映画とライフデザイン

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映画「関心領域」 

2024-05-26 15:01:22 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「関心領域」を映画館で観てきました。


映画「関心領域」は悪名高きアウシュビッツ収容所の内部でなく、すぐそばに住む収容所長の自宅に焦点をあてる英国のジョナサン・グレイザー監督の作品である。カンヌ映画祭グランプリやアカデミー賞の国際長編映画賞と音響賞も受賞している。言葉はドイツ語でドイツ人俳優が演じる。妻役のザンドラヒュラー「落下の解剖学」でも主演だった。ナチスドイツを扱う映画は多い。ほとんどスルーだが、昨年の「アウシュヴィッツの生還者」は年間通じても指折りの傑作だった。怖いもの見たさで映画館に向かう。

1945年、アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた。庭にはプールもあるその家の主は収容所長のルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)で、夫婦と2人の息子と2人の娘と赤ちゃんがいる。のどかに生活している。
窓から見える壁の向こうでは大きな建物から赤い炎と黒い煙があがっている。そして、たえず音が聞こえる。収容所内部の光景は一切描かれず、ヘスの一家がそれを見ることもない。


どう解釈するのかむずかしい映画だ。
欧米では日本よりもアウシュビッツ収容所の存在は重く捉えれている感じがする。これまでの収容所を題材にした映画では残酷なシーンが続いていた。ここでは何もない。映画「オッペンハイマー」で最初から最後まで不穏な音が鳴り続いていた。この映画も同様である。

この音をどう表現するのかむずかしいが、コンサート会場やディスコの外で聞こえるドスのきいた音というイメージを持つ。そして、その中に銃声と思しき音や叫び声に近い音が混じる。そんな音を聞きながら、家族は生活している。壁の向こうの煙突からは勢いよく煙が上がっている。そんな場所でも、理想的な家庭というイメージしかない。妻(ザンドラ・ヒュラー)はこの地からの異動を恐れて、ずっといたいと思っている。


ハンナアーレントが戦犯アイヒマンの裁判で感じた「悪の凡庸」の言葉が脳裏に浮かぶ。映画の中で流れる音を聞くと、自分は極めて不穏な印象を持つが、家族がそれを不快に感じていないのが奇妙である。それでも、川遊びをした子供たちを風呂で丹念に洗うシーンが印象的だった。


映画のラストに向けて、ハンガリーのユダヤ人を大量に収容所に移送する話があった。独ソ戦に加えて、米国の欧州上陸で挟み討ちにあいナチスの戦況はこの時期最悪だったはずだが、この場に及んでまだまだ収容所で処理しようとする話に驚く。評価は高いけど、自分は苦手
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