映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「先生の白い嘘」奈緒

2024-07-07 17:20:46 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「先生の白い嘘」を映画館で観てきました。


映画「先生の白い嘘」鳥飼茜の同名漫画を奈緒主演で三木康一郎監督が映画化した作品。原作は未読。長身のモデル体型の美女というより普通の女の子が主演を張る作品の方が直近で目立つ。どこにでもいる系女子の杉咲花、古川琴音と続き奈緒主演のこの映画に着目する。予告編で奈緒が教員だということがわかるが、事前情報なく映画館に向かう。日本映画のドラマは最近貧困で気の毒系ばかりでどうかと思っていたが、久々に若者の性に着目する作品。うわさ通り奈緒の熱演が際立つ。

高校の国語教師の美鈴(奈緒)は親友の美奈子(三吉彩花)より早藤(風間俊介)と婚約した旨伝えられる。美鈴は6年前早藤に強引に犯されてから、よからぬ関係を無理やり強要されてきた。直近でも早藤との縁が切れず困っていた。その頃美鈴が担任をもつクラスの男子高校生新妻(猪狩)に年上女性とホテルに入ったといううわさがクラス内で広まる。個別に真相を確かめると、その話は真実だと聞かされる。美鈴は動揺してしまい隠していた本音を吐く。それをきっかけに新妻が美鈴に急接近するようになる。


予想より見応えのある作品だった。
途中までは往年の日活ポルノを思わせるストーリーだ。普段まじめな女教師の乱れなんてストーリーは多かった。女教師と生徒のイケナイ関係なんてAVにもありがちだ。ただ、この作品は15禁であっても濡れ場目当ての作品ではなく、もう一歩踏み込む。踏み込んだ先は面倒な展開だ。少し違うが、「こちらあみ子」を連想した。

何より奈緒の好演がすばらしい。「告白(コンフェクション)」では出番が少なかったのでなおさら役柄への没頭を感じる。友人の彼氏との性的付き合いから抜けられない女で、いつでも逃げれば良いのに抜けない。イヤでイヤで仕方ない男にハマる世界は韓国のキム・ギドク監督が得意とした世界だ。相手の彼女とは性的に何もしていないと聞き、自分の方が性的に優位に立っている気持ちがあるのだろうか?映画では露骨に見せないが、そんな気持ちをもっている気もする。でも最終はキレる


一方で映画内での憎まれ役風間俊介が、映画を観ている自分にもむかつかせるイヤな男を演じる。ここまで一般人で性格破壊の男はいない。秘密を握ったヤクザのような威嚇をみせる。しかも、粗暴でラストに向けてはやりすぎの展開だ。演じている風間も精神的にこの役はしんどかったのではないか。よくやったと思う。

三吉彩花「ダンスウイズミー」での躍動感ある好演が光る。美形なんだけど、背も高すぎな上にキャラが中途半端で主役をやらせてみる題材がないのかもしれない。今回は、随分と頑張っている印象を持つ。夜の営みをずっと避けてきた彼氏が急にやる気になって交わる演技では胸をもまれる。ブラジャーを取らなかったのは残念。ここで脱いだら良い役柄がもっと回ってくるのではと観ながら思っていた。


それにしても、この作品映画comの評価は3点未満と最低。これもビックリだ。意地悪でもされているのでは?どうも中途半端に性描写がある物語の一般評価が最近きびしい印象をうける。日本映画で若手が誰も脱がなくなるんじゃないかという懸念を最近持つ。
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映画「フェラーリ」アダム・ドライバー&ペネロペ・クルス&マイケル・マン

2024-07-07 07:25:18 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「フェラーリ」を映画館で観てきました。


映画「フェラーリ」マイケルマン監督、アダムドライバー主演でフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリ1957年の動静に絞って描いた作品である。個人的にはマイケルマン監督もアダムドライバーも相性がよく、しかもペネロペクルスが出演することで楽しみにしていた作品である。2020年初頭の傑作「フォードvsフェラーリ」ではフォードの目線でライバル関係を描いていて、エンツォフェラーリ謎めいた気難しい存在だった。

1960年代に入ると、フェラーリが連戦連勝でフォードが挑戦する立場となる。その前の1957年はむしろエンツォフェラーリにとっては公私ともども試練の年であった。フェラーリ社の長い歴史の中でも重要な年に絞って、創業者フェラーリの動きを追っていく。

1947年にエンツォフェラーリ(アダムドライバー)は妻ラウラ(ペネロペ・クルス)との共同出資でフェラーリ社を設立した。前年1956年に難病の息子ディーノを24歳で亡くし、会社の金庫番である妻ラウラとの仲は冷えきっている。フェラーリには大戦中に知り合った愛人リナ(シャイリーン・ウッドリー)がいて、2人には息子ピエロがいた。ピエロがフェラーリ姓を名乗れるかの問題があった。


仕事上では資金ショートの局面に陥り、アメリカのフォード社からの出資話や同じイタリアのフィアットがそれに対抗してカネを出す話もある。カネの動きから愛人と息子の存在を知ったラウラとの関係が最悪となる時に、エンツォはイタリアを縦断するロードレース「ミッレミリア」に参戦する。エンツォは自薦他薦のレーサーから5人を選んでレースに臨む。


エンツォフェラーリの実像に迫るマイケルマンによる快作だ。
感動するといった映画ではない。エンツォフェラーリの暗部に着目する内容で、倦怠期の妻との関係、隠し子の存在、レースに対する冷徹な態度、予期せぬ事故など決して明るい映画とは言えない。

それでも、毎回ゴージャスな姿を見せるペネロペクルスが髪を振り乱して嫉妬するいつもと違う一面、テストコースでの走りをスピード感をもってとらえるカメラ、イタリア観光案内のように歴史ある街並みをひたすら走るレースの迫力など見どころは満載なので飽きさせない。さすがに男性客がいつもより目立ったが、女性が観ても楽しめる作品と感じる。


恥ずかしながら「ミッレミリア」のレースの存在は初めて知った。夜に出発して、なんと1600キロも一般道を走り抜くのだ。当然、1957年であれば現在よりは道は整備されていないであろう。そんな中で全速力で走り抜く。夜の描写が得意中の得意のマイケルマンが映すイタリアのレースの場面がすばらしく、レースの全容を俯瞰したカメラとレーサーに接近したカメラを使い分けて躍動感をだす。レーサーの人間模様にも迫る。

歴史ある建物がそのまま残っているイタリアの市内で、観客のエキストラが大挙して応援している中、レーシングカーを細い道で走らせる。この閉塞感も大画面で見ると迫力がある。こういうシーンも日本映画では無理だなあ。お見事である。


最近多い3時間近い放映時間にまとめてエンツォフェラーリの人生をもう少し長く捉えるようにすると中途半端になったかもしれない。当然、エンツォフェラーリを演じたアダムドライバー「パターソン」などのいかにもアメリカ人ぽい風貌でなくイタリアの大物ぽい雰囲気になりきる。レーサーの起用にはきびしく、「ブレーキを忘れろ」なと手厳しいエンツォの実像がよくわかる。役者としての大きな成長を感じる。


マイケルマン監督作品では個人的にはトムクルーズ「コラテラル」がいちばん好きだ。「パブリックエネミーズ」も自分のベスト100に入る。今回もレースシーンを丹念に描いて、家庭内の複雑な関係も巧みに映す。おおらかな顔を見せないペネロペクルスの使い方も上手い。さすがである。
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